2021.09.07 三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保 企業の脱炭素化対策取組支援、「カーボンニュートラルサポ特約」開発

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、企業向けの火災保険である「企業財産包括保険」で、被災建物等の復旧時に新たにCO2排出量削減につながる設備等を採用する際の追加費用を補償する「カーボンニュートラルサポート特約(脱炭素化対策費用補償特約)」を開発、8月23日から販売を開始した。

 「カーボンニュートラルサポート特約」は企業の脱炭素化に向けた取り組みを支援するもので、事業所内にある建物や設備等の保険の対象に事故が生じ、企業が負担する費用のうち、次のすべての条件を満たす費用を「脱炭素化対策費用保険金」として支払う。
 事故が生じた敷地内と同一敷地内で実施する脱炭素化対策(CO2排出量を削減するための対策)に要するもので、①損害が生じた保険の対象に関連する費用②保険会社(三井住友海上またはあいおいニッセイ同和損保)が指定するリスクサーベイまたはロスプリベンションサービスを行う会社が認定する脱炭素化対策に要する費用―が条件となる。普通保険約款財物補償条項およびこれに適用される他の特約の規定に基づいて支払う保険金の額と、保険の対象を損害発生直前の状態に復旧するために要する費用の額は除外される。

 「生産設備から排出される熱エネルギーを再利用するための機能を追加した」「バイオエタノールを燃料とした自家発電設備を導入した」「CO2排出量削減に寄与するボイラー設備の燃料転換を実施した」「屋根の復旧時に屋上に太陽光発電設備を新たに設置した」「高断熱ガラス、外壁の高断熱化を実施した」「照明や動力機器について不要時の自動停止機能を追加した」―以上のような補償例が示されている。
 同特約の販売対象とする事業者は、①エネルギーの使用の合理化等に関する法律に定める第一種エネルギー管理指定工場等または第二種エネルギー管理指定工場等、②①のほか、グループ会社のMS&ADインターリスク総研の「CO2排出量/削減量簡易算定」サービス(顧客の電力やガソリン・軽油などのエネルギーに関する使用量のデータをもとに、環境省が公表する排出係数を用いて、CO2排出量を算定するサービス)を受けた事業所―等としている。
 支払う保険金の額は、脱炭素化対策費用を実費で補償する際の損害保険金に割合を乗じた金額または支払限度額のいずれか低い額が限度で、損害保険金の割合は10%または30%、支払限度額は1億円・3億円・5億円・7億円・10億円―からそれぞれ選択する。

 特約保険料は選択した損害保険金の割合、支払限度額、業種等により異なるが、例として、損害保険金の30%または10億円のいずれか低い額を限度とする場合で、1000万円程度としている。
 脱炭素に向けた取り組みは世界中で加速しており、CO2排出量を削減する新しい設備や技術が開発されている。今後は、火災や風水災等で損害を被った建物や設備を復旧する場合においても、追加費用をかけてCO2排出量の削減につながる設備等を採用する企業が増えると想定されているが、従来の火災保険では、一般的な工事や設備修理等、元の状態に復旧する費用までしか保険金を支払うことができなかった。
 三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保では、災害発生後の復興段階において、元の状態に戻すだけでなく、より強靱な対策を講じてまちづくりを実現するという、防災分野で提唱されている概念である「Build Back Better(創造的復興)」の考えを踏まえた、脱炭素社会実現への貢献を目的に、復旧時のCO2排出量削減につながる追加費用を補償する新たな特約を開発したとしている。