2022.07.29 日本生命、あいおいニッセイ同和損保ほか 炭素会計アドバイザー協会設立、CO2排出量測定で民間資格制度創設 ウェイストボックス社のノウハウ反映

日本生命、あいおいニッセイ同和損保、㈱ウェイストボックス(愛知県名古屋市、鈴木修一郎代表取締役)、中部電力ミライズ㈱、豊田通商㈱の5社は7月1日、「一般社団法人炭素会計アドバイザー協会」(所在地:愛知県名古屋市中区栄2―6―1)を設立した。国際的な枠組みを踏まえた国内での民間企業等によるCO2排出量の正確な測定手法と財務情報への反映を目的として設立したもので、設立事務局は、あいおいニッセイ同和損保が務めた。今後、国内初となる民間資格「炭素会計アドバイザー資格制度」を創設するとともに、その企画・運営等を行う。代表理事にはウェイストボックス代表取締役の鈴木氏が就任した。
炭素会計アドバイザー協会の設立は、2050年カーボンニュートラル達成に向け企業・団体等がCO2排出量の削減を進める中で、正確な排出量の測定・開示の必要性が高まっていることなどを受けたもので、今後創設する「炭素会計アドバイザー資格制度」には、欧米の国際環境NGOを中心とするカーボンニュートラルの国際基準を踏まえ、CDP(2000年に英国で設立された国際的な環境NGO。投資家、企業・団体等に環境影響を管理するための情報開示システムを運営し、ESG投資で世界で最も参考にされているデータを提供する)の国内唯一の気候変動コンサルティングパートナーであるウェイストボックスの知見と研修コンテンツを反映する。
同協会では今後、①炭素会計アドバイザー資格制度の企画・運営等②基盤の構築③情報等の発信④受託事業―に取り組む。
①の資格制度の企画運営では、▽資格取得希望者に対する「サプライチェーンを含めたCO2排出量の把握」や「パリ協定が求める水準と整合したCO2中期削減計画の立案」等に関する研修や試験等の実施▽資格取得希望者等に対する「SDGsやESGの基本的な考え方」や「炭素会計の重要性」等に関するeラーニングの提供▽資格取得者に対する定期的な資格更新研修の実施―等に取り組む。
②の基盤の構築では、▽研修に関連するデータベース作成▽資格試験問題に関するデータベース作成▽国際環境NGOによる提言などのデータベース作成―等を行う。
③の情報等の発信では、会員と資格取得者に向けて気候変動関連国際NGOの最新動向の発信等を実施。
④の受託事業では、▽企業、自治体、団体などからの調査などの研究依頼の受託▽企業、自治体、団体などからの講師派遣の依頼の受託▽新聞、雑誌などからの執筆依頼の受託―等を行う。
新たに創設する「炭素会計アドバイザー資格制度」は、難易度に応じて▽SDGsやESGの基本的な考え方を理解し自社(1企業)のCO2排出量の概算を算出することができる3級▽財務会計とひもづけた炭素会計の仕訳とサプライチェーン全体でのCO2排出量を算出することができ、排出権の基本的な考え方を理解している2級▽上場企業における気候関連財務情報の開示について国際基準を踏まえたアドバイスができ、排出権取引を実践することができる1級―の三つに区分されており、今年10月から「受験資格講習」を開始し、講習修了者を対象に23年4月から「3級資格試験」を実施する。資格制度は、相対的にCO2排出量が多い製造業集積地である中部地区から開始するとしている。国際基準やルールの変更が予想されるため、資格取得者への定期研修を行う「更新制度」を予定しているという。
同協会では今後、自立してCO2排出量算定や上場企業に対して情報開示等のアドバイスができる「1級資格者」人材を日本全国に輩出し、国際基準に関する正確な知識の普及に努めていく考えで、民間資格制度として国際環境NGO等と連携し、グローバルにも通用する制度を目指すとしている。なお、同協会の活動により生じた収益は、森林保護等の環境問題に取り組む団体等に寄付する予定だという。
現在、同協会では同協会の事業に賛同し、カーボンニュートラル推進に向けたCO2測定手法の普及に向け協働する会員企業等を募集している。会員企業には最新情報の提供に加え、企業の従業員に対する研修受講料・資格試験受験料の割引を行うとしている。