2023.01.12 損保ジャパン 自動搬送サービス「eve auto」向け レベル4「アフターサービスパッケージ」開発 導入前から導入後まで継続的なサービス提供
損保ジャパンは、ヤマハ発動機と㈱ティアフォーが設立した合弁会社㈱eve autonomy(米光正典代表取締役CEO)が11月30日から本格展開を開始した自動搬送サービス「eve auto」向けに、「自動運転システム提供者専用保険」と付帯サービス「自動運転専用の事故トラブル連絡窓口」、および事故防止を支援する「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」を加えた、レベル4以上の自動運転サービス向け「アフターサービスパッケージ(以下、ASP)」の提供を開始した。
ASPは、自動運転の導入前から導入後まで継続して安心・安全を支える保険と技術を融合させたインシュアテックソリューションをパッケージ化し、eve autonomyがサブスクリプション型で提供するサービスの一つに組み込んで提供するもので、このような「レベル4自動運転サービスを導入前から導入後も継続的に支える保険サービスの仕組み」の提供は、国内初の取り組みだという。
eve autonomyが提供する「eve auto」は、屋内外の環境を含む閉鎖空間での搬送の自動化ニーズに対応できるように開発された自動搬送サービス。同サービス向けのASPに含まれる保険は、自動運転システム「Autoware」の開発を主導するティアフォーへ提供し、eve autonomyの「eve auto」に適用。当面の間、2社による自動運転サービスの実装とともに、レベル4自動運転向けの保険・サービスの検証を行う。将来的には、同自動運転サービスの多方面への展開を目指すとしている。
「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」は今回新たに開始するサービスで、自動運転車の安全な走行・運用に向け、リスク評価と安全対策に関し導入前から導入後も継続して支援することで事故防止につなげるソリューションを提供する。
損保ジャパンがこれまで提供してきたリスクアセスメントでは手動運転を前提とするリスク評価を基に走行現地に赴いてリスク調査を行ってきたが、これまで自動運転の実証実験に参加する中で自動運転の導入を検討する多くの関係者からは「自動運転という新たな技術への評価」と「現地調査に係る負荷の軽減」への要望を受けていた。
従来の手動運転からシステムが制御する自動運転への変化では自動運転固有の新たなリスクに対する評価手法を整える必要があり、自動運転の安全性を高めるために保険会社が有する事故データや対応ノウハウを生かしたリスクアセスメントへの期待が高まっている。一方、自動運転に対応するリスク調査員の増強は「新たなテクノロジー領域の知見」が求められることと併せて「今後の加速的な普及」への準備が必要となるため、保険会社にとっても大きな課題となることが予想される。こうした課題に対し、損保ジャパンは2020年から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、名古屋大学、㈱マップフォー、㈱Human Dataware Lab.と共に「AI技術を活用した自動運転デジタルリスクアセスメント」の研究開発を推進してきた。高精度な地図作成技術と自動運転車両の位置推定や環境認識に用いられるLiDAR(ライダー:レーザーを対象物に照射し散乱光を測定することにより対象物までの距離や性質を取得する技術)のセンシング範囲を可視化する技術をマップフォーが、自動走行時のカメラやLiDARの情報からリスクシーンを抽出しその判断根拠を言語化する技術を名古屋大学がそれぞれ担当し、さらにこれらの研究成果をHuman Dataware Lab.がAI・信号処理技術を活用してシステム化し、損保ジャパンが蓄積する事故データと融合することで今回のリスクアセスメント開発に成功した。
自動運転は労働力不足の解決や事故削減などの課題解決につながる技術として期待が高い一方、その導入に当たっては新たな技術へのリスク対策も課題となる。損保ジャパンは自動運転にかかる産官学連携の研究に積極的に参加し、事故に関するデータや対応ノウハウなどを提供してきたが、今後は同時に、自らも研究開発に加わり、新たなリスクや求められる役割を早期に把握することで、インシュアテックソリューションの開発と社会実装を進め、安心・安全な自動運転社会の早期実現に貢献していくとしている。