2021.06.24 イーデザイン損保 AIで自動車保険の不正請求検知、高速度・高精度なスクリーニング実施

 イーデザイン損保はこのほど、㈱PKSHA Technology(東京都文京区、上野山勝也社長)と連携して、自動車保険の契約内容や事故状況等に関する情報から不正な保険金請求を早期に検知するAI(人工知能)を開発した。高次元の不正請求パターン認識により、保険金請求事案に高速度・高精度なスクリーニングを行うことで、事故対応担当者の業務をサポートする。6月から運用を開始する。

 イーデザイン損保が導入したのは、PKSHA社が保有する金融サービス向けアルゴリズムモジュール「PREDICO for Financial Intelligence」。すでにさまざまな業界で導入されており、与信スコアリングや融資判断、マネーロンダリング対策、生損保の不正請求対策、EC等非対面決済の不正対策など、金融サービスのデジタル化を支援している。
 今回、イーデザイン損保より学習データと業界知見を提供し、 同モジュールを自動車保険向けにカスタマイズすることで、保険金の不正請求における高次元パターン認識をアルゴリズムに委ね、請求の一次スクリーニングを自動的に高い精度で行う。スクリーニングで検出された事案については、どのようなデータが根拠で不正請求が疑われるのかが表示されるので、そうした情報を参考にしながら事故対応担当者は有無責の判断ができる。また、AIは最新の不正請求事例を学習していくことで、環境変化にも対応できる。
 近年、保険金の不正請求は、健全、安定的な損害保険制度の運営や保険事業の信頼性維持、公平性確保の観点から業界全体の重要課題になっている。一方で、不正請求の手口は年々複雑、巧妙化しており、不正請求対策には幅広い不正パターンの理解と高度な専門性が求められることから、今回、イーデザイン損保はPKSHA社との提携で専用のAIを開発した。
 同社では、「当社の専任担当者の持つ専門的なノウハウを生かしつつ、その業務をAIがサポートするといった『人とソフトウエアの協業』により、不正請求対策の高度化が実現できると考えており、これからもお客さまと共に保険業界の新しい形をつくることを目指して取り組んでいきたい」としている。
 また、PKSHA社では、「当社の機械学習アルゴリズムは、不正が疑われる請求を高速、効率的かつ高精度に自動検出する。担当者が最終的な判断に集中できる業務フローの構築を実現でき、保険金詐欺被害の抑止に貢献する。今後も当社は、複数の業界大手企業との連携を推進するとともに、金融・保険業界全体のリスク・不正対策業務の効率化・高度化を図り、未来のソフトウエアの社会実装を推進していきたい」としている。