2022.01.18 損保ジャパン 越境EC支援のジグザグと共創、海外での商標権侵害リスク補償

損保ジャパンと事業者の越境EC(インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引)支援を行う㈱ジグザグ(東京都渋谷区、仲里一義代表取締役)は、越境ECにおける商標権侵害リスクの課題解決に向けた共創を2021年12月に開始した。損保ジャパンが提供する知財侵害による争訟費用(防御費用)を補償する知財保険を活用し、ジグザグのサービス利用企業に対する海外での商標権侵害リスクへの補償を提供する。

 経済産業省は、越境ECの世界の市場規模は、19年時点で7800億米ドル(約85兆5316億円)と推計しており、26年には4兆8200億米ドル(約528兆5563億円)にまで拡大し、その間の年平均成長率は約30%と予測している(注)。日本企業が運営するECサイトへの海外からのアクセスは見られるものの、日本の事業者は越境ECを行う上で多言語入力フォームへの対応や海外決済・不正決済対応、海外物流・運営ノウハウ不足により、海外への商材販売に対応できていないことが課題となっている。
 ジグザグは、それらの課題を解決し、国内の良いものを世界中に届けるため、海外販売を始めたい全ての事業者に対して、多言語対応・海外決済・海外配送までを一気通貫で実現する「World Shopping BIZ」というサービスを展開し、事業者の越境ECを支援している。
 損保ジャパンとジグザグは、「World Shopping BIZ」を「より安心・安全」に利用できるよう越境ECサービスにおける課題の解決に取り組む。
 ジグザグが展開する「World Shopping BIZ」では、国内サービス利用者が管理画面から商品別や国別で除外設定の追加・変更を設定可能な運用となっており、ジグザグのサービス利用企業の取扱商材がある国での商標権侵害のリスクがある場合、該当国からECサイトにアクセスがあったとしても、サイト内で商品を購入できない仕組みを構築している。ところが、ジグザグのサービス利用企業によっては、取扱商材がどの国で商標登録されているか不明瞭な部分があり、知的財産権侵害に関する訴訟を提起される可能性が高まってきていた。
 そこで今回、損保ジャパンが提供する知財侵害による争訟費用(防御費用)を補償する知財保険を活用し、「World Shopping BIZ」を利用する全ての事業者に対して海外での商標権侵害リスクへの補償を提供することで、よりユーザーフレンドリーなサービス体制を構築した。
 近年、テクノロジーの進化やAIの導入、DX推進などに伴い、無形資産に対する注目度が高まっている。知的財産権は企業にとって代表的な無形資産の一つだが、20年に施行された改正特許法等により、ライセンス実施料相当額等を損害額の判断の要素として考慮できることが法律上明文化されたため、知的財産権侵害が認められた場合の損害賠償額が高額化することが懸念されている。また、日本国内だけでなく、米国でも知的財産権侵害訴訟における賠償金は高額化しており、中国での特許権侵害訴訟の件数も増加していることから、世界的に知的財産権侵害に対する補償ニーズは高まっている。
 越境ECが普及していくにつれて、ジグザグのサービス利用企業が海外で商標権侵害リスクにさらされることが増えていくと予想されるところから、損保ジャパンは新たなチャレンジをする顧客を支えることで社会の健全な発展に貢献するため、グローバル企業の知財リスクの軽減を支援する取り組みを開始することにしたもの。
 (注)経済産業省2020年7月発表「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」から。