2022.11.29 MS&ADHD 22年度第2四半期決算、中間純利益▲335億円を計上、通期予想を1000億円下方修正

MS&ADインシュアランスグループホールディングス(MS&ADHD)が11月18日に発表した2022年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比10.7%増の2兆8236億円を計上した。連結正味収入保険料は国内損保子会社、海外保険子会社ともに増収となり、同8.7%(1669億円)増の2兆954億円。連結生命保険料は同106.3%(2819億円)減の▲168億円だった。経常利益は同1974億円減益の▲152億円で、中間純利益は自然災害ロス、新型コロナ関連ロス、ロシア・ウクライナ関連ロス、海外の資産運用損などのマイナス要因が重なり、同1584億円減益の▲335億円となった。グループ修正利益も同1762億円減益の74億円。

同社は同日、22年度通期の連結業績予想の修正を発表し、経常利益2200億円(前回発表時予想3500億円)、親会社株主に帰属する当期純利益1400億円(同2400億円)、1株当たり当期純利益259円84銭(同438円57銭)とそれぞれ下方修正した。当期純利益の予想の修正は、国内で自然災害と新型コロナ関連ロスが当初予想額を上回る見通しとなったこと、また、海外で北米ハリケーン・イアンなどの自然災害と金融マーケット変動の影響を受けた資産運用損が当初予想額を上回る見通しとなったことが主因としている。また、グループ修正利益についても年初予想の3000億円から1300億円引き下げ1700億円に下方修正している。
国内損保主要2社(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保)の第2四半期業績では、正味収入保険料は、自賠責保険が減収となったものの、火災保険(10月の改定を控えた駆け込み等)や海上保険が増収したことなどにより、2社合計で前年同期比4.9%増の1兆5526億円となった。
三井住友海上の正味収入保険料を種目別に見ると、火災が前年同期比27.3%増の1563億円、海上が同30.3%増の396億円、傷害が同3.1%増の807億円、自動車が同0.4%減の3443億円、自賠責が同7.8%減の706億円、その他が同1.3%増の1653億円で合計は同4.9%増の8570億円となった。正味支払保険金は同9.7%増の4411億円、正味損害率は同2.3ポイント上昇し57.5%、正味事業費率は同0.4ポイント低下し31.4%となった。コンバインド・レシオは同1.9ポイント上昇し88.9%。なお、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同13.9ポイント上昇し72.1%。
あいおいニッセイ同和損保の種目別正味収入保険料は、火災が同32.5%増の1368億円、海上が同8.5%減の33億円、傷害が同3.6%増の320億円、自動車が同1.6%増の3830億円、自賠責が同6.8%減の663億円、その他が同3.6%減の739億円で合計は同4.9%増の6955億円となった。正味支払保険金は同14.6%増の3886億円、正味損害率は同4.6ポイント上昇し61.5%、正味事業費率は同0.4ポイント低下し33.8%、コンバインド・レシオは同4.2ポイント上昇し95.3%となった。なお、家計地震・自賠責を除いたEI損害率は同15.3ポイント上昇して75.0%。
国内損保主要2社の保険引受利益は、既経過保険料が増加した一方、 国内自然災害ロス(6月のひょう災、台風14号、台風15号等)、新型コロナ関連ロス、自動車ロス(交通量の回復等)、火災新種ロス(大口事故)の増加などにより、前年同期比1613億円減益の▲1127億円となった。このうち三井住友海上は同1075億円減益の▲640億円、あいおいニッセイ同和損保は同538億円減益の▲486億円。なお、2社合計の保険引受利益(異常危険準備金反映前)は、1922億円減益の▲860億円で、このうち三井住友海上は同1158億円減益の▲394億円、あいおいニッセイ同和損保は同764億円減益の▲465億円だった。
2社の資産運用・その他収支は、利配収入の増加や有価証券評価損の減少等により、合算で同327億円増の1212億円だった。このうち三井住友海上は同254億円増の891億円、あいおいニッセイ同和損保は同73億円増の320億円。
2社合計の経常利益は、同1286億円減益の84億円を計上。このうち三井住友海上は同821億円減益の250億円、あいおいニッセイ同和損保は同464億円減益の▲166億円。2社合計の中間純利益は、同919億円減益の93億円。このうち三井住友海上は同573億円減益の248億円で、あいおいニッセイ同和損保は同345億円減益の▲154億円。
ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上が前期末比23.4ポイント低下して699.1%、あいおいニッセイ同和損保が同14.0ポイント上昇して772.6%となった。
国内生保子会社(三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命)は、三井住友海上あいおい生命の保険料等収入は、積立利率変動型終身保険の払込満了増加や逓増定期保険の保有減少等により前年同期比54億円減の2444億円となった。新契約高(個人合計)は収入保障保険の販売が減少したことなどにより前年同期比17.0%減の7474億円。新契約年換算保険料は同3.6%減の133億円だった。保有契約高(個人合計)は期首比1.0%減の23兆6063億円。保有契約年換算保険料は同0.3%減の4426億円だった。経常利益は前年同期比41.9%減の105億円、中間純利益は新型コロナ第6、第7波による給付金請求の増加等により同55億円、48.1%減益の60億円だった。基礎利益は同47.3%減の86億円を計上した。
三井住友海上プライマリー生命の保険料等収入は、外国金利の上昇による外貨建商品ニーズの高まりや営業活動の積極展開などにより、前年同期比1568億円増収の6198億円。新契約高(個人合計)は同30.9%増の5471億円、保有契約高(個人合計)は期首比0.9%増の6兆8643億円。経常利益は前年同期比36.8%減の149億円、中間純利益は、ドル高円安に伴う責任準備金積立負担の減少があったものの、金利上昇による債券等の評価損や売却損、外貨建保険の標準責任準備金の積立負担などにより、利益水準の高かった前年度に比べ47.8%減益の89億円。ソルベンシー・マージン比率は、三井住友海上あいおい生命が前期末比159.3ポイント減少して992.6%、三井住友海上プライマリー生命が同201.8ポイント減少して893.0%。
海外保険子会社の業績は、正味収入保険料は新規契約の増加や保険料率の引き上げ等により増収したMSアムリンを中心に欧州が増収、また、アジアや米州での増収に加え円安影響もあり、前年同期比946億円(22.0%)増収の5256億円となった。中間純利益は、MSアムリンにおけるロシア・ウクライナ関連ロスの見積額の計上や 株価下落・金利上昇による資産運用損、台湾現地法人の新型コロナ関連ロス等により、前期比370億円(742.5%)減益の▲320億円となった。
当年度に発生しているグループの自然災害ロスについては、国内では6月のひょう災や台風14号などにより899億円(うち火災保険623億円、自動車保険260億円)。海外では北米ハリケーン・イアンなどにより540億円。また、新型コロナ関連の保険金・給付金については、国内損保子会社の新型コロナ関連ロス等は292億円、国内生保子会社は113億円、海外保険子会社はMSIG明台(台湾現地法人)で90億円だった。