2021.10.26 損保ジャパン 物流業者向け「貨物避難費用特約」開発、台風接近時の貨物事前退避費用を補償

損保ジャパンは10月5日、台風接近に伴い物流業者が負担する貨物の事前退避の費用を補償する「貨物避難費用特約」の販売を開始した。

従来の保険では、接近する台風の進路域内にある倉庫から進路域外の倉庫に貨物を事前退避する費用は支払対象外だったが、新特約を付帯した保険では、事前退避の費用を保険でカバーするようになる。
具体的には、一定規模以上の台風(気象庁が発表する風速25メートル以上の台風)が接近することを気象庁のデータ等で客観的に把握できた場合に、荷物の損害を回避する目的で従来の貨物保管場所から移動させたり、避難先倉庫で保管したりするために物流業者が負担する費用を補償する。①輸送費用(退避前の保管場所への返却輸送費を含む)②避難先保管場所での保管費用③コンテナ移動費用・保税費用―などの費用が支払いの対象となり、300万円を上限に保険金を支払う。
近年、自然災害が激甚化・頻発化しており、損害額も平成30年台風21号では1兆円を超え、令和元年台風19号でも5000億円を超える損害が発生するなど特に台風は大きな被害をもたらしている。
物流業界では、自然災害発生時に荷主から預かる荷物の損害を防ぎ、サプライチェーンの分断を発生させないよう、いかに対策を講じるかが課題となっている。台風接近までの限られた時間の中で、貨物の損害回避にかかる輸送費用や避難先倉庫での保管費用は企業としては毎年かかるコストとして予算化できない背景もあり、追加で確保することが難しく、十分な対策が取られていない状態だった。
損保ジャパンでは、今回の取り組みは物流業者が顧客から預かっている間の荷物の損害を防ぐだけではなく、同社の過去から蓄積してきた保険金支払いデータから得られる事故防止のノウハウに基づく適切な対策のアドバイスやBCPの提案を行うことで、サプライチェーンを維持し、災害の状況下でも短期間での経済回復が可能な社会の実現に寄与するものとしており、同特約を通じて物流業界における当該課題の解決に貢献するとしている。