2022.10.20 東京海上日動 「自社衛星打上げ」の保険開発へ、インターステラテクノロジズと相互協力で合意

東京海上日動は9月27日、ロケットの開発・製造・打上げサービスを手掛けるインターステラテクノロジズ㈱(北海道広尾郡大樹町、稲川貴大代表取締役社長)のパートナーシッププログラム「みんなのロケットパートナーズ」に参画し、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のグローバル展開と新たな保険商品の開発の実現に向けて、相互に協力していくことに合意したと発表した。

インターステラテクノロジズは、「低価格で便利な宇宙輸送サービスにより宇宙へのインフラを構築し、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指す」スタートアップ企業。同社の観測ロケット「MOMO」は2019年5月に国内民間企業で初めて宇宙空間に到達、21年7月には2機連続での宇宙到達に成功した。次世代機となる超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」も開発を本格化させている。「みんなのロケットパートナーズ」は、19年3月に同社が全産業に向けて宇宙に関わる機会を提供する仕組みとして立ち上げたパートナーシップで、各企業が持つ技術やノウハウ、ネットワーク等を生かしてロケット開発に参画しており、これまで丸紅㈱、㈱大林組、室蘭工業大学等35の企業・団体・大学等が参画している。
東京海上日動は「みんなのロケットパートナーズ」に参画し、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のグローバル展開支援を通じて、新たな保険商品の開発やコンサルティングサービスへの展開を目指す。
インターステラテクノロジズのようなロケット打上げ事業者が衛星・ロケットの調達者から評価を受けるためには、その安全性について高い評価を得ることが必要となっているため、まず、東京海上日動ではこれまで築いてきたネットワークとノウハウを生かして、インターステラテクノロジズに対して、リスク管理支援を実施する。そして今後、この取り組みの効果・検証を実施し、他のスタートアップ企業に対して展開するロケット開発段階からのコンサルティングサービスの開発を目指すという。
また同社では、「自社衛星打上げ」に関する保険商品の提供に取り組む。インターステラテクノロジズは国内初の「自社ロケットによる自社衛星の打上げ」という垂直統合モデル構築を進めている。垂直統合モデルを進めるに当たっては、民間企業単独で開発したロケットでは日本で初めて宇宙空間に達したものを有するインターステラテクノロジズの高度な技術力と、東京海上日動が長年にわたり宇宙保険市場で蓄積してきた高度なリスク管理ノウハウが必要だとしており、2社の特徴を掛け合わせることで、同社では打上げに関するフェーズごとに手配する従来の保険ではなく、「打上げ前」から「打上げ後」まで切れ目なくパッケージで提供する新商品によって、国内初の垂直統合モデル構築を後押しするとしている。従来の保険は、打上げ前、打上げ時、打上げ後とそれぞれ別々で保険手配されており、さまざまな主体者の存在や複雑な契約関係がある宇宙関連ビジネスでは、保険手配の煩雑さや抜け漏れが懸念されていた。そこで、必要な保険をパッケージとすることで、抜け漏れの防止や手配コストの削減を実現する。
近年、宇宙産業では従来のロケット打上げ事業者や衛星事業者に加えて、多くのスタートアップ企業・他業種企業の参入表明が見られるなど、宇宙の利用領域と需要の拡大が顕著になっている。そのため、その需要拡大に応える宇宙への輸送手段の確保に向け、世界中で大小さまざまなロケットが開発されている。東京海上日動は1950年代から長年にわたって、人工衛星の運用やロケットの打上げ等に関わる宇宙特有のリスクに対する保険商品の提供やコンサルティングを行いながら、国際宇宙保険市場と関係を構築してきた。これらを通して培ってきた専門性・ノウハウを結集し、社内横断チームが中心となり、宇宙産業に携わる顧客への支援や社会課題解決への貢献を推進するため、今年4月から「宇宙プロジェクト」を開始している。この取り組みの一つとして、同社ではインターステラテクノロジズと相互に協力することで、宇宙産業のさらなる成長・発展への貢献を加速させることとした。