2022.09.08 金融庁 2023税制改正要望公表、生命保険料控除制度の拡充等求める
金融庁は8月31日、「令和5(2023)年度税制改正要望項目」を公表した。保険関連では「生命保険料控除制度の拡充」と「企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長(厚生労働省主担)」などが要望項目になった。
金融庁としての主な要望項目は、①「資産所得倍増プラン」関連要望(NISAの抜本的拡充、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入、教育資金一括贈与制度の拡充等、金融所得課税の一体化)②クロスボーダー取引に係る税制上の環境整備(海外進出における支店/子会社形態の税制上のイコールフッティング、海外ファンドとの債券現先取引(レポ取引)に係る非課税措置の恒久化)③保険等(生命保険料控除制度の拡充、企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長)④暗号資産(暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し)―となっている。
「保険等」のうち、「生命保険料控除制度の拡充」では、現状および問題点として、「生命保険料控除制度は、所得税額・住民税額の計算上、支払保険料の中から一定額の所得控除が可能」「人生100年時代を迎え、老後生活に向けた資産形成はもとより、医療などのニーズへの自助による備えが一層重要になっている。加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において、自身や家族のために病気や死亡等のリスクに備えることの重要性が再認識された」「こうした状況下において、生命・介護医療・個人年金保険が持つ私的保障の役割はますます大きなものとなっている。生命保険料控除の拡充は、さまざまな要因により経済の先行きに対する不透明感が高まる中においても、将来に向けた保障や資産形成への備えを継続する一助となり、ひいては、国民の相互扶助を後押しし、国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することとなる」との認識を示すとともに、要望事項として従来同様、「所得税法上および地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円および3.5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円とすること」を要望した。
「企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長」では、現状および問題点として、「特別法人税とは、企業年金等の積立金に対して課税される法人税(1.173%)のこと(注:特別法人税は、掛金拠出時に給与所得として課税すべきところ、給付時までに課税が繰り延べられることを踏まえ、その期間の遅延利息相当分を課税するという考え方に基づき1962年に導入)」「特別法人税については、超低金利の状況等を踏まえ、1999年度から凍結されているが、2023年3月末でその凍結措置が期限切れ」とし、要望事項として従来同様、「特別法人税を撤廃または課税停止措置を延長すること」を要望した。米国・英国・ドイツ・フランスの主要国の企業年金税制では、拠出時(事業主拠出分)だけでなく運用時も非課税とされていることを例示。
なお、その他の要望項目で保険に関連するものでは、「死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ」「保険会社に係る収入金額による外形標準課税方式の維持」「破綻保険会社等から協定銀行が不動産を取得した場合の不動産取得税の非課税措置の延長」がある。