2022.03.24 損保協会 22年度事業計画を決定、損害調査業務の基盤整備進める
損保協会は3月18日、業界紙向けの定例記者会見を行い、17日の理事会(およびその後の臨時社員総会)で審議・決定した2022年度の事業計画と収支予算書を発表した。事業計画では、第9次中期基本計画(2021年度~2023年度)で定めた方向性に従い、損害保険の普及啓発や理解促進に資する事業など7事業に取り組む。この他、「損害保険会社に係る個人情報保護指針」等の改定の件や役員の選任の件が審議事項として報告された。また、22年度ディスクロージャー基準とお客さまの声・有識者諮問会議の委員委嘱について報告が行われた。同協会は「持続可能なビジネス環境の整備」「災害に強い社会の実現」「損害保険リテラシーの向上」を重点課題として取り組むとともに「業界としての気候変動対応はまだ緒についたばかりだ。また、悪質な修理業者とのトラブルからお客さまを守る取り組みも継続的に強化していく」との考えを示した。
22年度の事業計画では、①損害保険の普及啓発及び理解促進に資する事業②損害保険契約者等からの相談対応、苦情及び紛争の解決に資する事業③損害保険業の業務品質の向上に資する事業④損害保険業の基盤整備に資する事業⑤事故、災害及び犯罪の防止又は軽減に資する事業⑥損害保険業に関する研修、試験及び認定等の事業⑦その他損保協会の目的達成上必要と認めた事業―の7事業を推進する。
損害保険の普及啓発・理解促進に資する事業では、地震保険や自賠責保険の広報活動などを行う。損害保険契約者などからの相談対応、苦情・紛争解決では、損害保険相談・紛争解決サポートセンター(そんぽADRセンター)の運営に当たる。損害保険業の業務品質向上では、「お客さまの声の活用」「業界ガイドラインの整備・推進」「業界コンプライアンス(コンプライアンス・プログラム)の推進」「認定個人情報保護団体業務」に注力するとした。損害保険業の基盤整備では、損害調査業務基盤の整備や共同システムの開発・改定・運営などに加えて、事務領域の共通化・標準化・共同化を推進する他、関係各方面への要望・提言やグローバル化対応(アジア地域への支援・働き掛け)などに取り組む。
事故、災害、犯罪の防止・軽減に向けては、特定修理業者によって引き起こされる不正請求対策や交通事故防止の啓発、反社会的勢力の排除に向けた対応等を実施する。
また、損害保険業に関する研修、試験や認定などの事業では、代理店・募集人の試験と教育、損害調査に係る試験・研修、医療に係る研修・研究助成に取り組む。
また理事会では、認定個人情報保護団体業務規則となる「損害保険会社に係る個人情報保護指針」「当協会の個人情報に関する取扱いに関して」を改定することが審議された。今回の改定は、ビッグデータを活用する際に個人名を削除する根拠を与えるもので、同時に、サーバー管理等で海外へ越境するデータを保護することを目的としている。改定版は4月1日に同協会のウェブサイトに掲載される。
役員人事では、3月31日付であいおいニッセイ同和損保の金杉恭三氏、損保ジャパンの西澤敬二氏、三井ダイレクト損保の宮本晃雄氏が理事を辞任し、4月1日付で新たに損保ジャパンの白川儀一氏が副会長に、あいおいニッセイ同和損保の新納啓介氏、三井ダイレクト損保の河村隆之氏がそれぞれ理事に選任された。
そのほか、お客さまの声・有識者諮問会議の委員委嘱に関して、3月末で元独立行政法人国民生活センター理事の丹野美絵子委員が退任し、4月1日付で日本自動車連盟(JAF)副会長の坂口正芳氏、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会顧問の辰巳菊子氏が就任することが報告された。
また、22年度ディスクロージャー基準について、保険業法施行規則・監督指針の改正内容を反映する他、その他情報を更新し、4月1日に同協会のウェブサイトに掲載することも報告された。
17日の日銀記者クラブの会見では、舩曵協会長が16日の夜に発生した福島県沖を震源とする震度6強の地震の影響の確認と把握に全力を挙げていると述べるとともに、質問に答える形でウクライナ情勢に関して、事態の早期終結に向けた国際社会のあらゆる努力と取り組みを支持するとの考えを示した。