2022.10.26 東京海上日動 「超Tプロテクション」新特約で中小企業支援、育休延長時の事業継続費用を補償 「育児・介護休業法」施行に対応

東京海上日動は10月から、「中小企業向けの業務災害総合保険(超Tプロテクション)」において、従業員が育児休業の延長を行った際に企業が負担する諸費用を補償する。2021年6月に改正され、今年4月から段階的に施行されている「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児・介護休業法)で定める育児休業の延長を行った場合に、代替人材確保のための求人・採用費用等をカバーする特約を提供するもので、保険を通じて社会課題の解決に寄与しながら、中小企業マーケットの開拓を進めていく考えだ。

「超Tプロテクション」は、中小企業で働く従業員の業務上の災害に関わる各種補償や損害賠償責任のリスクをカバーする商品で、今回、「育児休業延長時事業継続費用補償特約」を新設した。1歳から1歳6カ月に達するまでの子どもについて、従業員が育児・介護休業法に規定された育児休業を連続90日以上延長した場合に、企業が負担する事業継続にかかる費用を補償する。「保育所に入所を希望しているが入所できない」「養育者がケガや病気等により養育が困難」といったケースなど、法令に定める事由により育児休業を延長した場合に対象となる。
補償は、代替者の求人・採用にかかる費用や損失の拡大防止・軽減のために支出した営業継続費用等で、保険期間中を通じて50万円を限度に支払うことで、企業内で育休を取得しやすい雰囲気の醸成に貢献する(初年度は35万円を限度に補償)。保険料は業種や売上をベースに算出され、多くは月額数十円~数百円程度になるという。
21年6月に改正された育児・介護休業法が今年4月から段階的に施行されており、育児休業を取得しやすい雇用環境整備が求められるなど、育児と仕事の両立への機運が大企業のみならず、中小企業においても高まっている。一方で、社会課題の一つである待機児童問題は認可保育園の増設により改善傾向にあるものの、いまだに保育園に入れないなどの理由で育児休業を延長するケースは依然として高い水準にある。
また、帝国データバンクによると、正社員が不足している企業は21年で40.7%に上り、正社員の人手不足割合は20年5月の29.1%を底に再び上昇傾向がみられる。とりわけ多くの中小企業では慢性的な人手不足に悩まされており、従業員の職場復帰までの長期化による予想外の要員減は深刻な問題となっている。
こうした状況を踏まえ、東京海上日動ではこれまでも、中小企業の従業員等が疾病への罹患(りかん)や介護による休業を取得した際に、企業が負担する事業継続にかかる費用を補償する「三大疾病・介護休業時事業継続費用補償特約」を業界で初めて開発した他、中小企業専用ソリューションサイト「BUDDY+」を通じて、人材派遣サービスや採用コンサルティングサービスを提供するなど、中小企業の人材確保を支援している。
また同社は、昨年から開始している中期経営計画「成長への変革と挑戦2023」において、国内の新種保険で1000億円の増収目標を掲げており、中小企業マーケットの開拓を重要な柱の一つとしている。今回、育休延長時の代替要員の確保を支援する商品を販売することで、三大疾病・介護休業時事業継続費用補償特約と共にマーケット開拓を図っていく。
企業商品業務部の赤木克之次長兼商品支援室長は、「中小企業は日本企業の99%を占める日本経済を支える根幹である一方、昨今の環境変化の中、複雑な経営課題を抱えている。中小企業のさまざまな課題に寄り添い、保険商品・サービス、そして『保険にとどまらない価値』を提供することで、全国約360万社の中小企業の皆さまの挑戦のお役に立ちたいと考えている」としている。また、同室の仁木未佳課長代理および新特約の推進を担当する営業開発部・中小企業支援室の藤田忠嗣課長代理は、「三大疾病や介護による休業とともに、今回の育児休業の延長による中小企業の人手不足という重要な社会課題に対して、当社が保険を通じて少しでも解決に寄与していきたい」として、今後の新特約の普及に意欲を示している。