2021.08.04 生保協会 令和4年度税制改正要望、重点要望項目に保険料控除制度

生保協会は7月16日、「令和4年度税制改正に関する要望」をまとめ発表した。重点要望項目では昨年に続き、人生100年時代を迎え少子高齢化の急速な進展や働き方・ライフスタイルの多様化など社会環境が変化する中、持続可能な社会保障制度の確立と国民生活の安定に資するために、国民の自助・自立のための環境を整備する観点から、生命保険料控除制度について、社会保障制度の見直しに応じて現行制度を拡充することを求めた。具体的には、所得税法上と地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を少なくとも5万円および3.5万円とすること、また、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を少なくとも15万円とすることを要望した。

 同協会は重点要望項目で求める生命保険料控除制度の拡充について、「国民が安心して生命保険に加入し継続できるよう、生命保険料控除制度が恒久的に継続されることが不可欠で、また、国民の自助・自立のための環境整備等の観点から、社会保障制度の見直しに応じて、生命保険料控除制度が拡充されることを要望する」とした。
 同協会は「公的保障・私的保障のそれぞれが、各役割を果たし、補完し合って、国民の生活保障を支えていく体制を構築することが重要」との考えを示し、「国民一人ひとりが必要な私的保障の準備を自ら行うことを促すための環境整備等の観点から、社会保障制度の見直しに応じて、自助努力を支援する生命保険料控除制度を拡充していくことが必要」「生命保険料控除制度の拡充は、社会保障制度改革においてわが国が行おうとしている自助努力の喚起を、より明快に推し進めることにもなる」と指摘。「『公私二本柱の生活保障』の理念に基づき、公的保障を基盤とし、個々の重視するニーズに応じて私的保障を選択的に準備することで、より有効かつ効率的に、国・地方の財政負担を軽減しつつ、多様な生活保障ニーズを充足することが可能になる。したがって、多様なニーズに対応する自助努力のさらなる充実につながるよう、国民の自助努力を税制面から支援・促進する生命保険料控除制度について、社会保障制度の見直しに応じて拡充していくことを要望する」とした。
 また、国・地方両面からの自助努力支援の必要性を強調し、「『公私二本柱の生活保障』の理念に基づき、地方の福祉サービスと私的保障が補完し合って地域住民の生活保障を支える体制を構築するため、また、地方財政の健全化のためには、国税(所得税)と同様に地方税(個人住民税)においても、さまざまな私的保障の準備を幅広く支援・促進する制度である生命保険料控除制度は不可欠」とした。
 その他の重点要望項目としては、企業年金保険関係では昨年に続き、▽公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度)および確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること、撤廃に至らない場合であっても課税停止措置を延長すること▽確定給付企業年金制度において、現行のとおり拠出限度額を設定しないこと▽確定給付企業年金制度における中途引出し(脱退一時金)の在り方の検討にあたって、現行のとおり中途引出しを認めること▽確定給付企業年金制度における過去勤務債務等に対する事業主掛金等について、早期の年金財政の健全化に資する柔軟な取扱いを可能とすること▽企業型確定拠出年金制度における退職時の中途引出し(脱退一時金)について支給要件を緩和すること―を要望。また本年度は新たに、▽確定給付企業年金制度について、欧米における閉鎖型DBのバイアウト等のように、企業の年金支給義務を移転させる仕組みを導入するための措置を講ずること―を要望した。
 また、生命保険契約関係では昨年に続き、▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること―を要望。
 資産運用関係では昨年に続き、▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること―を求めた。

 その他では、▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること―を要望するとともに、本年度は新たに、▽外国子会社合算税制において保険会社および保険持株会社に認められている特例に対して、生命保険事業の実態を踏まえた所要の措置を講じること―を要望した。