2023.01.24 あいおいニッセイ同和損保 建設業振興基金と連携協定締結、CCUS(建設キャリアアップシステム)普及図る

あいおいニッセイ同和損保は12月16日、一般財団法人建設業振興基金と「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の普及・利用促進に向けた連携協定を締結した。同基金が運営するCCUSは、建設技能者の保有資格や就業履歴等を1枚のカードに登録・蓄積することによって技能や経験を客観的に評価し、技能者の処遇の安定化や現場作業の効率化につなげるための仕組みで、国が建設業界全体への普及を目指している。今回の協定を通じてCCUSの普及を推進することで、建設技能者の賃金・待遇の改善を支援し、質の高い担い手の確保に向けた建設業界の変革を目指す。

国土交通省の調査によると、2025年度時点の建設技能者数は加齢による退職者の増加や少子化の進行などにより15年度対比で44万人減少すると予測されており、処遇改善による担い手の確保が喫緊の課題となる一方で、異なる現場で経験を積む建設技能者の能力を客観的に評価できる業界横断的な仕組みが長年存在せず、スキルアップを処遇の向上につなげにくい構造が問題となっていた。
こうした状況を受けて、建設技能者にIDを割り振り、評価の基礎となる保有資格や就業履歴といった客観的な情報を蓄積するCCUSの運用が19年4月から開始されたが、22年10月末の登録者数は全国300万人の建設技能者のうち3分の1程度にとどまっていた。そこで、建設業界に強みを持つあいおいニッセイ同和損保が、CCUSのさらなる普及を後押しするために名乗りを上げ、今回の協定締結に至った。CCUSの普及・利用促進に関する取り組みとしては、あいおいニッセイ同和損保の提携先を通じて車両リース契約を締結した場合、最大15万円を還元する車両リース特典が実施されている。
連携協定締結式は東京都港区の虎ノ門MTビルで行われた。調印に先立ち、あいおいニッセイ同和損保マーケット開発部市場開発室担当次長の大槻和隆氏が、同協定での取り組みについて説明した。同社がこれまで個別に実施していた「CCUS説明会」に加え、専門知識を備えた「CCUS認定アドバイザー」を講師とする「CCUS相談会」や、建設業の組合・団体を通じた登録・運用セミナーを開催するとともに、CCUS未登録業者に向けた登録代行サービスや、登録事業者向けの運用維持サポートなどを行い、普及と運用の両面から建設事業者・技能者を支援していくと述べた。
調印後にあいさつした建設業振興基金建設キャリアアップシステム事業本部普及促進部部長の川浪信吾氏は、22年8月に開始した建設技能者向けの特典提供事業「CCUS応援団」について触れ、車両リース時のキャッシュバックや飲食店での割引サービスなどに加え、今後は建設事業者向けに社員研修メニューの無料提供や行政書士委託料金の割引などを行うとして、特典提供先の紹介を含むあいおいニッセイ同和損保のさまざまな支援に感謝を表した。
一方、あいおいニッセイ同和損保マーケット開発部部長の古川強志氏は、同社の行動指針「CSV×DX」が、最先端のデジタル技術やデータを活用し協働先企業と共に新たな価値を創造しながら課題解決を目指すことだと説明した上で、「今回の取り組みは『CSV×DX』そのものであり、建設業振興基金と連携して社会や企業の課題解決に向けて尽力し、建設業界の発展に貢献したい」と意欲を示した。
今後、同社ではCCUSの普及を支援すると同時に、建設現場における事故の防止・削減に向けての同社の知見に基づく情報発信や、建設業を営む中小企業に対するSDGs登録制度への支援など、同社の強みを生かしながら建設業界全体のさまざまな課題の解決を目指すとしている。