2022.05.18 第一生命HD 21年度末決算 連結純利益4千億円超、過去最高益

 第一生命ホールディングスが5月12日に発表した2021年度末決算によると、連結経常収益は前年同期比4.9%増の8兆2097億円、連結経常利益は同6.9%増の5908億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同12.5%増の4093億円、グループ修正利益は同5%増の2961億円で過去最高益を更新した。22年度末の連結業績予想は、経常収益は7.3%減の7兆6120億円、経常利益は13.4%減の5120億円、親会社株主に帰属する当期純利益は30.4%減の2850億円、グループ修正利益は前期の資産運用収益の反動減等により2700億円程度を見込むとしている。

 21年度末のグループの営業業績では、新契約年換算保険料は前年同期比36.8%(為替調整後32.3%)増の3131億円となった。国内では、海外金利の上昇もあり、第一フロンティア生命で下期に販売量の増加が見られたほか、ネオファースト生命では改定を行った主力商品の医療保険の販売好調が寄与した。第一生命は「入院一時金保険(限定告知型)」の販売好調等により販売件数に占める既契約者の保障見直し占率が緩やかに低下傾向にあるものの、引き続き回復途上にある。国内3社計で19年度対比では6.2%減だった。海外では、米プロテクティブで法人向け商品や変額年金等の販売が好調、豪TALも個人向け商品を中心に堅調に推移し、第一生命ベトナムは銀行等のオルタナティブチャネルがけん引した。海外計の新契約年換算保険料は、豪TALが前々期に獲得した超大型の団体保険の影響を除けば、19年度との比較で全体で6%の増加となる。保有契約年換算保険料は前年度末比4.4%増の4兆2343億円(為替調整後0.4%増)となった。
 グループ連結純利益は、第一フロンティア生命のMVA関連損益の改善のほか、グループ通算制度導入に伴う一時益等が加わり、前記の通り4093億円となった。
 グループ修正利益は、第一生命の順ざや増加やキャピタル損益の改善、米プロテクティブや第一生命ベトナム等の増益が寄与し、11月修正予想を上回る前記の通り2961億円となった。なお、第一生命は、国内金利上昇に伴う出再条件の改善等を踏まえ、下期に責任準備金約2000億円(11月予想比1000億円増額し年度累計5000億円)を出再。
 グループ新契約価値は、第一生命と第一フロンティア生命の減少を堅調なネオファースト生命・海外各社が補い前年同期比0.4%減の1266億円とほぼ横ばいだった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命の個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は前年同期比21.0%増の745億円。このうち第三分野は同31.6%増の482億円だった。保有契約年換算保険料は前年度末比1.2%減の2兆527億円で、このうち第三分野は同1.7%増の7088億円。基礎利益は予定利息の減少や内外株式の増配等を背景とした順ざやの増加を主因に前年同期比3%増の4964億円。
 経常収益は前年同期比17%増の4兆4508億円で、このうち、保険料等収入は同0%減の2兆2761億円。資産運用収益は同1100億円減の1兆2470億円。経常費用は同6340億円増の4兆719億円で、このうち保険金等支払金が同6513億円増の3兆159億円、責任準備金等繰入額が同159億円増の448億円、資産運用費用が同464億円増の3616億円、事業費が同64億円増の4102億円だった。経常利益は同51億円増の3789億円、当期純利益は同37億円増の1997億円だった。修正利益は、出再に伴う臨時損失を計上しつつも、前期に金融市場変動に伴って計上した金融派生商品損益の大幅な改善により、同15%増の1997億円となった。第一生命単体のソルベンシーマージン比率は、前年度末から29.9ポイント下がり907.3%。
 第一フロンティア生命の個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は前年同期比52.1%増の1179億円だった。保有契約年換算保険料は前年度末比4.3%増の8983億円。基礎利益は最低保証リスクに係る損益の悪化等により、前年同期比25%減の439億円。当期純利益は、MVA関連損益(+893億円)やグループ通算制度導入に伴う一時益等により、同61%増の1386億円だった。
 ネオファースト生命の個人保険の新契約年換算保険料は前年同期比17.8%増の142億円。保有契約年換算保険料は前年度末比1.1%減の1390億円だった。基礎利益は同58億円増の▲79億円。当期純損失は、経営者保険の解約に伴う保険金等支払金の増加を責任準備金等の戻入によって相殺、修正共同保険式再保険(サープラス・リリーフ)の実施に伴う新契約に係る事業費負担の軽減等により、同72億円改善し▲68億円(前年同期は▲141億円)となった。
 海外保険事業では、米プロテクティブは、営業利益は、資産運用収益の上振れ等によるステーブルバリュー事業の利益増加やコーポレート等の損益回復が寄与したものの、リテール・買収事業におけるコロナ関連の保険金支払い増加等が影響し、前年同期比19%減の4億2200万米ドルとなった。当期純利益は、前期の債券評価損や商業モーゲージローンに対する貸倒引当金繰入負担等から改善したものの、リテール保険&年金事業に関するのれんの減損により、同23%減の2億7700万米ドルとなった。
 豪TALは、基礎的収益力は、個人・団体保険の損益改善や、アステロン・ライフの保険負債評価のモデル変更に伴う一時益により、同33%増の2億9200万豪ドルとなった。当期純利益は、Westpac Lifeの買収に関連する費用や前期末比での大幅な豪金利の変動(フラットニング)による資産・負債の時価評価の影響等を受け、同27%減の1億2600万豪ドル。アステロン・ライフについては、21年10月に同社資産・負債のTALへの移転を実施し、統合プロセスを完了している。
 第一生命ベトナムは、新契約の堅調な伸展と保有契約の拡大に伴い、保険料等収入が同19%増。当期純利益は、継続保険料拡大を通じた利益寄与に加え、一部商品の責任準備金計算の規制緩和に伴う戻入が寄与し、同115%増の2兆8300億越ドンとなった。