2022.07.11 あいおいニッセイ同和損保 タフビズに「地震BCP対応補償特約」、主契約に連動し50%を補償、休業損害も、最短で当日に契約完結、迅速対応可能に

 あいおいニッセイ同和損保は、7月(10月以降保険始期契約分)から、中小企業向け火災保険「タフビズ事業活動総合保険」で、地震発生後の事業継続を支援する「地震BCP対応補償特約」の販売を開始する。中小企業向け火災保険の主契約(火災や風災などの補償)の保険金額・支払限度額に地震補償が連動する仕組みを採用することで、火災保険契約時の建物情報のみで保険料試算ができるようにし、これにより、中小企業にとって加入しやすくなり、地震による物損害や休業損害へ簡易的に備えることを可能にした。また、最短で当日に契約を完結でき、顧客ニーズへの迅速な対応を可能にする仕組みも構築。同社では、同特約の販売を通じて、中小企業のBCP(事業継続計画)強化を下支えしていくとしている。

 近年の自然災害は広範囲かつ甚大な被害をもたらし、企業の事業継続に大きな影響を与えている。「2019年版中小企業白書」によると、中小企業が発生を最も懸念している自然災害は地震であり、地震発生時のBCP強化が求められている。また、2019年7月の中小企業強靱化法施行以降、BCP策定の必要性に対する認知度も高まっており、地震リスクに対する補償のニーズは高くなっている。
 同社では、企業向けの地震補償として、従来、地震・噴火・津波による物損害を補償する「地震危険補償特約」を販売している。しかし、この特約は補償条件を企業ごとに設定できる一方、企業ごとのリスク実態に応じた料率設定を行うことから、地震のリスク判断に関する情報の提出や、保険金額に対する支払限度額の設定等が必要であり、中小企業にとって加入のハードルが高いものとなっていた。また、地震・噴火・津波による休業損害を補償する商品は、同社では一般的に販売していなかった。
 同社ではこうした背景や課題などを踏まえ、これまでの引受ノウハウを生かし、「中小企業にとって加入しやすい地震補償」「事業中断リスクの軽減に資する商品」をコンセプトとして新たな特約を開発したもの。
 従来の企業向け「地震危険補償特約」では、リスク実態に応じた料率設定とするため、顧客から加入の相談を受けた後、代理店から保険会社への保険料算出依頼を必要としており、即日の見積もりの提示ができなかった。新たな特約では、補償内容や保険料体系をシンプル化することで募集から計上までを代理店システムで完結する仕組みとし、保険料見積もりを顧客へ提示するまでの期間を短縮することで、顧客のニーズへの迅速な対応を可能にした。
 「地震BCP対応補償特約」では、地震、噴火またはこれらによる津波によって保険の対象に生じた「物損害」および「物損害が発生したことによる休業損害(損失等)」を補償する。物損害の補償では、損害保険金として損害の額(免責10万円)を支払う。支払限度額は主契約火災保険の保険金額×50%(建物は5000万円、建物内設備・什器等および建物内商品・製品等は1000万円が限度)。休業損害の補償では、休業損害保険金として粗利益日額×休業日数(控除3日、最大30日)を、営業継続費用保険金として実費(500万円限度)を支払う。
 付帯できるのは、保険始期が22年10月1日以降の「タフビズ事業活動総合保険」(主契約の火災保険)で、物損害の補償は主契約の火災保険で建物または建物内収容動産を補償する契約が対象となり、休業損害の補償は主契約の火災保険で休業損害を補償する契約が対象となる。併用住宅(店舗や事務所などを併設した居住用建物)には付帯できない。
 保険料水準は地域・建物構造・築年数・保険金額等により異なる。例として、建物の保険金額5000万円・支払限度額2500万円、設備・什器等の保険金額1000万円・支払限度額500万円、粗利益日額3万円の場合、東京都で約78万円、大阪府で約46万円が示されている。
 同社では、「中小企業へ事業継続力強化の提案を進めており、今回の『地震BCP対応補償特約』の開発もその一環。中小企業の皆さまにさらなる事業継続力の強化を図っていただくことを通じて、『レジリエントでサステナブルな社会』の実現に貢献していく」としている。