2023.02.07 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保ほか 米インシュアテックCoalition社と提携、中小企業向けサイバーリスク商品を共同開発、最先端のリスク診断技術を活用
三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、MS&ADインターリスク総研は1月6日、中小企業向けサイバー保険販売の米Coalition,Inc.(CEO:Joshua Motta、以下、Coalition〈コアリション〉社)との間で、日本のSME(Small and Medium Enterprises:中小企業)向けソリューションの共同開発で合意したと発表した。サイバーセキュリティ分野の米国インシュアテック企業と損害保険会社が提携し、SMEマーケット向けにソリューションを開発する取り組みは国内初だという。
企業活動のデジタル化が進む中、人命を預かる病院や大企業の取引先を標的としたサイバー攻撃が増えている。多種多様なセキュリティー対策の実行には多額の費用が必要となり、大企業に比べて予算や人員が限られる多くの企業では脆弱性に対する十分な対策が講じられていないケースが散見される。こうした状況を打開するためには、自社のリスクに狙いを定めたセキュリティー対策を可能とする優れたサイバーリスク診断技術が必要となる。
Coalition社は最先端のサイバーリスク診断技術を有する米国SME向けサイバー保険販売のトップランナーで、インターネット接続された世界中の端末機器90億台以上からペタバイト(1ペタバイト=100万ギガバイト)級のセキュリティー情報を収集・蓄積しビッグデータを生成している。このデータの分析により企業のリスク実態を低廉なコストで高精度に把握し、分析結果に基づいたサイバーセキュリティー分野のソリューション提供やサイバー保険販売を実現している。
MSADインシュアランスグループは、Coalition社のサイバーリスク診断技術が日本にも適していることを実証実験を通じて確認できたことから、今回日本市場向けの新たなソリューションの共同開発で合意したとしている。
共同開発では、Coalition社の技術を活用し、ハッキングに対する脆弱性など、企業のサイバーリスクを可視化するための①SMEを対象とした自社サイバーリスク診断サービスおよび定期モニタリングサービス②子会社や取引先等を経由した「サプライチェーン攻撃」に備える大企業向けサービス―のソリューションを共同開発し、2023年度中のリリースを目指す。
開発するサービスの提供を通じて得られるデータは、MS&ADインターリスク総研内に構築するデータベースに蓄積し、蓄積されたデータを分析しサイバーリスク実態に合ったソリューションやサイバー保険を提供することで、より安全な社会の実現に貢献する。
Coalition社は17年創業のインシュアテックMGA。本社はカリフォルニア州サンフランシスコ。“Active Insurance(保険とサイバーセキュリティーツールを組み合わせ、企業がサイバーリスクを管理・軽減できるソリューションを提供)”を標榜している。スイス再保険などの世界有数の保険会社やロイズと提携し、米国とカナダを中心に世界中で事業を展開。独自のプラットフォームで、セキュリティーの自動警告、脅威情報、専門家の指導、サイバーセキュリティーツールを提供し、企業がサイバー攻撃に直面しても早期回復ができるよう支援している(本紙22年12月26日付参照)。