2021.07.21 生保協会 高田新会長が就任会見、未来へ続く安心社会実現へ

損保ジャパンは、業界初(6月1日時点・同社調べ)となる「消防団災害活動用自動車保険(別名:地域防災を支える保険)」を開発、2022年1月から販売を開始する。地域防災の強化を後押しするため、消防団員が災害活動等を行うためにマイカーを使用している間の事故に対して、市町村等が加入する保険から優先して保険金を支払うもの。

 「消防団災害活動用自動車保険」の契約者・記名被保険者は消防団を設置する市町村(一部事務組合(注)を含む)で、契約自動車は消防団員等が所有する自動車で消防団災害活動のために使用することを事前に登録しているもの。対象となる事故は、消防団災害活動のために自宅等を出発した時から自宅等に帰着した時までの間に発生した事故となる。補償内容は、対人賠償・対物賠償・車両保険・人身傷害と、通常の自動車保険と同様。
 これによって、同自動車保険の補償する範囲においては、消防団員個人が加入する自動車保険を使用する必要がなくなる。なお、地震・噴火・津波自体によって生じた損害は対象外で、消防団災害活動のための移動に関して合理的な経路を著しく逸脱している間は補償されない。
 22年1月1日以降の保険始期契約からの販売で、消防団の活動に出動した実日数に応じた合理的な保険料設計となっているという。
 近年、地震・台風・集中豪雨・大雪・火山噴火等の大規模かつ多様な災害が発生しており、防災の中核として地域に密着して消防防災活動を担う消防団の重要性が高まっているが、その一方で、その活動を支える消防団員数は、年々減少している実態にある。
 活力ある消防団員の確保をいかに図っていくかが、各地域・市町村の切実な課題となっており、解決に向けた検討会の開催等、さまざまな取り組みが行われている。
 一方で、消防団員は、災害活動時には移動手段としてマイカーを使用するケースも多く、移動中や災害活動等のために駐車している間の自動車の事故や損害については、消防団員個人が加入する自動車保険で対応する必要があった。そのため、保険の使用に伴う次契約の保険料アップという形で経済的な負担が発生してしまう課題があった。
 例えば、19年10月の台風では、災害活動のために屯所に自家用車で急行し、安否確認等の活動を行っていたところ、屯所が浸水し消防団員の自家用車が水没する事案が発生(静岡県、長野県、福島県、宮城県で合わせて57台)したが、これも消防団員個人の自動車保険が使用されたとのこと。
 そこで、総務省消防庁から、「消防団員が災害活動等のためにマイカーを使用している間の自動車事故」について、消防団員の個人的な負担軽減に向けた保険についての検討依頼があったこともあり、同社は保険の組成により、消防団員が個人的負担を生じさせることなく安心して活動を行い、また、消防団員の確保に貢献し、地域防災の一助となるよう同商品を開発したという。
 消防団員がマイカーで出動する件数は年間約120万件と試算されている。消防団は大規模災害時をはじめとして、地域の安全確保のために大きな役割を果たす組織であり、自然災害リスクが高まる中、地域防災の強化は、安心・安全な社会の実現において、今後も重要性が増していく。損保ジャパンは、同商品を通じて、消防団員が安心して活動できる社会の実現を目指し、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の取り組みに貢献するとともに、これからも社会課題をいち早く捉えた保険商品やサービスを開発していくとしている。
 (注)事務組合とは、複数の市町村等の地方公共団体が、行政事務の一部を共同処理することを目的として設置する組織のこと。