2021.11.19 第一生命HD 21年度第2四半期決算、連結純利益は114%増

第一生命ホールディングスが11月12日に発表した2021年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比12.0%増の3兆7657億円、連結経常利益は同75.8%増の2862億円となった。グループ修正利益は同86%増の1563億円(進捗率58%)、連結純利益は同114.2%増の1784億円(同51%)だった。また、同社は同日、5月14日に公表した22年3月期通期の業績予想と期末配当予想の修正を発表し、経常収益、経常利益、当期純利益、1株当たり当期純利益、および期末配当金の予想をそれぞれ引き上げるとともに、グループ修正利益は従来予想(2400 億円程度)から2700億円程度に増加する見込みとの見通しを示した。

 グループ修正利益は、金融市場環境の安定した推移等を背景に、国内では第一生命の運用収支が前年同期比で大幅に改善したほか、海外では米PLCが大幅な増益となり、当期計画していた第一生命の出再に伴う臨時損失▲798億円の計上後でも前年同期比86%増と大幅な増益を確保。連結純利益は、グループ修正利益の増加に第一フロンティア生命のMVA損益等が加わり、同114%増と大幅な増益となった。
 営業業績では、グループ全体の新契約年換算保険料は前年同期比77.3%増の1524億円となった。前々年同期比では1.9%増。国内3社計の新契約年換算保険料は、第一生命の医療保険新商品や第一フロンティア生命の外貨建資産形成商品、ネオファースト生命の医療保険の商品改定等が寄与し、同96.7%増の1040億円となった。そのうち第一生命は同124.8%増、第一フロンティア生命は同92.6%増、ネオファースト生命は同30.0%増だった。ネオファースト生命は前々年同期との比較でも63.8%増と伸展している。海外の新契約年換算保険料は、米PLCが変額年金等の販売拡大により同42.6%増となったほか、豪TALが同21.0%増、第一生命ベトナムが同66.0%増と伸展、海外5社合計では同46.4%増となった。
 グループの新契約価値とEEVについては、新契約価値は709億円と前年同期比で110.4%増加したものの、期初計画比では、海外各社が堅調に推移する一方で第一生命、第一フロンティア生命が想定を下回った。 国内では、医療保険を中心に新契約を拡大したネオファースト生命が順調に伸展したが、第一生命は第1四半期を中心に利益幅が非常に小さい保障見直し(転換)が多かったことが影響した。第一フロンティア生命は、新契約価値計算に上乗せする社債運用スプレッド(ICS公表ベース)が期初計画時の想定よりも低い水準となり、新契約価値水準は期初計画を大きく下回った。グループEEVは、金融市場が前期末からおおむね安定した動きとなった結果、第一生命を中心に増加し、前期末比7%増(調整後8.8%増)の7兆4606億円となった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年同期比20%増の2兆1435億円となった。このうち、保険料等収入が同1%増の1兆983億円、資産運用収益が同283億円増の6515億円だった。経常費用は同3007億円増の1兆9636億円で、このうち保険金等支払金が同5466億円増の1億4653億円、責任準備金等繰入額が同1787億円減の165億円、資産運用費用が同810億円減の1604億円、事業費が同67億円増の2032億円だった。経常利益は同605億円増の1799億円、中間純利益は同421億円増の934億円だった。基礎利益は順ざやの増加を主因に同6%増の2450億円、修正利益は出再実施に伴う臨時損失を計上しつつも、前年同期に金融市場変動に伴って計上した金融派生商品損の大幅な改善により、同82%増の934億円となった。営業成績では、新契約年換算保険料が同124.8%増の390億円。保有契約年換算保険料が前期末比0.5%減の2兆665億円だった。
 第一フロンティア生命は経常収益が前年同期比1%増の8710億円となった。このうち、保険料等収入が同58%増の6279億円、資産運用収益が同3401億円減の1218億円だった。経常費用は同144億円減の8144億円で、このうち保険金等支払金が同180億円減の7375億円、責任準備金等繰入額が同493億円減、資産運用費用が同478億円増の485億円、事業費が同39億円増の236億円だった。経常利益は同264億円増の565億円。中間純利益はMVA(市場価格調整)関連損益で244億円の利益を計上したことなどにより、同224億円増の456億円となった。基礎利益は最低保証リスクに係る損益の悪化により同25%減の213億円、MVA関連損益を除く修正利益は、ターゲット到達に係る債券売却益の計上等があったものの、前年同期比では10%減の201億円となった。営業成績では、新契約年換算保険料が同92.6%増の577億円。保有契約年換算保険料が前期末比0.8%減の8539億円だった。
 ネオファースト生命の新契約年換算保険料は前年同期比30.0%増の71億円。保有契約年換算保険料は前期末比0.3%減の1401億円だった。保険料等収入は経営者保険の解約が一部生じたものの、堅調な新契約獲得により、前年同期比1%増の671億円となった。経営者保険の解約に伴う保険金等支払金の増加を責任準備金等の戻入によって相殺、修正共同保険式再保険(サープラス・リリーフ)の実施に伴う新契約に係る事業費負担の軽減等により、当期純損失は▲34億円(前年同期▲77億円)に改善した。基礎利益は同41億円増の▲33億円、修正利益は同42億円増の▲34億円だった。
 海外生命保険事業では、米プロテクティブの営業利益はリテール事業で保険金支払増加等の影響があったものの、買収事業等の利益増加が寄与し、前年同期比22%増の2億7100万米ドルとなった。当期純利益は、前年同期の金融市場変動に伴う債券評価損や商業モーゲージローンに対する貸倒引当金繰入負担等の改善により、同229%増と大幅増の2億9700万米ドルとなった。
 豪TALは、基礎的収益力は、個人・団体保険の損益改善や、アステロン・ライフの保険負債評価のモデル変更に伴う一時益により、同130%増の1億5200万豪ドル。当期純利益は、前期末比での大幅な豪金利の変動(フラットニング)による資産・負債の時価評価の影響等を受け、同40%減の3700万豪ドルだった。
 第一生命ベトナムの保険料等収入は、堅調な新契約伸展と保有契約の拡大に伴い、同35%増と伸展。当期純利益は、継続保険料拡大を通じた利益寄与に加え、一部商品の責任準備金計算の規制緩和に伴う戻入が寄与し、同105%増、1兆3880億越ドンと大幅増となった。
 第一生命のソルベンシー・マージン比率は前年度末比7.0ポイント低下して930.2%と引き続き高い水準を維持。第一生命ホールディングスの連結ソルベンシー・マージン比率は同24.0ポイント低下して934.5%だった。
 第一生命ホールディングスは本決算発表と併せて、22年3月期通期のグループ連結業績予想と期末配当予想の修正を発表し、今年5月14日に公表した通期予想から、経常収益7兆2320億円(前回発表予想6兆6430億円)、経常利益5200億円(同4790億円)、親会社株主に帰属する当期純利益3490億円(同2790億円)、1株当たり当期純利益326円25銭(同251円30銭)にそれぞれ予想を引き上げた。期末配当金についても前回発表の77円から3円増額し、80円とした(21年3月期実績は62円)。