2022.07.26 住友生命 22年定時総代会開催、人・デジタルでウェルビーイング貢献、健康長寿と脱炭素社会実現に注力

住友生命は7月5日、大阪市のホテルニューオータニ大阪で「2022年定時総代会」を開催した。高田幸徳社長が21年度決算概要や「スミセイ中期経営計画2022」の進捗状況、22年度の取り組み方針などを説明した他、決議事項として21年度剰余金処分案承認の件、取締役11人選任の件など3議案を審議し、全て承認された。高田社長は、「スミセイ中期経営計画2022」の最終年度となる22年度についてサステナビリティ、マーケット戦略・顧客接点の強化、資産運用、海外事業、人財共育・デジタルインフラの強化を重点に取り組みを進めるとした上で、「新型コロナウイルス感染症への対応を継続しながら、人とデジタルで顧客を支え、ウェルビーイングに貢献することで『なくてはならない』生命保険会社の実現を目指す」と述べた。

総代会で高田社長はまず21年度について、「3カ年計画の『スミセイ中期経営計画2022』に掲げる①社会に貢献する②社会に信頼される③社会の変化に適応する―の三つの基本方針のもと、『なくてはならない』生命保険会社の実現を目指し、特にウェルビーイングとサステナビリティに注力して各事業分野で取り組みを進めた。また、人生100年時代の到来によって、身体の健康だけでなく、精神的・社会的な意味での健康も重要になることから、“住友生命「Vitality」”を中心に『一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング』への貢献に注力した。さらに、社会や顧客に対してウェルビーイングにつながる価値を提供するという意味で、人生100年時代の到来に向けて、社会保障制度の補完という生命保険の役割に鑑みた情報提供などが重要であり、社会保障制度に関する教育の強化などの取り組みを進めた」と説明した。
新型コロナウイルス感染症への対応については、顧客と従業員への感染拡大防止を最優先に取り組みを継続し、その中で顧客に対してデジタルツールなどを活用しながら、顧客の要望に沿った方法でコンタクトすると同時に、保険料払込猶予期間の延長や医療機関以外での療養の場合にも保健所の証明書等の提出で、入院給付金を支払うなど特別取扱いを実施したと報告した。
サステナビリティについては、「20年3月に設置したサステナビリティ推進協議会で、経営レベルでの検討・共有を行い、50年温室効果ガス排出量ネットゼロを目指すことを宣言し、生命保険事業者として職員参画での取り組みを進めると同時に、機関投資家として責任投資に注力した。また、21年9月には、サステナビリティの取り組みをまとめたレポートを発行しディスクローズの充実とともに、グループ全体としての『人権への取り組み』を一層進めるために11月に『住友生命グループ人権方針』を制定・公表した」と報告。
“住友生命「Vitality」”については、「加入者の歩数や健康診断に関する調査やアンケート結果によって、日々の歩数の増加や健康診断結果の改善が見られるとともに生活の質の向上につながっているという声も寄せられている。22年3月に累計販売件数が100万件を突破しており、引き続き“住友生命「Vitality」”の進化を通じて、『一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング』への貢献を目指していく」とした。
サービス面では、「人ならでは」の価値にデジタルを融合することで、顧客の状態に応じたサービスを提供し、顧客の体験価値向上を目指している。加入時や加入後の事務手続きに加え、22年1月には、給付金請求手続きのデジタル化を開始するなど、保険事務手続き全領域でデジタル活用を進めているとした。
21年度の業績については、個人保険・個人年金の新契約年換算保険料は、“住友生命「Vitality」”を中心に保障性商品の販売が増加した他、前年度比6.1%増の1007億円、解約・失効契約の年換算保険料が同13.4%増の697億円となった。保有契約全体の年換算保険料は、前年度末比0.8%減の2兆2693億円となった。
収入面では、保険料等収入が前年度比2.0%減の2兆1431億円、資産運用収益が同6.3%増の8670億円となっている。
基礎利益は前年度比3.9%増の3611億円、総資産については、前年度末比2.9%増の36兆4433億円となった。ソルベンシー・マージン比率は、同31.5ポイント減の809.0%となったが、引き続き十分な水準を確保していると説明した。
22年度については、“住友生命「Vitality」”の浸透や人生100年時代を見据えたサービス・情報提供を通じて、健康長寿社会とともに、脱炭素社会実現に向けて注力することに加えて、社会貢献活動などに職員参画で取り組む他、「住友生命グループ人権方針」のもと、人権尊重の推進など社会課題解決に向けた取り組みとガバナンスを強化するとした。
マーケット戦略・顧客接点の強化については、営業職員チャネルでさまざまな年齢層の多様なニーズへの対応を進めると同時に、顧客への質の高いコンサルティングサービスを提供するために、営業職員の育成を通じて、サステナブルな営業職員体制を構築する。また、エリアごとの特性に応じた戦略的なマーケット政策と法人接点づくりにも注力するとした。
金融機関等代理店・保険ショップ(マルチチャネル)では、顧客ニーズを的確に捉えた商品開発や提携事業のさらなる推進による顧客への価値提供に取り組む。サービス面では、人とデジタルの融合を進め、社会や顧客にウェルビーイングにつながる価値提供に向けて、社会保障制度の補完という生命保険の役割を踏まえた顧客対応を促進するとした。
資産運用については、国内で低金利環境が長期化している一方で、米国ではインフレーションを背景に利上げが加速するなど市場の不透明感が増す中で、顧客の安心・満足に資する資産運用の実現に向けて、資産運用収益力向上とリスクコントロールの強化に取り組むことに加え、責任ある機関投資家として、脱炭素と持続可能な社会の実現に向けて、実効性のある取り組みを推進するとした。
海外事業については、海外事業基本方針に則り、シメトラの持続的成長やアジア出資先の企業価値向上に資する取り組みを進める。特に長期化する新型コロナウイルス感染症の経営への影響やインフレーションによる長期金利への影響など不確定要素を踏まえ、出資先の状況をきめ細かくモニタリングし必要に応じた支援とともにグループガバナンスを強化していくとした。
人財共育・デジタルインフラの強化については、人財共育本部を中心とした人財戦略の検討やダイバーシティの推進に注力し、また新社屋に移転する東京本社では、より一層の価値創造につながる働き方改革の進化に取り組む他、デジタル活用(DX)によるCX・EX向上に向けた取り組みを推進するとともに、前提となるサイバーセキュリティ強化にも取り組むとした。
また、「SUMISEI INNOVATION FUND(CVC)」等を通じたオープンイノベーションを推進しWaaSエコシステム等の新たな価値の創造を目指していくとした。