2022.06.03 フコク生命グループ 21年度末決算、基礎利益は843億円に、個人保険で10年連続増配

 フコク生命グループが5月26日に発表した2021年度末(22年3月期)決算によると、2社(富国生命、フコクしんらい生命)合算の新契約高は前年度比10.6%増加、新契約年換算保険料も同26.7%増加となり、コロナ禍以前(19年度)を上回る水準に回復した。20年度は第1四半期に新型コロナウイルス感染拡大を受けて営業活動を自粛したものの、21年度はコロナ禍による制約の中、通期で営業活動を行ったことが前年度比増加の主な要因となった。また、保有契約年換算保険料はほぼ横ばいとなった一方で、第三分野は前年度末比1.0%増加し、開示以来18年連続の増加となった。基礎利益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより保険関係損益が減少する一方で、富国生命の利息及び配当金等収入が過去最高を更新するなど利差益が増加し、前年度比1.7%増加した。個人保険分野では、死亡保障性特約と医療保険について10年連続の増配となった。

 2社(富国生命とフコクしんらい生命)合算の新契約高は前年度比10.6%増の1兆7805億円で、新契約年換算保険料は同26.7%増の229億円となった。解約失効高は同9.9%と悪化したもののコロナ禍以前と比べて改善した。
 保有契約高は前年度末比0.7%減と減少幅は年々縮小しており、引き続き反転増加に向けて取り組むとした。保有契約年換算保険料は5488億円でほぼ横ばいとなった。このうち、フコクしんらい生命は同3.1%増の1756億円だった。2社合算の第三分野の保有契約年換算保険料は同1.0%増の1173億円となった。
 2社合算の保険料等収入は、フコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売が好調だったことを主な要因とし、前年度比8.1%増の6320億円となった。
 フコクしんらい生命の保険料等収入は前年度比45.9%増の1455億円と大幅に増加した。また、保障性商品はコロナ禍以前を上回る水準に伸展した。
 富国生命単体の資産運用状況では、21年度は外国株式や外貨建社債を中心にリスク・リターン効率に優れた投融資案件を選別して実行。また、収益の上積みを図るため、短期資金を安全性と流動性の高い超長期国債に振り向けた。株式の価格変動リスクおよび外貨建資産の為替リスクについては、適切なコントロールに努めた。
 こうした取り組みの結果、利息及び配当金等収入は株価の上昇や円安により内外の株式および投資信託の配当金や分配金が増加したことなどから1683億円を計上し、4年連続で過去最高を更新した。
 2社合算の基礎利益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、保険関係損益が減少した一方で、富国生命の利息及び配当金等収入の増加が寄与し利差益が増加したことから、前年度比1.7%増の843億円となった。富国生命単体の基礎利益は858億円で、フコクしんらい生命は▲14億円だった。富国生命の経常利益は、長引く低金利環境下において支払い能力の一層の強化を図るため、新たに終身保険の追加責任準備金を積み立て、その上で危険準備金を312億円積み増したため、臨時損益が同410億円減少した結果、同493億円減の387億円となった。当期純剰余は、同21億円減少の333億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、外貨建資産の増加などによるリスクの合計額の増加を主な要因に前年度末から29.6ポイント低下したものの、1274.3%と引き続き高い水準を維持した。
 富国生命単体の自己資本の内訳と自己資本比率については、経常利益による内部留保の積み上げを第一義とし、適時外部調達を行うことで自己資本を強化。21年度は内部留保などにより前年度比365億円増加し毎年安定的な内部留保を実現している。ERMを着実に進め、保険金等の確実な支払いと配当還元の充実を通じて、契約者に安心・安全を提供するとした。
 社員配当金案では、個人保険については10年連続の増配を実施する。具体的には、危険差益への貢献が大きい主力商品「未来のとびら」の死亡保障性特約について2年連続で危険差配当を増配し、22年1月に取扱い終了した「感染症サポートプラス」(新型コロナウイルス感染症等に対する入院見舞給付金が従来の2倍)の対象だった医療保険について、入院給付金の支払いがなかった契約に対して危険差配当を増配する。また給付金の支払状況が安定している就業不能保障特約について危険差配当を新設した。増配額は約2億円で、増配件数は約140万件。
 企業保険については、団体年金保険のうち確定給付企業年金保険等について、未実現分も含めたキャピタル損益に基づき配当率を引き下げるとした。