2021.10.15 損保ジャパン バイオマス燃料供給中断リスクを補償、燃料供給業者・使用者双方の課題解決

損保ジャパンは9月29日、バイオマス燃料の輸入販売業者の仕入先・自社供給網等で発生する偶然な事故によって供給が中断・停止した場合に、輸入販売業者が燃料の買主との燃料供給契約に従って代替の燃料を調達する際にかかる追加の費用等を補償する商品を開発したと発表した。

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー業界ではさまざまな取り組みが行われている。中でもバイオマス発電は、廃棄物等を活用したエネルギー生成が可能で温室効果ガスの排出削減に寄与するというメリットから、安定したベースロード電源(コストが安く、昼夜を問わず安定的に発電できる電力源のこと。原子力や石炭火力、水力、地熱発電などが該当する)としての可能性を持つ有効な選択肢として、役割の拡大が期待されている。そのような背景から、日本国内で広がるバイオマス発電所、CO2削減を図るため燃料の石炭に木質バイオマスを混ぜた燃料で発電(混焼)する石炭火力発電所での需要拡大を受けて、バイオマス燃料の輸入が増加している。
 一方で、バイオマス燃料の輸入では、燃料生産国から日本に至るサプライチェーンで発生する偶発的な事故に起因する供給中断リスクを抱えており、従来は燃料の売主である燃料供給業者が、買主である発電所等の燃料使用者との間で締結する燃料供給契約書において、燃料供給が中断した場合の代替燃料の調達(スポット買付け等)や、各種超過コスト等を負担する約定を行うことが一般的だった。しかし、輸入燃料については、供給不能期間が大規模かつ長期にわたり、対応費用が巨額になるケースも想定され、買主側も供給中断リスクを抱えながらバイオマス発電事業を行う必要があるなど、輸入バイオマス燃料の供給中断・停止は業界共通の主要な課題の一つとして認識されている。
 そこで、損保ジャパンでは、売主・買主双方を守るための保険として、保険商品の組成・提供検討を9月から開始したもの。
 開発した商品は「輸入バイオマス燃料に関わる供給停止・中断による損害を補償し支援する保険」で、燃料供給契約を燃料使用者(発電所等)と締結する売主を被保険者とする。サプライチェーンで発生する火災・爆発・自然災害など偶然な事由に起因して売主に燃料供給停止が起こった場合に、あらかじめ締結している燃料供給契約書の取り決めに基づき、売主が代替燃料調達や賠償などを履行することにより発生する費用を補償する。同保険の提供を通じ、バイオマス発電の普及を通じた国内における電力の安定供給と脱炭素の取り組みへの貢献を目指す。
 さらに今後の展開については、日本国内での補償の提供と並行して、燃料の長期安定的な供給と持続可能な現地生産体制構築を目指し、燃料生産国から日本に至るまでのサプライチェーンの整備や、SOMPOグループの海外ネットワークとリスクエンジニアリング会社を活用し、生産地環境保全に先進的な取り組みを行う燃料供給業者に対してリスクの洗い出しや保険へのリスク転嫁、リスク軽減への取り組みを通じた支援を提供することを検討するとしている。