2022.12.22 MS&ADグループ 交通事故発生リスクをAIで可視化、自治体向けにリスト・アプリを販売
三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、MS&ADインターリスク総研は3社共同で、11月から自治体向けに、AI技術を活用して潜在的な交通事故発生リスクを評価・可視化する「事故発生リスクAIアセスメント」の販売を開始した。交通事故の未発生場所のリスクを算出し、事故の未然防止を可能にするもので、交通事故発生リスクの評価・可視化ではこれまでにも同種の研究や地域限定による実証例はあるものの実用化には至っておらず、こうしたサービスの提供は世界初(MS&ADインターリスク総研調べ)だという。
交通安全対策の実施では、これまでの交通調査に基づく対策では多大な費用と時間を要するほか、対策の客観的な裏付けが難しいなどの要因から、再発防止型対策であることが課題となっている。三井住友海上とMS&ADインターリスク総研は、多くの事故対応や交通リスクコンサルティングの経験・ノウハウを踏まえ、交通事故と相関の高い要因のデータを組み合わせ、AIを活用して交通事故発生リスクを評価・可視化する仕組みを構築し実証実験を行ってきたが、その結果、このたびグループとして期待する評価基準に至ったことから、同サービスの販売開始を決めた。
「事故発生リスクAIアセスメント」では、実際の交通事故発生箇所だけでなく、道路構造や走行データ(急加減速等)、人流等、事故と相関関係の高い要因のデータを組み合わせ、AIを活用した独自のリスク評価・分析モデルにより交通事故発生リスクを評価・可視化する(特許出願中)。
損保グループならではのデータ・ノウハウに加え、事故発生起因性の高いデータ(地形〈勾配、カーブ等〉、道路構造〈車線数等〉、道路情報〈一時停止規制有無、制限速度等〉、人口・人流等)を加えた独自のリスク評価・分析モデルを用いており、地点(道路区間・交差点)ごとにきめ細かくリスクを数値化(0~1)する。リスクの存在を色調表示により地図上でわかりやすく可視化し、時間帯・対象者年齢等の条件(朝・昼・夕・夜間〉、事故被害者年齢層〈未成年・成人・高齢者〉など)による絞り込み表示機能も備えている。指定エリア内でのリスク降順表示や地図上のメモ保管等、実務を円滑にする補助機能も提供する。
該当地域の事故発生リスク上位50地点をリスト形式のレポートで提供する「簡易版」を11月から販売を始め(売切型、1市町村当たり税抜9万円、23年4月以降納品)、該当地域の事故発生リスクを地図・リスト形式でアプリケーションで提供する「本格版」を23年7月から販売を始める予定(年間利用契約型、1市町村当たり人口・道路実延長に応じて税抜30万円~200万円/年、23年7月以降納品)。
すでに、愛媛県のデジタル田園都市国家構想推進交付金事業「都市リスクの解析等業務」、奈良県の「大和平野中央田園都市構想安全・安心まちづくりコンソーシアム」が行う「潜在的事故リスクのAIアセスメントとリスク低減対策の検討」でのモデル導入が決定している他、今後、▽交通事業者の最適ルート設計▽モビリティ・MaaS事業者の乗降地点の検討・自動運転ルート検討▽地図事業者のソリューション高度化に向けた相互支援▽道路コンサルティング事業者とのコンサルティングにおける協業▽自動車製造事業者のユーザーへの危険事前認知ソリューション高度化▽貨物・配送事業者の配送ルート最適化・事故削減取組支援▽電動キックボード事業者のユーザーの安全運転向上に資するソリューション▽スマートシティ関連事業者に対する安心・安全なまちづくりに向けた支援―などさまざまな事業者のニーズに応じてサービスを提供していくとしている。
また、三井住友海上の「通学路安全支援システム」やあいおいニッセイ同和損保の「交通安全EBPM支援サービス」とも組み合わせ、それぞれの強みを生かした統合サービスの提供等も検討していくとしている。