2022.08.04 JA共済連 21年度決算、基礎利益1千億円減の4356億円 生命総合共済新契約件数13%増に

JA共済連は7月28日、同日開催された通常総代会で2021年度決算が承認されたことを受けて、同年度の事業活動と決算の概要について発表した。21年度は、年度末の急激な円安による為替変動リスク抑制のための費用の増加や20年度に発生した地震による支払共済金の増加などにより、基礎利益は前年度から1070億円減益の4356億円となった。ソルベンシー・マージン比率は劣後ローンの借入実施などにより、前年度末比80.4ポイント増加し1357.3%となった。実質純資産額は前年度から1兆4163億円減少し16兆7187億円となった。
事業成績では、新契約高は、生命総合共済(生命・医療系・介護・生活障害・特定重度疾病・年金共済合計)の新契約件数が前年度比13.4%増の160万2000件、保障共済金額が同4.0%減の3兆1452億円だった。建物更生共済が同19.0%減の86万3000件、保障共済金額が同18.8%減の13兆879億円。その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計は、保障共済金額16兆2332億円となり、前年度から16.3%減少した。自動車共済の新契約件数は同0.5%減の813万件、連合会が収納した共済掛金は同0.6%減の2664億円だった。
生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は同3.1%減の231兆4504億円で、解約・失効率は生命共済が同0.34ポイント上昇し2.51%、建物更生共済が同0.09ポイント上昇し2.14%となった。
共済金の支払いについては、事故共済金が同8.2%増の1兆561億円、満期共済金が同5.0%減の2兆7581億円で、総額は3兆8143億円(同1.7%減)。
財務状況では、総資産は前年度末比0.3%増の58兆1926億円で、運用資産は同0.2%減の56兆292億円。また、責任準備金は同0.4%減の50兆2710億円となった。
損益の状況では、直接事業収益が前年度比0.4%増の4兆6526億円、財産運用収益が同0.6%減の1兆797億円。一方、直接事業費用は同0.5%増の5兆3193億円だった。この結果、経常利益は同2.3%増の1703億円で、当期剰余金は同0.5%減の1029億円となった。
健全性の確保については、①将来の利差収支改善への対応(公社債等利回りの低下が続く中、予定利息負担軽減に向けて責任準備金の特別積立てを実施するとともに、将来の特別積立てに備え準備金の積立てを実施)②巨大災害リスクへの対応(近年増加している中規模災害にかかる共済金の支払いに備え異常危険準備金を造成するとともに、巨大災害への対応に向けた効率的な再保険の手当てにより、前年同水準の支払担保力を確保)③価格変動リスクへの対応(収益上積みを図るため外貨建債券等の残高を拡大する中、地政学リスク等による今後の相場変動や物価上昇に伴う将来の金利上昇のリスクに備え、準備金の積立てを実施)―に取り組んだ。
21年度の主要実施施策では、「令和元年度から3年度JA共済3か年計画」の最終年度として、同計画の基本方針を踏まえて策定した21年度事業計画に基づき、次の三つの重点取り組み事項に取り組んだ。
取り組みの一つ目「保障・サービスの一体的な提供を通じた生命保障対策・契約者フォロー活動の徹底」では、21年4月に仕組改訂を実施した医療共済およびげんきなカラダプロジェクトの案内等を契機とした3Q訪問活動、ひと保障あんしんチェックを展開し、3Q訪問活動の実施世帯数は629万8007世帯(前年度比6.8%増)、あんしんチェックの実施世帯数は563万666世帯(同5.6%増)と前年度から伸長した。契約者フォロー活動の徹底に向けては、JAの課題や体制整備の検討状況等に応じて、各種体制整備支援プログラム等を活用し、JAにおける推進・保全体制および事務処理体制の整備に取り組んだ。
こうした取り組みの結果、推進総合実績は63億9925万ポイント(目標達成率95.0%)、重点施策実績は23億8521万ポイント(目標達成率94.4%)となった。また、生命総合共済の推進総合実績は17億2584万ポイント(前年度比17.2%増)、医療共済の新契約件数は72万9998件(同182.3%増)、複数分野加入者数は385万1003人(同14万7235人増)と前年度を大きく上回り、2019年度から21年度JA共済3か年計画の重点取組事項である「契約者数の確保に向けた生命保障を中心とする保障提供の強化」の取り組みを進めた。
取り組みの二つ目「デジタル技術等を活用した新たな接点構築・活動環境の整備」では、21年4月にJA共済アプリ、Webマイページをリリースし、お役立ちコンテンツや各種サービスをいつでもウェブ上で組合員・利用者へ提供できる環境を構築。登録促進に向けて組合員・利用者向けのWebマイページ登録キャンペーン、契約者フォロー活動を通じたWebマイページ登録促進奨励等を展開し、Webマイページ登録者数は72万8458人となった。また、同年4月から、共済契約等の利用者情報やWebマイページ・JA共済アプリ等から得られた情報等を一元管理する担当者共通支援システム(コロンブス)を展開し、契約者対応とJA内での情報共有時に活用した。さらに、同年6月に非対面による契約者面談ツールとしてオンライン面談システムを導入し、非対面による面談を希望する組合員・利用者、または遠隔地等の理由により訪問できない組合員・利用者に対しての契約者フォロー活動で242のJAが活用した。
取り組みの三つ目「組合員・利用者本位の活動の徹底およびコンプライアンス態勢強化等による信頼向上」では、組合員・利用者本位の活動の徹底に向けて、「電話等による親族等への確認」等、高齢者に配慮した推進活動に取り組んだ。組合員・利用者の声を生かしたCS向上への取り組み強化に向けては、21年10月から、新たに「簡易満足度調査」を開始することで、全JAの満足度が算出できる環境を整えた。適正な事務手続きの定着・実行に向けては、同年4月から、共済金・返戻金等の連合会直接払、共済証書等の契約者直送を全量実施した。