2023.03.08 東京海上日動・MRIが事務局 空飛ぶクルマ・産業用ドローンRM検討会、リスクマネジメントチェックブックを無償公開
東京海上日動と㈱三菱総合研究所(以下、MRI)が共同で事務局を務める「空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業におけるリスクマネジメント検討会」(座長:藤田友敬東京大学大学院法学政治学研究科教授、以下、「検討会」)は2月9日、産業用ドローン等の無人航空機の運航に係るリスクを評価し、実用化・事業化へ向けて対策を行うための「空飛ぶクルマ・産業用ドローン事業におけるリスクマネジメントチェックブック(以下、「チェックブック」)」を無償で公開した。
昨年12月に改正航空法が施行され、有人地帯上空での補助なし目視外飛行(レベル4飛行)が実現したことにより、急速に拡大するドローンの活用や、将来の空飛ぶクルマの活用を見据えたリスクマネジメントが求められている。
2021年度に東京海上日動の提唱により設立された「検討会」では、事務局を務める東京海上日動とMRIで関連する産業の事業者や研究者、法曹界等の多面的な産官学と連携し、国内外で進展するドローンおよび空飛ぶクルマの実用化・事業化に向けた環境を整備するために、リスクを網羅的に列挙・整理した基礎資料の作成を検討してきた。
今回、「検討会」では広く無人航空機を運航する事業者に使用してもらうことで、リスクチェックの質を標準化し、社会受容性の向上のために必要な安全性の確保に貢献するため、「チェックブック」を無償で提供することにしたもの。
「チェックブック」は、国内の民間事業者が無人航空機または空飛ぶクルマを運航するに当たり、発生し得るリスクを項目ごとに把握し対策を行うため、以下の5分類に基づき約200のチェック項目で構成されている。
①安全管理体制の定期的な確認=運航事業者の安全管理体制が確保されているか
②地上リスク(地上の被侵害利益)=無人航空機および部品や積載物が落下した場合に地上に及ぼし得るリスク
③空中リスク(その他の航空機)=有人航空機やそのほかの無人航空機をはじめ飛行体との空中衝突につながり得るリスク
④運航におけるその他の第三者権利の侵害リスク=プライバシーおよび財務など、第三者の権利の侵害を含むリスク
⑤その他の事業者自身にとってのリスク=運用を行う上で事業者に財務面で発生する損失など、事業者の運航リスク
「チェックブック」の詳細情報と入手はウェブサイト(https://www.drone-flyingcar-riskmanagement.jp)から。
「検討会」では、17年に欧州航空安全局が主導し、無人航空機運航のリスクアセスメントとして発行したSORA(Specific Operations Risk Assessment)のリスク評価の分析を踏まえ、運航安全のみならず、第三者の権利侵害、騒音およびセキュリティリスク等、事業者にとってのレピュテーションリスクについても議論してきた。今後も今回の検討の成果を土台に、業界全体のリスク管理の標準化、将来の安全運航の環境整備、社会受容性の向上に貢献するとしている。
■「検討会」メンバー(50音順・敬称略)
【座長】東京大学大学院法学政治学研究科教授藤田友敬
▽東京海上ディーアール㈱ビジネスリスク本部本部長宇田川将生/同製品安全・環境本部本部長亀崎洋▽神戸大学大学院法学研究科教授窪田充見▽大江橋法律事務所パートナー弁護士嶋寺基▽TMI総合法律事務所パートナー弁護士白石和泰▽㈱三菱総合研究所営業本部杉浦孝明▽東京大学未来ビジョン研究センター特任教授鈴木真二▽朝日航洋㈱航空事業本部エアモビリティ事業部フェロー長尾牧▽日本航空㈱安全推進本部航空安全研究部マネジャー中島徳顕▽慶應義塾大学大学院SDM研究所顧問中野冠▽㈱ACSL研究開発ユニット研究プロジェクト推進グループ中村哲/同事業推進ユニット製品開発グループ國久尚人▽㈱SkyDriveエアモビリティ事業部長福原裕悟
【オブザーバー】
▽経済産業省製造産業局産業機械課次世代空モビリティ政策室▽国土交通省航空局安全部無人航空機安全課
【事務局】
▽東京海上日動火災保険㈱営業企画部▽㈱三菱総合研究所フロンティア・テクノロジー本部