2021.09.15 生保各社21年度(22年3月期)第1四半期決算 新契約保険料は大幅伸展

生保各社の2021年度(22年3月期)第1四半期決算を見ると、コロナ禍が続く中で新契約年換算保険料は大幅な回復を見せ、全体で前年同期比83.6%増の4510億円を計上、驚異的な伸展を見せた。ただし、コロナ以前の19年同期との対比では、全体で16.0%減となっており、いまだ本格的な回復には至っていない。一方、保有契約年換算保険料は、全体で前年度末比0.4%減の微減で27兆8418億円だった。保険料等収入は、全42社中33社が前年実績を上回り、基礎利益は同じく22社が前年実績を上回った。(4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載)

 日本生命グループの連結業績は前年同期比増収・増益で、保険料等収入は前年同期比10.4%増の1兆3569億円、基礎利益は日本生命の株式配当金等の増加による利差益の改善等を主因に同27.9%増の1568億円となった。新契約年換算保険料は、営業活動の再開等により前年同期比で増加したものの、営業職員チャネルの件数はコロナ禍前の19年度第1四半期との比較では減少にとどまった。日本生命単体の保険料等収入は同10.1%増の1兆917億円、基礎利益は同19.9%増1474億円、大樹生命の保険料等収入は同11.0%増の1244億円で、基礎利益は同141.6%増の80億円だった。日本生命は、銀行窓販チャネル向け商品の販売増282億円、団体年金の増加542億円などがあり保険料等収入は前年同期比1003億円の増加で、大樹生命は、一時払外貨建養老保険の販売増210億円などにより同123億円の増加。日本生命の新契約年換算保険料は同181.1%増の577億円、大樹生命は同118.8%増の65億円。
 かんぽ生命の保険料等収入は前年同期比9.7%減の6440億円だった。保有契約の減少等に伴い保険関係損益が減少したため基礎利益は減少し、前年同期を79億円下回る1025億円となった。個人保険の新契約年換算保険料は、昨年度の第1四半期は93.5%減と大きく減少していたが、今年4月1日から顧客への積極的な提案を再開したことから、本四半期は同93.0%増の116億円と大幅に伸展している。
 明治安田生命のグループ保険料は明治安田生命単体の外貨建一時払保険の販売量増加を主因に前年同期比6.8%増の6918億円、グループ基礎利益は明治安田生命単体の利息及び配当金等収入の増加を主因に同11.7%増の1279億円となった。明治安田生命単体の基礎利益は、同25.7%増の1265億円。保険料等収入は同7.2%増の6033億円。このうち、個人保険・個人年金保険は同8.2%増の3971億円で、営業職員チャネルが同4.8%増の3236億円、銀行窓販チャネルが同31.6%増の638億円。個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同73.8%増の271億円と、対面営業を自粛していた前年同期から大きく回復。コロナ禍前の19年同期との比較では11.3%の増加となった。
 第一生命ホールディングスの連結保険料等収入は前年同期比8.6%増の1兆9455億円となった。グループ基礎利益は同11%増の1515億円。新契約年換算保険料はグループ全体で同120.9%増の839億円、国内3社(第一生命・第一フロンティア生命・ネオファースト生命)計では同182.9%増の592億円となった。新契約年換算保険料は、第一生命が同174.3%増の198億円、第一フロンティア生命が同218.8%増の357億円と、営業自粛等の営業制約があった前年同期から大幅に増加。コロナ発生前となる前々年同期との比較では、第一生命は4.7%減にとどまった一方、第一フロンティア生命は同2.0%増、ネオファースト生命は同85.7%増と増加し、国内3社計では同2.5%増となった。
 住友生命グループの連結保険料等収入は前年同期比12.0%増の5972億円となった。グループ基礎利益は同6.8%減の780億円だった。グループの新契約年換算保険料は同26.2%増の659億円。住友生命単体の保険料等収入は同12.4%増の5343億円で、新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険)は同92.1%増の251億円と好調だった。基礎利益は同7.8%減の716億円となった。
 ソニー生命は、一時払保険料の増加などに伴い保険料等収入は前年同期比34.1%増の3627億円を計上。基礎利益は同8.4%減の340億円。新契約年換算保険料は同170.9%増の267億円を示した。本年4月の年金事業統合に伴う出再保険契約の解約で生じた危険準備金328億円の積立を当期に一括で行ったことなどにより、経常利益は▲83億円となった。特別損失が267億円で、四半期純利益は▲225億円。
 メットライフ生命の保険料等収入は4334億円で、前年同期比29.3%の増収となった。基礎利益は同36.5%増の481億円。新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険)は同98.6%増の216億円だった。
 アフラックの保険料等収入は3321億円で前年同期比3.8%減となった一方、基礎利益は同14.2%増の947億円の増益となった。がん保険の販売件数はほぼ横ばいで11万4675件、医療保険の販売件数が同70.5%増の7万4320件となった結果、個人保険分野全体での新契約件数は同19.5%増の20万2262件となった。個人保険分野の新契約年換算保険料は同28.6%増の120億円。
 プルデンシャル・グループ4社(プルデンシャルHD、プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の連結保険料等収入は前年同期比13.2%増の5482億円だった。親会社株主に帰属する四半期純利益は同38.0%増の437億円。生命保険会社3社(プルデンシャル生命・ジブラルタ生命・PGF生命)合算の基礎利益は、同1.8%減の484億円だった。生保3社の新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険)は同45.0%増の295億円だった。プルデンシャル生命の保険料等収入は同6.8%増の2412億円、基礎利益は同4.9%減の149億円、新契約年換算保険料は同48.5%増の153億円。ジブラルタ生命の保険料等収入は同20.8%増の2648億円、基礎利益は同1.4%減の306億円、新契約年換算保険料は同43.2%増の119億円。
 T&D保険グループ中核生保3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の基礎利益は前年同期比16.3%増の394億円だった。新契約年換算保険料は、同65.9%増の308億円となった。太陽生命の保険料等収入は同18.2%増の1750億円で、新契約年換算保険料は同69.2%増の88億円。このうち、保障性新契約年換算保険料は47億円で、ウィズコロナ時代に対応した営業活動の推進と、「感染症プラス入院一時金保険」や「ガン・重大疾病予防保険」の販売が好調だったことにより、前年同期から60.7%増加。大同生命の保険料等収入は同0.2%減の1892億円で、新契約年換算保険料は同55.5%増の147億円。コロナ禍で高まっている顧客の保障ニーズに的確に対応したことにより、オーダーメード型商品(αシリーズ)の販売が堅調で、また、「がんステージ限定型Jタイプ」の推進等により、就業不能・介護保障商品も前年同期から増加した。