2021.10.01 東京海上日動 太陽光発電事業者に新保険制度、設備廃棄費用や賠償リスクを補償
東京海上日動は9月2日、一般社団法人太陽光発電協会(山口悟郎代表理事、以下、JPEA)を契約者、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)認定事業者を被保険者とする新たな保険制度を2021年12月から創設し、太陽光発電設備の廃棄費用や賠償資力の確保に特化した商品を業界で初めて発売すると発表した。同社では、同制度を広く展開し太陽光発電事業の健全な発展と再生可能エネルギーのさらなる普及を支援していくとともに、今後もグリーン・トランスフォーメーション(GX)タスクフォース等を通じて顧客のカーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援し、産業の成長・発展に貢献していく考えだ。
固定価格買取制度が導入されて以降、太陽光発電設備の導入は急速に拡大している。一方で、近年増加する自然災害による太陽光発電設備への被害に対する安全面の不安や、環境への影響等をめぐる地域の懸念が顕在化しており、太陽光発電事業者と地域の共生も再エネ普及の大きな課題の一つとして解決策が求められている。
20年成立の改正エネルギー供給強靱化法では、22年7月から10キロワット以上の事業用太陽光発電事業者に対して太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立が義務化される予定で、また、廃棄費用の積立前・積立中の自然災害等に対応するため、20年4月から「火災保険や地震保険等の加入の努力義務化」を定めるほか、「万一の賠償資力の確保」や「サイバーセキュリティー対策」を求めるなど、太陽光発電事業者をめぐる環境やリスクは大きく変化している。
こうした中、同社は太陽光発電設備の普及・促進を図るJPEAと連携し、政策の実現に貢献するとともに、太陽光発電事業者の課題解決を目指し、「廃棄費用の外部積立前や積立中における廃棄費用」「太陽光発電設備の所有・使用・管理等や急増するサイバーリスクに備える賠償責任リスク」などを補償する業界で初めて(同社による)の保険制度を構築した。
新たな保険制度では、FIT制度認定を受けた太陽光発電事業者(以下、認定事業者)向けに、21年12月から専用保険を提供する。同保険はウェブで申し込むことができる。
加入対象は設備容量10キロワット以上2000キロワット以下の事業用太陽光発電設備を所有する認定事業者で、廃棄費用と施設賠償責任を基本の補償として、サイバーリスク補償は任意で選択できる。
廃棄費用の補償では、火災または落雷、風災、水災もしくは地震その他の自然災害等により太陽光発電モジュールに損害が生じた場合に、発電規模の縮小または発電事業の廃止を目的として太陽光発電設備を撤去する際の廃棄費用を補償する(修理費用は対象外)。補償額は設備容量1キロワット当たり1万円で、最大1000万円まで。地震リスクは1キロワット当たり2000円で、最大200万円となる。施設賠償責任では、太陽光発電設備の所有・使用・管理等に起因して対人・対物事故が生じた場合に、法律上の損害賠償金と見舞金を含む初期対応費用、事業継続費用等を補償する。補償額は1事故当たり賠償責任が1億円、初期対応費用・事業継続費用が1000万円となる。特約で提供するサイバーリスクの補償では、制御システムや遠隔監視システム等の発電システムへの不正アクセス等に起因して情報漏えいや第三者の事業阻害が生じた場合等に、法律上の損害賠償金や各種対応費用を補償する。補償額は1請求当たり賠償責任が1億円、事故対応費用が500万円となる。
年間保険料の例として、設備容量50キロワットの場合、基本補償の年間保険料は約1万7000円となる(ただし、太陽光発電設備が所在する都道府県や設備容量等によって保険料は異なる)。