2022.12.21 損保協会 定例会見 防災・減災に向けた取組みなど報告、“ぼうさい探検隊マップコンクール”入選作決定

損保協会は12月16日、業界紙向けの定例記者会見を開催し、前日に日銀記者クラブで行われた白川儀一協会長(損保ジャパン社長)の会見内容を報告した。白川会長は、防災・減災に向けた取り組みとして、「そんぽ防災Web」の新たなコンテンツによる地震保険の普及・啓発や、内閣府等主催の総合防災イベント「ぼうさいこくたい2022(防災推進国民大会)」への参画とともに、第19回「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」の入選作品が決定したことを紹介した。この他、損保業界の主要課題に関する取り組みについても説明した。

白川協会長は会見の冒頭、9月に発生した台風14号・15号について、被害に遭った方への哀悼とお見舞いの言葉を述べるとともに、これらの台風によって11月末時点での損保業界全体での保険金支払見込みが約1265億円に上ると説明。現在も対応は継続しており、被害状況の把握、問い合わせや相談への対応、迅速な保険金の支払いに努めるなど業界のスタンスを伝えた。
本年度の主要課題に関する取り組みの報告として、防災・減災に向けた取り組みでは、「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」を取り上げた。今回で19回目となる同コンクールでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響があったものの、全国の小学校、子ども会、児童館など410団体から6137人が参加し、昨年比で1割ほど多い1179作品が寄せられ、入賞22作品、佳作50作品が決定したことを報告。白川協会長は、「自然災害の激甚化・頻発化を受け、被災された契約者の皆さまへの迅速な対応を推進するとともに、防災・減災への取り組みに一層注力することが損害保険業界の役割・使命であり、特に、国や自治体と連携した地域特性に沿った防災施策や、災害への備えを国民の皆さまの生活に取り入れていただくための啓発活動に注力して取り組んでいる」と述べた。
防災・減災活動では他に、災害に便乗する悪質な業者への対策として、「災害便乗商法相談ダイヤル」の運営開始と安定稼働、新聞広告やデジタル広告での周知、AI検知ツールの複数会員会社での導入、日本代協と連携した「お客さま向けの注意喚起メール」などについて、また、気候変動・サステビリティ関連課題への対応では、第4回気候変動勉強会の実施、自然資本・生物多様性をテーマとしたニュースレターの発信による理解促進、同協会委託先の損保総研による研究調査結果「カーボンニュートラル実現に向けた諸外国保険業界の対応状況」の発刊などを報告した。
一方、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みでは、標準化・共通化の加速として、保険料控除証明書発行サービスに会員会社のうち11社が参加し、地震保険契約件数の97.6%をカバーしていることについて報告、エマージングリスクへの対応として9月に中小企業を対象に事業活動を取り巻くリスクに対する認識や対策状況に関するアンケート調査を実施したことなどを紹介した。
この他の継続的な取り組みとしては、若年層の損害保険リテラシーの向上、保険事業の環境整備に向けた適切な対応、交通事故被害者に対する精神的な二次被害の防止策、新興国市場への各種支援強化について報告した。
最後に、「今後もお客さまの安心・安全を支え続ける社会インフラとしての役割・機能を持続的に果たせるよう、会員会社と一体となって、主要課題解決に向け着実に取り組みを進めていく」と述べて会見を締めくくった。この後の質疑応答では、風水災における迅速な保険金支払いの取り組みや水災保険料率の細分化、不正請求対策、インフレの影響などの質問を受けた。
白川協会長は風水災の取り組みについて、大規模災害時に被害状況を早期に把握し、迅速な保険金の支払いにつなげるための業界共同取り組みとして、被災地の衛星画像や浸水範囲および浸水の深さについての情報を会員会社に提供していることを紹介した。実際、台風14号においては、宮崎県都城市を対象とする浸水範囲図や、JAXA(宇宙航空研究開発機構)で実施した緊急観測による衛星画像を必要とする会員会社に提供したことを明かした。