2021.05.13 損保ジャパン・先進モビリティ 後続無人隊列走行自動車保険プラン開発、実証実験事業者への提供開始

 損保ジャパンは、先進モビリティ㈱(東京都目黒区、青木啓二代表取締役)と協力し、自動車の隊列走行(トラック等を電子連結技術〈車車間通信〉により一体に制御し、複数台の車両が隊列車群を構成し走行するもの)特有のリスクを補償する新たな自動車保険のプランを開発、4月8日から隊列走行の実証実験を行う事業者等への提供を開始した。

 先進モビリティは2016年から経済産業省および国土交通省の「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」へ参画し、自動運転や隊列走行に関する技術開発や後続車無人走行実現のための課題を検証してきている。損保ジャパンもこれまで多数(累計で60カ所以上)の自動運転サービス実証実験に参画し、実証実験を実施する企業の声をもとに保険商品・サービスの開発を進めてきた。今般、後続無人トラック隊列走行の実証実験に際し、隊列走行特有のリスクを補償する専用保険プランを両社で新たに共同開発したもの。
 本プランでは、①電子けん引途絶時(先頭車両と後続車両の電子連結が途切れた場合)の車両運搬・運転者派遣費用②電子けん引途絶時の積み荷運搬・移動費用③割り込み車等との接触事故に対する補償④高速道路上での立往生など通行不能損害⑤車両開発事業者等の被保険者追加⑥インフラ設備の欠陥等による事故の賠償責任―以上の補償を行う。このうち、②③は業界初(損保ジャパン調べ)となる。
 ①では、電子けん引が途絶し、かつ、後続無人の隊列自動車に運転者が搭乗していないために、後続車両が走行不能になってしまった場合に、この自動車を運搬するための「車両運搬費用」「運転者派遣費用」を補償する。
 ②では、電子けん引が途絶した場合、当該自動車自体を速やかに持ち帰り、原因分析等を行う必要があるため、「積み荷を収容している場合にその積み荷を当初目的地まで運搬する費用」「バス等乗客を搭乗させている場合にその乗客が当初目的地まで移動する費用」を補償する。
 ③では、これまでも相手方の歩行者等の過失部分も含めて治療費等を支払う補償はあったが、隊列内に二輪車等が入り込み事故が発生するケースに対応するため、相手方が自動車であっても相手方過失分も含めて修理費を補償する。
 ④では、電子けん引が途絶し、かつ、後続無人の隊列自動車に運転者が搭乗していないために、高速道路が通行不能になった場合に、道路管理者等に損害賠償を行うための費用を補償する。
 ⑤では、対人・対物賠償の被保険者に「被保険自動車に自動運転の技術を提供する車両開発事業者」などを追加することで、事故発生時の車両開発事業者間の過失割合の協議を不要とし、自動運転実施事業者間の紛争を未然防止することができるようにする。
 ⑥では、安全性向上のため路車間通信システムを活用する実証実験の際、インフラ設備工事の欠陥や管理不備による事故が発生した場合の賠償責任を負担することによって被る損害を補償する。
 本専用保険プランは後続無人のトラック隊列走行実証実験だけでなく、後続有人やバスなどトラック以外の車両での隊列走行実証の場合にも加入することができる。
 自動車の隊列走行技術は、運転負荷の軽減やドライバー不足の解消、燃費向上によるCO2排出量の削減などさまざまな社会的効果が期待されることから、国内外で早期実現に向けた研究・開発が進められている。経済産業省・国土交通省では、20年度内に高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現することを目標として、車両技術の開発を行うとともに、後続車無人システムの実証実験を進め、本年2月22日に新東名高速道路の一部区間で、国内初となる公道実験走行として後続車運転席を無人とした状態(後続車助手席には保安要員乗車)での後続車無人隊列走行を実現した。3台の大型トラックが時速80キロメートルで車間距離約9メートルの車群を組んで走行した。損保ジャパンでは、この実験走行で今回の保険プランを提供している。