2021.10.29 東京海上日動 アップルウォッチで実証実験、ヘルスケアの行動変容ソリューション開発目指す

東京海上日動は10月から、アップル社が販売するスマートウォッチ「アップルウォッチ」から収集されるヘルスデータを活用し、疾病の早期発見を行う実証実験を開始した。アップルウォッチを通じて疾病の予兆を検知し、顧客の「行動変容」を促すための新たなソリューション開発を目指す。

 今回の実証実験では、実験参加者が装着したアップルウォッチから収集されるヘルスデータを活用し、アラート通知を通じて参加者に生じる「行動変容」について検証する。
 実証実験は、10月から12月の期間、東京海上グループ社員約150人を対象に実施する。対象者は、配布されたアップルウォッチを実証期間中は常に装着するとともに、iOSのプロトタイプアプリケーションをインストール。アップルウォッチの不規則な心拍数の通知機能(注)を活用して、対象者の心房細動(本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動をしてけいれんしている状態)の予兆をモニタリングする。ここで一定の条件に合致した場合は、アプリケーションを通じて対象者にアラートをプッシュ通知する。アラートを受け取った場合、対象者が早期に医療機関への受診を行うという行動変容につながるかを検証する。
 なお、本実証実験にはアップル社から、アップルウォッチのアプリケーション開発に関する技術的なサポートを受けている。
 近年、日本は高齢化の進展による社会保障費の増加や生産年齢人口の減少など多くの社会課題に直面しており、人々が健康を維持することが重要となっている。このような中、ヘルスケア領域におけるテクノロジーの進展は、疾病診断技術や疾病予防技術を向上させており、疾病発症前の早期診断や疾病予防サービスの発展が期待されている。また、健康診断・検診・健康情報等のデータを活用することで健康状態を適切に把握し、生活習慣の改善につながる行動変容や健康増進を促すことも注目されている。
 東京海上グループは、7月1日からグループのデータ戦略の中核機能を担う東京海上ディーアールを軸としてデータを活用した新たな事業を開始しており、さまざまなパートナー企業との協業を進めている。ヘルスケア領域では、保険にとどまらないソリューション(予防・早期発見・再発予防等)を幅広く提供することを目指しており、顧客を常に守ることができる新たな価値創出に向け、アップルウォッチを使った実証実験を開始することとした。
 今後、東京海上日動は実証実験で得られた課題やデータを検証し、疾病の予兆検知につながる新たなソリューションの開発を目指す。また、東京海上グループが有する事故データやリスクマネジメントのノウハウと、アップルウォッチなど最先端のテクノロジーを掛け合わせることで、社会課題の解決につながるヘルスケアソリューションの創出に挑戦していくとしている。
 (注)心臓の鼓動を確認して、心房細動を示唆する不規則な心拍リズムがないかどうかチェックするアップルウォッチの最新機能。