2022.05.31 明治安田生命 21年度決算 グループ保険料3年ぶり増収、単体基礎利益6019億円で過去最高に

 明治安田生命が5月25日に発表した2021年度決算によると、グループ保険料が明治安田生命単体・海外保険事業等ともに増収となった結果、前年度比1404億円増加し、2兆8098億円で3年ぶりの増収となった。グループ基礎利益は利息及び配当金等の収入の増加が主な要因となり前年度から373億円増加し増益となった。健全性を示す指標となるグループESRは前年度から約6ポイント増加、オンバランス自己資本が同2331億円増加し(明治安田生命単体)、いずれも高い水準を維持した。22年度については、グループ・単体ともに保険料等収入は「増収」、利益水準は「横ばい」の見通しとした。

 グループ保険料(連結損益計算書上の保険料等収入)は、明治安田生命単体における円貨建一時払終身保険の販売再開や外貨建一時払保険の販売量増加およびスタンコープ社の増収を主因に、前年度比5.3%増の2兆8098億円となった。グループ保険料のうち、海外保険事業等が同15.5%増の3662億円でそのうちスタンコープ社の業績は同16.0%増の3430億円と順調に推移している。
 グループ基礎利益は、明治安田生命単体の利息及び配当金等収入の増加を主因に、同6.4%増の6171億円となり2年ぶりの増益となり引き続き高い収益性を確保した。一方で、スタンコープ社では、コロナ禍に起因する保険金等支払い増加の影響などにより同33.9%減の225億円で減益となった。
 連結の経常収益は同4.6%増の4兆2143億円、経常費用は同4.8%増の3兆9829億円、経常利益は同1.0%増の2313億円、親会社に帰属する当期純剰余は同3.7%減の1817億円だった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、前年度末差17.0ポイント減の1135.5%となったが、引き続き高い健全性を維持している。また、同社の企業価値を表わす新たな指標である「グループサープラス(注)」は、新契約の獲得や国内金利の上昇・円安の進行等を主因に同3600億円増加し、7兆7300億円となった。
 明治安田生命単体の業績は、一時払保険の販売量増加を主因に保険料等収入が前年度比3.9%増の2兆4435億円となった。このうち、個人保険・個人年金保険は同5.5%増の1兆6209億円で、うち営業職員チャネルは同3.0%増の1兆3316億円で、営業職員チャネルにおける平準払保険は同0.2%減の1兆2301億円。一方、一時払保険は同68.4%増の1014億円だった。銀行窓販チャネルは同21.9%増の2541億円だった。
 新契約年換算保険料は、前年度比10.4%増の1034億円となった。このうち、営業職員チャネルは同7.7%増の895億円、銀行窓販チャネルは同38.8%増の122億円だった。保障性商品は同1.9%減少して567億円となった。なお、第三分野新契約年換算保険料は同16.1%増の436億円となった。
 保有契約年換算保険料は、前年度末比1.2%減の2兆1679億円。このうち、営業職員チャネルは同0.4%減の1兆6211億円、銀行窓販チャネルは同4.0%減の5015億円となった。一方で、第三分野保有契約年換算保険料は、新契約の好調を主因として同3.5%増加して4750億円となった。
 団体保険の保有契約高は同0.4%増の116兆3276億円で、引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険は同0.8%増加して7兆9040億円。
 単体の基礎利益は6019億円と前年度比9.4%の増益で過去最高益となった。そのうち、保険関係損益は危険差の減少を主因に同5.9%減益の2511億円、運用関係損益は、利息及び配当金等収入の増加を主因に同23.8%増の3508億円だった。
 資産運用収支(一般勘定)は、期末為替が対米ドル円安となったことに伴う為替差益の増加や、株式増配を主因とした利息及び配当金等収入の増加等が寄与し、前年度差81億円増の8590億円となった。利息及び配当金等収入は8883億円と同479億円の増加。
 ソルベンシー・マージン比率は1061.6%と前年度末差7.5ポイント減少したものの、引き続き高い健全性を維持している。オンバランス自己資本は同2331億円増加し4兆1387億円。一方、実質純資産額は同7839億円減少し9兆9008億円となった。
 解約・失効・減額率(個人保険・個人年金保険)は4.32%と前年度差0.36ポイント上昇したが、主力商品はコロナ禍以前の19年度よりは良好な水準となっており、依然として低位な水準を維持し、契約クオリティを示す指標は、引き続き良好に推移している。
 総合継続率(個人保険・個人年金保険)は、13月目が同0.2ポイントマイナスの95.1%、25月目が同0.9ポイント上昇の89.7%となった。
 経常収益は前年度比3.2%増の3兆7282億円。経常費用は同3.0%増の3兆4798億円で、このうち保険金等支払金は同1.5%増の2兆3535億円、責任準備金等繰入額は同6.3%減の2758億円、資産運用費用は同31.2%増の3483億円、事業費は同0.2%増の3761億円。経常利益は同7.1%増の2483億円、当期純剰余は同6.3%減の1859億円だった。
 21年度決算に基づく社員配当のうち、従来の社員配当は一部の先進医療保障特約の配当率を引き上げる。対象契約は143万件で総額は13億円。また、新たな社員配当「MYミューチュアル配当」を21年10月から開始する。「MYミューチュアル配当」は、グループESRの水準を踏まえポイント単価を維持するとした。
 22年度の業績見通しで、グループ保険料は、新契約業績のコロナ禍前水準への回復などにより、3兆円程度へ「増収」となる見通し。グループ基礎利益は、為替に係るヘッジコストの上昇が見込まれる状況でも「横ばい」水準となる見通し。
 「MY Mutual Way Ⅰ期」(21~23年度)に掲げる経営目標の進捗状況(21年度実績)は、「グループサープラス」は4.9%増(目標:13%成長)、グループESRは215%程度(目標:安定的に165%以上)、オンバランス自己資本は4.1兆円(目標:4.4兆円)、グループ基礎利益は6171億円(目標:5500億円)、保有契約年換算保険料(保障性商品)は7493億円(目標:7700億円)、顧客数は1215万人(目標:1235万人)、うち個人営業は717万人(目標:723万人)、法人営業は497万人(目標:513万人)、アドバイザー数は3万6635万人(目標:3万8000人)となった。
 (注)経済価値ベースの企業価値を表す指標