2022.11.28 東京海上HD 22年度第2四半期決算、修正純利益は一過性影響で56%減 一過性影響除く進捗率は50%超と良好

東京海上ホールディングスが11月18日に発表した2022年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比18.1%増の3兆4076億円となった。正味収入保険料は海外のレートアップや引受拡大、国内の火災保険の増収を主因に同18.7%増の2億2798万円と計画を上回って進捗。連結経常利益は同70.1%減の1097億円で、親会社株主に帰属する中間純利益は同67.9%減の865億円となった。今回の決算で22年度通期の連結業績予想を修正し、経常利益4700億円(前回発表時予想6000億円)、親会社株主に帰属する当期純利益3700億円(同4300億円)、1株当たり当期純利益183円74銭(同212円86銭)とそれぞれ下方修正した。

グループの修正純利益は前年同期比56.7%(1803億円)減の1378億円で、年初予想対比進捗率は25.1%。コロナ(台湾・国内)や国内を中心とした自然災害などの一過性の影響として通期で▲約1600億円を見込む。このうち台湾コロナを起因とする損失は、足元の感染率拡大を踏まえ、同社持分で通期で▲910億円を見込む(感染率の想定は44%)。これら一過性の影響を主因として、グループ全体の修正純利益の通期予想は、年初予想の5500億円から1500億円引き下げ、4000億円に修正した。
第2四半期末のグループの修正純利益1378億円の内訳は、東京海上日動が▲201億円、東京海上日動あんしん生命が99億円、海外保険が1182億円、その他が298億円で、東京海上日動、東京海上日動あんしん生命、海外のいずれも一過性の影響を除いたベースの年初予想対比進捗率は50%超と基調は良好で、特に海外主要拠点は現地計画対比(除く為替)で+約230億円と上振れており好調。一方で、コロナ(台湾・国内)や国内を中心とした自然災害、円安進行といった一過性の影響等を含むベースの修正純利益は低位にとどまった。
グループの正味収入保険料の内訳は、国内損保が前年同期比5.4%増(除く為替)の1兆3097億円。料率改定による火災保険の増収等により基調は良好で、通期予想を年初予想の対前年2.8%増から3.8%増に引き上げた。海外は同18.1%増(除く為替)の9703億円で、ハードマーケット環境を生かし引き続き厳格な引受規律を維持したレートアップや引受拡大等により好調で、通期予想は年初予想の対前年5.3%増から16.7%増に大幅に引き上げた。
生命保険料は、国内は販売好調の一方で事業保険の解約増加により前年同期比6.9%減(除く為替)、海外はTokio Marine HCC(以下、TMHCC)のメディカルストップロス保険の好調やデルファイ・ファイナンシャル・グループの団体生保・就業不能保障保険を中心としたレートアップや引受拡大等により同14.1%増(除く為替)となった結果、合計では同3.1%増(除く為替)の5410億円となった。通期予想は、年初予想の対前年0.5%増(除く為替)の1兆300億円から、同2.8%増の1兆1300億円に引き上げた。
国内損保事業で、東京海上日動の保険引受利益は、年初予想を上回る堅調なトップライン増収の一方、コロナ保険金の増加や大口事故の増加などの影響により、前年同期比1984億円減の▲742億円で、年初予想の1570億円に対する進捗率はマイナス47.3%。発生保険金のうち国内自然災害、外貨建支払備金積増/積減、異常危険準備金積増/積減、自然災害責任準備金積増/積減、初年度収支残負担を除いたベースでも同732億円減の781億円となり、同ベース年初予想の2351億円に対する進捗率は33.2%(過去5年平均は58.1%)で低位にとどまった。
事業別利益は、前記要因に加え、国内自然災害の予算超過、円安による外貨建支払備金の積増等により同1519億円減の▲201億円で、年初予想の1730億円に対する進捗率はマイナス11.6%(過去5年平均は37.7%)と低位にとどまった。ただし、一過性の影響等(自然災害・コロナ・為替)を除いたベースの上期進捗率は54.8% (過去5年平均は55.6%)で、大口事故の増加等に対して堅調なトップライン増収もあり、過去5年平均対比でおおむねオンペースで進捗しているとした。
