2021.07.01 日本代協 2022年度通常総会 全国の代協と一体となり取組推進、初の女性会長に小田島綾子氏

 日本代協が6月14日、2022年度通常総会を開催した。21年度(第58期)事業報告、計算書類、全役員任期満了に伴う役員選任の件の3議案を審議し、全て承認された。金子智明会長は「常に消費者のため、地域社会の役に立つ代理店になるという理念の下、ニューノーマルな時代との認識のもと、22年度も引き続き全国の各代協と一体となって取り組みを促進していく」とメッセージを送った。なお、金子会長は総会終了とともに退任し、副会長の小田島綾子氏(新潟代協)が新会長に就任した。日本代協としては初の女性会長の登場となる。

 総会で金子会長は21年度の代協活動を振り返り、重点施策の三冠王について、コロナ禍で活動が制限された中で17代協が目標を達成したこと、コンサルティングコースの受講勧奨で44代協が目標を達成し、1231人が受講したこと、会員増強について19代協が目標達成したことで、1万1094会員になったことを報告した。
 なお、損害保険大学課程コンサルティングコースの受講者については、目標の840人に対して、1231人だった一方で、日本代協アカデミーの活用は、継続的に学ぶ企業文化や風土の醸成に不可欠と認識し取り組みを進めているものの、正会員実態調査の集計結果からも仕切り直しが必要との考えを示した。
 社会貢献活動については、地震保険の普及やぼうさい探検隊をはじめ、地域に根ざした代理店としての特長を生かし幅広い分野の活動を展開したことで、地域社会でのリスクの専門家として信認度が高まっているとし、「損保協会と連携しながら、事故防止や防災・減災に資する活動等を展開し、地域社会におけるリスクマネージャーとして取り組んでいこう」と呼び掛けた。
 BCP策定については、感染症パンデミックや地震災害、豪雨災害といった万一の時に、医療機関と同じ速さで顧客を支える体制の構築が重要だとした。また、「BCPの策定、定期的な訓練・見直し」の実施に加え、顧客企業にノウハウを提供し、事業継続力強化に貢献することが、損保代理店の本業だとした。
 仲間づくり推進(会員増強)については、532店の入会目標に対して、全体で331店の入会となった一方で、581店が退会したことから、最終的に減店となったと報告した上で、「顧客本位の業務運営を持続的に発揮する真のプロだけが活躍できる環境に変化しているとも言え、それがわれわれにとってはチャンスになる」と語った。
 厳しい環境変化を乗り越えるには、代理店の意識や行動変革が必要であり、それは保険会社も同じだとしたものの、保険会社の戦略と代理店の経営方針が合致せずにさまざまな問題が起こっている現実があることに言及。顧客に向かうべきエネルギーが保険会社との内部問題に割かれることは非生産的であることから、現場の実態を把握し、改善が必要な課題に対して手段を講じていくとした。
 その点について21年度は、4月28日に2回目の金融庁保険課長と各代協会長との意見交換会を開催し、代理店の現場の声を行政の責任者に直接伝える機会をつくったとした。
 この他、全国損害保険代理業政治連盟について触れ、日本代協は定款上、政治団体としての活動はできない一方で、保険募集に関わる法改正や税制改正、公正・公平な募集環境の整備等に関する法律上の問題等は政治課題となることから、日本代協の目的実現のために国会対応や行政のバックアップなどを行う組織として政治連盟を組成し、連携しながら活動を行っていると説明した。
 政治連盟は、会員資格も会費体系もガバナンスも日本代協とは全く別ではあるものの、ベクトルは同じであり、実質的には日本代協と政治連盟は車の両輪のような関係となることから、今後の支援をお願いするとした。
 最後に今総会終了とともに会長を退任することを報告し、在任期間の5年を振り返り、「就任以来、後ろを振り返る余裕もなく日本代協の信認度向上に向かって精一杯走り、何よりも思いを同じくする皆さまと出会い一緒に代協活動をできたことをうれしくも光栄に思う」と謝辞を述べた。
 総会では、第1号議案21年度(第58期)事業報告案承認の件では、特記事項として、①コロナ禍での活動②防災・減災に向けた取り組み③仲間づくり推進(会員増強)状況④損害保険大学課程の運営⑤「日本代協アカデミー」の展開⑥チャネル間競争力強化の取り組み⑦代理店経営サポートデスクの運営⑧第10回コンベンションの開催―の八つが挙げられ、第2号議案の21年度(第58期)貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録承認の件、第3号議案の全役員任期満了に伴う役員選任の件とともに審議され、全議案が承認された。
 総会終了後に開催した全国会長懇談会で、新会長に就任した小田島氏は、「日本代協は損害保険代理業を代表する団体として、都道府県代協とともに、時代背景で変化する課題を乗り越えるためになくてはならない新しい仕組みをつくりながら進化・発展してきた」とし、「具体的には、募集人の資質向上の取り組みに加え、損害保険大学課程コンサルティングコースの運営で、集合型で開催したセミナーがオンラインとなり、若い募集人が先輩方と意見を交わす生き生きとした様子を見ることができて心強く感じている。一方で、会員実態調査では、経営基盤の安定化や強化に向けての取り組みや業務に従事する若者層の割合の少なさといった課題が浮き彫りとなったことに加え、 『新しい会員がいない』『皆で集まれない』といった声も寄せられたが、それを前向きな言葉に反転させていくことが大切だ」と述べた。
 代協で仲間とともに語り、取り組みを進めることが代協の未来を作ると強調し、「もう一度、今までの『自信』を取り戻し、活動に温かい光をあててほしい。このパワーこそが、勢いや創造力につながっていく」と語った。