2022.09.29 ロイズ 22年度中間決算、引受利益12億ポンドを計上、コンバインドレシオは良好な水準
ロイズは9月8日、2022年度中間決算の引受利益が改善したと発表した。12億ポンドの引受利益(前年同期:9億6000万ポンド)、91.4%のコンバインドレシオ(前年同期:92.2%)を計上し、22年上半期は一連の巨大自然災害、ウクライナ侵攻、インフレーション、その他地政学的不安定要因に見舞われたにもかかわらず、コンバインドレシオは前年同期比で0.8ポイント改善し、15年以来の良好な水準となった。
金利上昇のあおりを受けて、ロイズでは含み損による31億ポンドの運用損失(前年同期:6億ポンドの運用利益)を計上した結果、18億ポンドの税引前損失(前年同期:14億ポンドの利益)となった。ロイズの運用は短期ベースであり、23年内に金利上昇によるプラスの影響の発生、それに伴う運用収益の改善が期待されるとしている。
基調となる損害率は48.9%(前年同期:50.5%)に改善し、経費率も0.4ポイント改善して35.4%(前年同期:35.8%)となった。ロイズでは効率化促進を目的としたブループリントⅡプログラム(デジタル化を通じてロイズ市場に抜本的な変革をもたらすための包括的戦略)を通じて持続可能なパフォーマンスを実現しつつ、デジタル化投資に注力しており、継続的な経費率の低下を見込んでいる。
ロイズではさらに保険料率上昇による良好な営業環境を生かして増収を実現しており、総収入保険料(GWP)は17.4%伸ばして240億ポンド(前年同期実績:205億ポンド)、正味既経過保険料(NEP)は14.4%伸ばして141億ポンド(前年同期実績:124億ポンド)となった。5年連続して保険料率上昇傾向が続いており、その結果、料率水準は7.7%上昇した。
ロイズでは想定外の事象に際してグローバル顧客がより確信をもって意思決定を行えるよう、保険提供による支援を継続してきた。COVID―19については初期段階から現実的な施策を講じつつ、ウクライナ紛争によって影響を被った顧客に向けた準備金として再保険を除く正味ベースで11億ポンドを積み立てている。ロイズではロシアに対する制裁の実施に向けて世界中の政府や規制当局と協力すると同時に、7月に公表したウクライナからの穀物回収(輸出)船を対象とした象徴的な保険ファシリティを稼働している。
正味資産は365億ポンド(21年度:366億ポンド)、中央ソルベンシー比率、およびロイズ市場のソルベンシー比率はそれぞれ395%、179%(21年度はそれぞれ388%、177%)となっており、不透明な厳しい条件下でのロイズの顧客サポート能力の高さを示しているとしている。
ロイズの最高経営責任者ジョン・ニール氏は「本日公表した業績はロイズにおける持続可能なパフォーマンスと資本ポジションの復元力を示している。金利の上昇によって当上半期は含み損を計上したが、これは23年以降の運用収益強化をもたらすものであって長期的には保険会社にとって朗報だ。他方でウクライナにおける軍事衝突は依然として破滅的な影響を及ぼしているが、ロイズではこのような悪影響から顧客を守るために先を見越した対策を講じてきた。今後も予想される不透明な時代を通じて持続可能なパフォーマンスを継続する」としている。
ロイズの22年度中間決算における主要財務データは次の通り。
▽総収入保険料:240億ポンド(前年同期実績:205億ポンド)▽引受利益:12億ポンド(前年同期実績:9億6000万ポンド)▽コンバインドレシオ:91.4%(前年同期実績:92.2%)▽定常的コンバインドレシオ:81.5%(前年同期実績:85.4%)▽基調となる損害率:48.9%(前年同期実績:50.5%)▽正味運用損失:31億ポンド(前年同期実績:6億ポンドの正味運用利益)▽税引前損失:18億ポンド(前年同期実績:14億ポンドの税引前利益)▽正味資産:365億ポンド(前年度通年実績:366億ポンド)▽中央ソルベンシー比率:395%(前年度通年実績:388%)