2022.07.06 損保ジャパン 「建てかえ費用特約」販売へ、台風・豪雨被害の建てかえニーズに対応

 損保ジャパンは、2022年10月1日以降始期の個人用火災総合保険を対象に「建てかえ費用」特約の販売を開始する。住宅の損害額(修理費用)と建てかえに必要な費用との差額を補償し、特約保険料は年間300円~500円程度。同特約は、近年の自然災害による被害の増加、同社独自のアンケート調査・ユーザー調査会社による本格調査等により把握した顧客ニーズに対応するだけでなく、省エネ住宅の推進、住まいからのCO2排出削減、自然災害の激甚化に伴う「住宅の建てかえ」といった社会的課題にも対応する点が大きな特長だ。

 同特約では、住宅の損害の額が保険金額の70%以上となった場合に、損害の額と建てかえに必要な費用の差額を補償する。また、建てかえのために損害を受けた住宅を取りこわす場合には、取りこわすための費用も補償する。
 建てかえ費用保険金は、損害を受けた建物の建てかえのために負担する費用-損害の額(建物の保険金額-損害の額が限度)。取りこわし費用保険金は、取りこわし費用の実費(建物の保険金額の10%限度)で、残存物取り片付け費用として支払われた保険金の金額を差し引く。個人用火災総合保険にセットして販売し、住宅の協定再調達価額と同額の保険金額を設定している契約に自動で付帯される。
 リテール商品業務部個人財産グループ課長代理の渡部翔吾氏は、「商品開発のコンセプトは、お客さまのニーズと社会が抱える課題の両方について『解』を導き出すこと」とし、「お客さまのWellbeing(幸せ、より良い社会)に貢献するユニークな商品を目指した」としている。
 同社では、検討した複数の商品・サービスアイデアを具現化するため、「SOMPO Park (ソンポパーク)」(注1)の会員向けに21年4月にアンケート(注2)を実施。約8割が、「自然災害等により自宅が7割以上損傷した場合」の新築への建てかえ意向があり、そのような保険があった場合に加入したいとの回答は(保険料次第で加入したいとの回答を含めて)86.2%に達したという。
 また、独自調査の結果を踏まえて、ユーザー調査会社による本格調査を21年5月に実施(注3)。「建てかえ費用の残り3割分を補償する保険」に対する保険料の許容度を聞いたところ、保険加入意向者(1万9247人)のうちの65%が、年間1000円~3000円程度であれば加入したいと回答したとのこと。一部(築古住宅の所有者など)には、年間5000円程度でも検討したいとの回答もあるなど、ニーズが明らかになった。
 一方、今年6月13日には「改正建築物省エネ法」が成立した。25年度に全ての住宅・建築物に対して、省エネ基準への適合を義務付けることが柱で、新築住宅については、30年にZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)水準、50年にはストック(中古物件)平均でZEH水準の省エネ性能が確保されている状態を目指す。国内では、2018年時点で、1980年省エネ基準およびそれ以前の住宅が全体の67%という実態がある(国交省)。
 渡部氏は、「新特約は、自然災害リスク、および、脱炭素社会実現に向けた機運の高まりに対応する内容となっている。代理店向けにはすでに案内を開始しており、7月以降は研修動画の提供や代理店業務連絡会での紹介なども行っていく」と話している。同社では、年間約100万件を超える個人向け火災保険を取り扱っており、同火災保険に原則自動セットされることから、新規契約や満期のタイミングに合わせて、顧客にメリットを理解してもらえるよう準備を進めている。
 同特約の加入については、築浅住宅所有者の意向が強いことも分かっているため、新築住宅を取り扱うハウスメーカーや住宅ローンを担う金融機関には、そうしたニーズの実態などを丁寧に説明していくという。また、築古住宅所有者や満期更新の顧客への対応が多いと考えられる専業代理店へも、最適なアプローチ方法を提案するなど、代理店支援も工夫していく考えだ。
 リテール商品業務部では、「Innovation for Wellbeing」に徹した商品を通じて、よりよい社会の実現に商品を通じて貢献していきたい考えで、「マーケティング部との連携も通じて、新特約を訴求していきたい」と意欲を見せている。
 (注1)「SOMPO Park(ソンポパーク)」は、お客さまに「楽しい」「得する」「役立つ」コンテンツを提供し、日々の生活を楽しくするサイト。会員登録すれば利用できる。
 (注2)対象は20歳以上の男女。有効回答数は、2万3647件。金融・保険関係者の割合は5%以下。
 (注3)Quest社によるインターネット(オンライン)調査。対象は20代から60代の男女。有効回答数は3万9421件。