2022.09.05 三井住友海上 米フロンティング保険会社を買収、米MGA市場の成長取り込むプラットフォームに

三井住友海上は8月10日、米国のTransverse Insurance Group LLC(以下、Transverse社)の買収手続き開始を決定したと発表した。取得価額は、Transverse社の持分取得価格が4億米ドル(約538億円、1米ドル=134.61円換算)で、取得価額合計(概算額)は約542億円となる(買収後のTransverse社の業績が好調である場合に、一定の追加支払額を支払う業績連動型追加支払条項を採用)。異動後の所有持分割合は100%。関係当局の承認等を前提として、本年12月の完了を予定している。

MS&ADホールディングスと三井住友海上は、「世界トップ水準の保険・金融グループの創造」の実現に向け、世界最大の損保市場である米国事業の拡大を目指している。
米国では、保険会社から引受権限等を付与され保険募集、契約管理等を行うManaging General Agent(以下、MGA)が引受・販売チャネルとして存在感を増している。2021年の米国MGAの市場規模は約9兆円まで拡大しており、同社では米国事業の基盤拡大の一つの手段として、当該領域の開拓を進めている。
同社は、MGAに一定の機能と権限を委譲し、そのMGAが販売した保険契約に関わるリスクを再保険会社へ仲介するビジネスモデルの保険会社(フロンティング保険会社と呼ばれる)で、全米50州での保険引受免許を持つことや多くのMGAとのネットワークを構築している強みを有しており、三井住友海上がMGA市場の成長を取り込むためのプラットフォームとなるという。また自らもリスクの一部を保有し、MGAや再保険会社とともにリスクとリターンを分け合うビジネスモデルは市場から高い評価を得ており、持続的な成長を実現できると見込まれる。
同社を傘下に収めることにより、米国MGA市場の成長取り込みによる収益拡大や、三井住友海上の強固な財務基盤を背景としたTransverse社の信用力引き上げによるビジネス機会の拡大等のグループシナジーも期待できることから、今回の買収手続き開始を決定した。
Transverse社の所在地は、米国デラウェア州。資本金は1億700万米ドルでVirgo Transverse Core LLCが99.2%の持分を保有している。2021年12月期の連結純資産は8873万9000米ドル、連結総資産は3億9526万5000米ドル、正味アーンド保険料は350万6000米ドル、資産運用益は160万6000米ドル、手数料収入は630万米ドル、親会社株主に帰属する当期純利益は▲578万5000米ドル―だった。