2022.10.03 生保協会 代理店業務品質評価運営 代理店54店の調査開始、今年度は代理店への周知も重要課題に

生保協会は9月20日、東京都千代田区の生保協会会議室で2022年度代理店業務品質評価運営の説明会を開催した。業務教育部担当部長の濵田義博氏が、9月14日に行われた第2回代理店業務品質検討ワーキング・グループの進捗状況に加え、9月から開始した代理店調査に関する事務体制や今後のスケジュールなどについて報告した。初年度の22年度は、申し込みがあった代理店54店全てを対象に調査を実施し、23年2月の審査会を経て、3月に評価付けを獲得した代理店を公表する予定としている。
濵田氏は、代理店業務品質評価運営について、代理店や消費者の意見を踏まえ策定した代理店業務品質評価基準を乗合代理店や生保会社が活用することで、業界全体で代理店業務品質の向上を目指す取り組みであり、評価基準の「基本項目」を全て充足していると宣言した乗合代理店を生保協会が調査し、評価付けを獲得した代理店名や取り組み内容を生保協会のホームページで公表することで、消費者への有用な情報提供につなげると説明した。
調査の事務局体制については、調査業務を担当する代理店業務品質調査班に21人配置し、その中で3人1組のユニットを7組組成し、1ユニットで7~8代理店の調査を担当する。各ユニットには、リーダーを1人配置し、全体統括やバックオフィスのメンバーで原則毎朝ミーティングを行い調査を行う中で生じた疑問点の解決や判断に迷うケースの議論等を行い、ユニットごとで判断のズレが生じないようにすり合わせを行っていると説明した。
書面による調査(オフサイト調査)では、代理店が提出した証跡資料を基に各設問の達成状況を確認して、証跡資料に不足がある場合や設問の回答内容に不備がある場合に質問票を代理店宛に送付するなど、代理店との丁寧なコミュニケーションを徹底していくことを強調した。
運営の適切性の担保を目的に外部の有識者で構成した「代理店業務品質審査会」については、①評価基準の妥当性の担保および確定②業務品質調査の正当性の担保および業務品質調査結果・評価結果の確定③公表内容の確定―の三つの役割があると説明した。
審査会は、学者や弁護士、消費者団体の有識者から6人の委員を選定しており、調査メンバーの9割が保険会社からの出向者であることから、資本関係のある子会社代理店や株主などの場合は、査定の対象から外すといったルールを決めることで、正当性と妥当性を担保すると強調した。
第2回代理店業務品質検討ワーキング・グループで行った①業務品質評価基準の見直しの方向性②更新調査のコンセプト③認知度向上に向けた諸施策―の三つの議論の進捗状況として、業務品質評価基準の見直しに関しては、法令・監督指針・生命保険協会ガイドラインの改正といった外的環境の変化によって都度見直しを行う必要があるものの、原則210項目(基本150+応用60)の総量は増やさないという考えが示されているとした。
更新調査のコンセプトについては、基準の見直しや法令の改正などがあるため、評価付けの有効期間中(3年間)でも自己チェックして結果の提出を義務付けるものの、独自の取り組みや特に高度な取り組みについては、オフサイト調査の証跡資料の提出に加え、オンサイト調査を実施した上で公表資料に取り組み内容を反映させることを示唆していると説明した。
業務品質評価運営の認知度向上に向けた諸施策については、22年度は代理店への周知が重要課題であり、生命保険会社でも業務品質評価基準の考え方を募集代理店共通自己点検表に生かすことや業務品質調査の結果を自社の代理店管理・指導に活用することに向けて幅広く検討を進めていることを報告した。22年度の業務品質調査を受審している代理店については、生保各社で募集代理店共通自己点検表の提出の代替とする検討が進んでおり、今後多くの代理店にも案内されることで、副次的に評価運営の認知向上も期待できるとしている。
濵田氏は、保険会社も業務品質評価運営に積極的に取り組むことに加え、評価基準を活用する考えだとした上で、「業務品質評価運営を多くの代理店に認知してもらい、顧客や消費者のために業務品質を高めたいという代理店のリクエストに応えることを通じて代理店の業務品質の向上に努めていく」と述べた。
代理店業務品質審査会の委員は以下の各氏(敬称略)。
▽後藤元(東京大学大学院法学政治学研究科/教授)▽洲崎博史(京都大学大学院法学研究科/教授)▽坪田郁子(公益社団法人全国消費生活相談員協会/専務理事▽永沢裕美子(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会/代表理事副会長 フォスター・フォーラム(良質な金融商品を育てる会)/世話人)▽幕田英雄(長島・大野・常松法律事務所/弁護士)▽家森信善(神戸大学経済経営研究所/教授)