2023.04.21 第一生命 企業年金特別勘定第2特約で新戦略、「サープラスヘッジ型」で資産リスクもヘッジ
第一生命は4月から、確定給付企業年金向け商品「特別勘定第2特約」の新戦略「サープラスヘッジ型」「収益追求型」を発売した。2020年4月に発売した「特別勘定第2特約」に新たな運用戦略を追加したもので、企業会計と年金財政の二つの視点を考慮しつつ、市場環境に応じて運用する。
特別勘定第2特約は、第一生命が高度化してきたALM運用(Asset Liability Management、資産と負債の統合管理)のノウハウを企業年金に活用し、顧客ごとのニーズに応じて運用をカスタマイズして提供するもの。企業会計上の負債(退職給付債務)と資産の差額であるサープラスが増減するリスク(以下、サープラス変動リスク)を抑制しつつ、企業年金が目標とする収益率を達成することを目的としている。これまでは、金利変動による負債の増減に着目し、その増減に起因する負債サイドにおけるサープラス変動リスクをヘッジする運用戦略(LDI、Liability Driven Investmentと呼ばれる負債を意識した運用戦略)を提供していた。ところが、市場の先行きの見通しが難しい最近の環境下において、負債サイドだけではなく、資産サイドにおける株式・金利等の各種変動リスクについてもヘッジをしたいという顧客からの要望が複数あったところから、これらの要望に応え、新しい運用戦略「サープラスヘッジ型」では資産サイド、負債サイドの各種変動リスクをヘッジする運用戦略を提供するようにした。また、併せて「収益追求型」を提供し、同社がこれまで特別勘定第1特約で提供してきた投資信託に投資できるようにし、資産・負債両サイドの各種変動リスクをヘッジしながら、収益確保を目標とする特別勘定第1特約と同様の運用を行うことを可能にした。
生保事業と企業年金の運用は、超長期かつ予定利率に基づいた期待収益が求められる点など互いに共通の性質を持っている。不確実性の高い市場環境において、同社が培ってきたALM運用のノウハウを顧客ごとにカスタマイズし、資産・負債の両サイドの各種変動リスクをヘッジする運用戦略を提供することで、企業年金の安定運営に寄与できるとしている。
新戦略「サープラスヘッジ型」「収益追求型」では、企業会計と年金財政の二つの視点を考慮しつつ、市場環境に応じて運用する。
企業会計の視点では、株式・金利等の各種変動リスクを考慮しつつ、「サープラスヘッジ型」を通じてサープラス(企業会計上の債務と資産の差額)の変動抑制を図る。年金債務の金利低下リスクに対しては金利スワップを活用し、金利低下による年金債務増加・サープラス減少の影響を抑制する。また、新たに年金資産の金利上昇リスク、株式リスクに対して、株式や債券の下落をヘッジするためのデリバティブ(ヘッジ系デリバティブ)を利用することで、株価や債券価格が下落した際の年金資産の減少を抑制し、サープラスの安定化を図る。
一方、年金財政の視点では、目標収益率の達成を目指しつつ、「収益追求型」を通じて特別勘定第1特約で提供している商品と同等の運用を行う投資信託を組み合わせることで安定的な収益獲得を図る。「収益追求型」で投資可能な投資信託は、「第2総合口」(リスク要因分散戦略、低リスク・高インカム運用戦略、ダウンサイドリスク抑制戦略の3戦略により、あらゆる局面において安定的な収益を目指すアセットマネジメントOne㈱のバランスファンド)、「ヘッジ外債総合口Ⅰ型」(広範な債券セクターを投資対象として、高いリスク調整後リターンの獲得を目指すダブルライン・キャピタル・エルピーの債券アンコンストレインド戦略(為替ヘッジ)ファンド)、「グローバル株式総合口Ⅰ型」(グローバル株式を投資対象に、「参入障壁」「企業文化」「構造的成長力」を有する割安な銘柄に集中投資するWCM Investment Management,LLC のクオリティ・グローバル・グロース戦略ファンド)、「総合口戦略的資産配分型」(運用者の投資ノウハウを定量化したテクノロジーを活用し、複数の戦略を組み合わせることで安定的な収益獲得および高い投資効率を目指すアセットマネジメントOne㈱の戦略的資産配分型ファンド)―がある。