正味収入保険料は、自賠責保険の減収を火災保険の大幅増収などで打ち返し、前年同期比5.9%増の1兆2208億円と前年同期実績を上回った。家計地震・自賠責を除いた民保合計では同7.6%増の1兆1145億円。種目別では、火災は計画通りの料率改定効果に加え、22年10月商品改定前の契約増等により年初予想を上回って進捗し、同32.5%増の2242億円。海上は円安や物流基調(価格上昇等)により年初予想を上回って推移し、同16.2%増の435億円。傷害は見込んでいたコロナ影響の反動による旅行保険の増収等により、同10.0%増の1052億円。自動車は22年1月の料率改定による単価の減少(▲2.0%)を補償拡充等で一定打ち返し、同0.3%減の5551億円。自賠責は半導体不足による新車販売減の回復が想定より遅れたことなどにより、同8.4%減の1061億円。その他新種は年初想定は若干下回ったが費用利益保険・賠償責任保険を中心に前年対比で増収し同5.3%増の1863億円だった。
発生保険金(損害調査費含む)は、自然災害やコロナ保険金の増加、円安に伴う外貨建支払備金の積み増し、自動車保険における発生保険金の増加等により、前年同期比36.6%増の7706億円となった。E/I損害率は一過性の影響(自然災害、コロナ、為替)等による発生保険金の増加により年初予想を上回って推移し、同17.6ポイント上昇の73.0%。自然災害の影響を除いても、コロナや円安等の影響により同様としている。事業費率は好調なトップライン増収により年初予想を下回って推移し同0.1ポイント低下し31.6%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同17.5ポイント上昇し104.6%だった。
資産運用等損益は、ネット利息及び配当金収入、売却損益等計(キャピタル)が順調に進捗し、前年同期比396億円増益の1590億円。経常利益は同1611億円減益の853億円、当期純利益は同1569億円減益の329億円となった。
日新火災の正味収入保険料は前年同期比0.3%減の735億円。保険引受利益は同70億円減益の▲46億円だった。経常利益は同96億円減益の57億円、中間純利益は同54億円減益の48億円となった。
国内生保事業では、東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、一部の保障性商品の販売下振れにより計画を若干下回り前年同期比1.4%増の246億円となった。新商品効果(がん保険・回払変額保険)は計画通りとしている。保有契約年換算保険料は前年度末比0.7%減の8048億円となった。当期純利益は同55.0%減の97億円。経常利益は同2.5%減の256億円で、基礎利益は同49.7%減の139億円。事業別利益は同56.3%減の99億円(年初予想に対する進捗率は23.7%)と低位にとどまったものの、一過性の影響等(コロナ・為替)を除いたベースでは221億円(進捗率51.5% 過去5年平均50.5%)だった。
海外保険事業の正味収入保険料は、TMHCCなど北米拠点を中心に年初予想を上回る増収を実現し、各拠点における成長施策の実行(レートアップや引受拡大等)等もあり前年同期比12.7%増の1兆2869億円だった。このうち北米は同36.8%増の8954億円、欧州は同16.2%増の762億円、中南米は同74.5%増の1094億円、アジア・オセアニアは同28.7%増の1229億円、中東・アフリカは同24.3%増の216億円だった。事業別利益は同7.4%減の1182億円。台湾コロナの影響(▲572億円)や、ロシア・ウクライナ戦争に係るリザーブ計上(▲70億円)といった一過性の影響はあるものの、これらを除けば保険引受・資産運用いずれも好調で、主要拠点の実績は現地計画対比で+約230億円(うち保険引受利益は+約180億円)で、台湾コロナの影響を主要拠点の好調な業績や円安進行で相殺するかたちとなった。