2022.03.22 福島県沖でM7.4、最大震度6強の地震 宮城県・福島県の全市町村に災害救助法適用

3月16日午後11時36分、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4(暫定値)の地震が発生した。宮城県登米市、蔵王町、福島県相馬市、南相馬市、国見町で震度6強を観測したのをはじめ、宮城県、福島県、岩手県、山形県、青森県、秋田県、茨城県、栃木県、新潟県の各地で震度5弱以上の揺れを観測し、さまざまな被害の発生が報道されている。内閣府(防災担当)は17日、宮城県と福島県の全市町村(27市51町16村)に災害救助法の適用を決定した。

 東北財務局と福島財務事務所は17日、災害救助法が適用された地域の被災者等に対する金融上の措置を適切に講ずるよう各金融機関に要請、生保会社、損保会社、少額短期保険業者に対しては、①保険証券、届出印鑑等を紛失した保険契約者等については、申し出の保険契約内容が確認できれば、保険金等の請求案内を行うなど可能な限りの便宜措置を講ずること②生命保険金又は損害保険金の支払いについては、できる限り迅速に行うよう配慮すること③生命保険料又は損害保険料の払込については、被災者等の状況に応じて猶予期間の延長を行う等適宜の措置を講ずること④①から③にかかる措置について実施店舗にて店頭掲示等を行うとともに、可能な限り保険契約者等に対し広く周知するよう努めること⑤窓口営業停止等の措置を講じた場合、営業停止等を行う営業店舗名等を、速やかにポスターの店舗掲示等の手段を用いて告示するとともに、その旨を新聞やインターネットのホームページに掲載し、顧客に周知徹底すること―を要請した。
 生保協会では同日、公式ホームページ上で災害救助法が適用された地域の被災契約者の契約について、①保険料払込猶予期間の延長②保険金・給付金、契約者貸付金の簡易迅速な支払い―の特別取り扱いをすることについて発表するとともに、「契約照会制度のお知らせ」を掲載した。
 また、損保協会では同日、「この度の令和4年福島県沖を震源とする地震によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。私ども損害保険業界といたしましても、皆様のお力となりますよう、被害状況の把握に努め、皆様からのお問い合わせ・ご相談等に親身にお応えするとともに、保険金の迅速なお支払いに全力で努めてまいります」とする舩曵真一郎協会長名によるコメントを発表、また、公式ホームページに「令和4年福島県沖を震源とする地震により被災された皆様へ」として「地震保険のお取扱い」「地震保険以外の保険(自動車保険、傷害保険など)のお取扱い」「災害救助法が適用された地域でご契約者が被害を受けられた場合の特別措置について」を掲載した。
 損保各社の初動対応状況(いずれも17日現在)は次の通り。

 ■東京海上日動
 地震発生後、16日夜に本店に災害対策本部を設置、都内に顧客からの事故に関する照会等を受けるバックオフィスの設置も検討している。また、被災地での業務に加え、被災現地でなくとも業務を行うことができるマルチロケーション対応等によって、迅速な保険金支払いに取り組んでいくとしている。被害を受けた顧客からの連絡については、電話(東京海上日動安心110番)での受付に加えてウェブでの受付も行っているが、16日から安心110番(コールセンター)には、事故の受付に関する入電が増加しており、今後、センターの人員を増強して対応していく予定とのこと。
 そのほか、被災者支援の取り組みとして、今後、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と被害情報を連携し、速やかなボランティア体制の構築に向けても取り組んでいくとしている。

 ■三井住友海上
 17日、東京(駿河台新館)に集約対策室を設置し、宮城・仙台、福島・郡山の4拠点に立会拠点の設置準備を開始した(全国で総勢200人体制規模)。事故連絡のコールセンター体制については、電話での事故受付に加えて、ウェブでの事故受付を推進する。必要に応じて、全国の拠点にも事故受付の電話連絡を分散することで顧客を待たせない対応を実施する。
 支払い迅速化の取り組みとして、立会調査ではタブレット端末(地震アプリ)を積極活用するとともに、リモートによる立会調査方式も併用する予定。家財の事案を中心に、自己申告書方式による損害調査も進める。
 東北地方で勤務する社員には、在宅勤務(テレワーク)を推奨しているという。

 ■あいおいニッセイ同和損保
 16日に本社対策本部を設置した。また17日、地域対策本部をあいおいニッセイ同和損保仙台ビル(宮城県仙台市)に設置し、被災地の復旧対応、保険金支払い対応(立会等)にあたるようにした。事故受付・保険金支払・立会等の体制については、地震保険サービスセンター(新宿ビル・東京都渋谷区)で事故受付から保険金支払いまで集中対応する。応援要員については極力集合させず、自席や在宅勤務で遠隔かつペーパーレスで対応(初期点検・初期対応・協定など)にあたるようにする。立会拠点については、宮城県(場所は調整中)、福島県(場所は調整中)を予定しており、その他地域は拠店設置有無を含めて調整中。
 ▽全国の拠点でペーパーレス機能を最大限活用したリモートによる災害対応(初期点検・初期対応・協定など)▽屋根の損害確認等で自社の損害保険鑑定人が自らドローンを操縦することで効率的に損害調査▽顧客の自己申告に基づく損害調査▽訪問調査が必要となる場合は極力被災地域に勤務する社員が訪問▽事故受付は、事故受付センターへの入電のほか、ウェブ上でも受け付け▽今後、請求勧奨についても検討―などに取り組む。

 ■損保ジャパン
 16日の地震発生後、新宿本社に「危機対策本部」を設置、顧客・代理店の被害状況等について継続して情報を収集中。被災地域では早期の被害調査および保険金支払いを目的として、17日に現地に対策本部を設置した(宮城災害対策本部:仙台市、福島災害対策本部:郡山市)。早期の被害調査および保険金支払いを目的として、十分に新型コロナウイルス対策を行った上で、550人規模(現場実地調査、バックオフィス、鑑定人等を含む)を増員して災害対応を実施する予定。事故連絡の受付では、顧客からの問い合わせに確実に応対するため全国で分散する体制を整備しており、電話での受付に加えて、LINEによる事故受付も行っている。さらにLINEによる「通知メッセージ」を活用し、宮城県・福島県の震度5強以上を観測した地域の顧客に対して事故連絡方法や補償内容などを発信している。