2022.07.12 金融庁 特定保険募集人の事業報告様式改訂を施行、自律的な体制整備への活用期す、監督指針でExcel提出を明記
金融庁は7月4日、「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」および「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)に関するパブリックコメントとそれに対する同庁の考え方を公表するとともに、同日付で改正内閣府令等を公布・施行した。
2016年5月29日の保険業法の改正に伴い、販売シェアが拡大している保険代理店チャネルの重要性に鑑み、監督当局が保険代理店の募集形態や販売実績等を把握するため、保険業法施行規則第236条の2の要件を満たす規模が大きい特定保険募集人に該当する保険代理店については、同施行規則別紙様式第25号の2または第25号の3に規定する事業報告書の作成・提出が義務付けられた。今回、上記保険業法改正から5年以上が経過し、同報告書をモニタリングの端緒としてより有効に活用するとともに、保険代理店の作成負担の軽減を図りつつ、保険代理店による自律的な体制整備等にも活用できるよう、同報告書における必要な情報を選別・再検討の上、当該様式の改訂など、所要の改正を行ったもの。
具体的には、別紙様式第25号の2または第25号の3の「事業概要」において、沿革、株式基本情報(大株主)、保険募集に係る募集人の給与・報酬の形態、会社業績の状況、組織・体制・会議体、主要販売チャネル、主要顧客の属性、主要販売チャネルにおける集客方法、募集関連行為従事者等を通じた見込客の紹介等の有無、保険募集・契約管理・共同募集に関するシステムの導入状況、高齢者・障がい者に対する保険募集、個人情報の保護に関する法律への対応に関する事項、コンプライアンスに関する教育体制欄が追加され、事務所の状況欄が削除された。「取扱保険契約等の状況」においては、取扱保険契約の種類、件数等の具体的な内容または算出の方法欄が追加された。
また、保険会社向けの総合的な監督指針において、特定保険募集人の事業報告書の記載要領等は、Excelファイルを用いて提出するものと明記された(Ⅱ保険監督上の評価項目Ⅱ―4業務の適切性Ⅱ―4―2保険募集管理態勢Ⅱ―4―2―11事業報告書)。
4月12日から5月12日までに出されたパブリックコメントでは、「保険業法施行規則別紙様式第25号の2または3に規定される様式が改訂されるところ、過年度分の数値については今回の様式改訂を踏まえた統計やシステムの手当ができておらず、報告用の数字が把握できない可能性も想定される。従って、過年度分の数値に関しては、様式改訂後一定期間は可能な範囲内で作成し、提出することにより受領いただきたいと考えるが、この点につき、当局の考えをお示しいただきたい」との質問に対しては、金融庁は「様式改訂以降、最初に提出する事業報告書等において、仮に過年度の数値を記載することが困難である場合には、必ずしも記載することを求めるものではありません」と回答。
また、「エクセルも慣れれば使いやすいが、外国もののエクセルに限定する必要もないかと考えられる。また、今回報告内容が細かくなりかつ増えているが、ここまですることで企業側の負担も大きくなるが、その負担増を凌駕するメリットはどのようなものがあるのか」との質問に対しては、「エクセルは、表計算ソフトとして広く使用されていることから、現在も当庁ウェブサイトを通じエクセルで本件報告書様式を提供しております。なお、報告書提出において紙ではなく限定された様式によるオンライン提出を活用いただくことで、電子化のさらなる促進および集計上の負担軽減に資することを企図しております。また、今回の改訂は、代理店の規模・特性や体制整備状況を適切に把握すること等を目的としており、これが政策上のメリットと考えております。なお、企業側の負担については、販売実績状況に関して、保険商品名ごとに全保険商品の実績を報告するのではなく、保険種類ごとに上位5商品の実績を報告する形式に効率化したほか、一部項目について、適切な既存書面がある場合には、その書面の添付をもって記載を省略できるとするなど、負担軽減に配慮しております」としている。
「保険業法施行規則別紙様式第25号の2または3に規定される様式の提出について、掲載されている形式(Excelファイル形式)での提出が求められているものと認識しているが、別添可としている書面に関するファイルについては、特段ファイル形式の指定はないという理解でよいか。また、当様式の提出方法について、22年4月1日以降は、金融庁電子申請・届出システム等を利用した申請・届出に協力するよう要請されている認識をしているが、この点につき、認識の相違はあるか」という意見に対しては、「貴見のとおりです」としている。