2021.08.02 損保ジャパン、SOMPOリスク 「風評リスク対応費用保険」発売、平時・有事の対策と保険を合わせて提供
損保ジャパンはSOMPOリスクマネジメントと㈱エルテス(東京都千代田区)と共に、企業の社会的評判や製品サービスのブランド価値を守るためのソリューションを開発し、「風評リスク対応費用保険」の販売を6月から開始した。風評リスクを移転または軽減させることを目的に、平時・有事の両面で有効なリスク対策サービスと保険を組み合わせた「ハイブリット型保険ソリューション」となっており、風評リスクが顕在化した時に発生するメディア対応費用・弁護士相談費用など、事業者が支出する各種費用の補償とともに、「AI活用のネット監視サービス」と「緊急時サポート総合サービス」を自動付帯することで、有効な対策をとることができるようにしている。
「風評リスク対応費用保険」の特長は、①事業者への直接的なネットでの炎上だけでなく、事実の有無を問わず発生する地域や業界のネガティブなうわさ・口コミなどの風評被害に対しても補償できる②無料のネット監視サービスが付帯される―の2点で、対象となる事故は、風評により被保険者のブランドイメージが損なわれたり、そのおそれが発生したことにより被保険者が被る損害。風評の発生が、①マスメディアによる報道②ネット監視サービスに基づく通報③被保険者が行うマスメディア、公式ウェブサイト、公式SNS、公式ブログおよび公式動画メディアによる会見、広告または投稿による公表―により客観的に明らかになった場合が支払対象となる。
支払対象となる費用は、①事故対応費用(拡散防止費用・信頼回復費用・弁護士相談費用・原因調査費用など)②メディア対応費用(信頼回復のための広告・会見・発表費用)③見舞費用(近隣等への見舞金・見舞品購入費用)④事故付随費用(被保険者の製品廃棄またはサービスの停止にかかる費用)―の四つ。
保険料例として、飲食業、年間売上高10億円、支払限度額1000万円で保険料43万円、旅館業、年間売上高30億円、支払限度額1000万円で保険料48.7万円といった例が示されている。損保ジャパンでは「風評リスク対応費用保険」のメーンターゲット層を売上高100億円以下の企業とし、リリース後1年間の販売目標は契約件数1000件、保険料2億円としている。
同保険に自動付帯する「AI活用のネット監視サービス」は24時間体制の風評リスクの無料検知サービス。平時に、保険加入の企業に関わるインターネット上の情報(Google検索エンジンおよびTwitter)を収集し、風評の有無をAIで判定する。風評リスクが疑われる投稿等が発見された場合、アラートメールで連絡する。また、風評リスクが顕在化した際に「ネットへの緊急対応サポート(クイック調査、ネット監視の強化、ネット論調の分析、ネットへの情報発信の指南など)」を提供する。リスク検知に特化したビッグデータ解析によるソリューションの提供を行うエルテスがサービスを提供する。有料オプションで監視機能バージョンアップも可能。
「緊急時サポート総合サービス」は、有事の際に緊急対応のコーディネートを行うサービスで、SOMPOリスクマネジメントがその機能を担う。風評リスクが顕在化した際に、ネット対応への緊急サポートやコールセンターの仕組みの照会や連絡窓口、サービス機能の発動や調整役を行う。「AI活用のネット監視サービス」の運用に関する窓口ともなる。
近年、大量の情報が氾濫するなかで、不正確な情報や誤った情報が急速に拡散し、企業の規模や業種・業態にかかわらず風評被害を受ける可能性が増大している。SNSの急速な普及に伴い、自社事業に対するネット上の書き込み投稿を監視する企業も増えている一方で、自社事業とは全く関係ないところに端を発した風評により、予期せぬ影響を受けることもある。また、新型コロナウイルスの中でインフォデミック(注)やフェイク情報などによる風評リスクも社会問題となっている。
今回3社が開発した「ハイブリッド型保険ソリューション」は、コロナ禍において風評リスクに晒されている中堅・中小企業の事業者に向けて、3社の強み・知見・経験を生かして開発したサービスとなっているとしている。
(注)「情報の急速な伝染(Information Epidemic)」を短縮した造語。正確な情報と不正確な情報(デマ・フェイク情報)が混じり合い、急速に拡散し、社会に影響を及ぼすこと。