2021.05.07 金融庁 改訂「顧客本位~原則」との対応関係明確に、6月末までに取組方針提出求める

 金融庁では4月12日、「顧客本位の業務運営に関する原則」(2017年3月30日公表、21年1月15日改訂、以下本原則)を採択する金融事業者に対して、原則2~7(これらに付されている(注)を含む。以下同じ)に示されている内容ごとに、取組方針等における記載内容との対応関係について報告を求めた。本原則を採択し、対応関係を示した取組方針を公表した金融事業者のうち、金融事業者リストへの掲載を希望する事業者は、所定のExcel報告様式に必要事項を記載し、6月30日午後5時までに提出することを求めている。

 金融庁は、国民の安定的な資産形成の実現に向け、17年3月30日に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、金融事業者の顧客本位の業務運営への取り組みを見える化し、より良い取り組みを行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムを実現する観点から、同原則を採択し、取組方針等を公表している金融事業者をリストとしてとりまとめ、金融庁ウェブサイトで公表してきた。20年12月末時点で、同原則を採択し取組方針を公表した金融事業者は2098社にのぼっている。
 21年1月15日には、「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書―顧客本位の業務運営の進展に向けて―」(20年8月5日公表)を踏まえ、「顧客本位の業務運営に関する原則」が改訂され、本原則を採択する金融事業者は、取組方針に、原則2~7に示されている内容ごとに、実施する場合にはその対応方針を、実施しない場合にはその理由や代替策を、分かりやすい表現で盛り込むとともに、これに対応した形で取組状況を明確に示すことが求められるようになった。また、同報告書では、金融庁に対しては、本原則の採択事業者のリストを公表する際には、各金融事業者の取組方針やこれに係る取組状況を項目ごとに比較できるようにすることが適当であるとされたほか、金融事業者による好事例と不芳事例を比較分析し、ホームページなどを積極的に活用して、顧客にとって分かりやすい情報発信を行うことが求められるとされた。
 金融庁では、金融事業者から提出された報告内容について確認等を行い、原則2~7に示されている内容ごとに、対応した形で取組方針等を明確に示している金融事業者を、順次金融事業者リストに掲載していく。併せて、共通KPIの実績についても報告を求め、金融事業者リストに掲載することとしている。
 同時に公表された「取組方針等の記載や金融事業者リストへの掲載等に関するQ&A」によると、金融庁では4月から新しい報告様式による報告を開始し、これに合わせ、金融事業者リストへの掲載内容も見直す。20年12月末までに旧様式により報告を行い金融事業者リストに掲載されている場合でも、新たな金融事業者リストへの掲載を希望する場合には、新たな報告様式による報告が必要で、21年2月26日に公表した金融事業者リストの更新は今後しないとしている。
 金融庁では、今後、金融事業者の取組方針等の記載内容について、好事例の比較分析を行い、顧客にとって分かりやすい情報発信をしていくとしており、これに先立ち、これまでに金融事業者が公表している取組方針等に基づく金融事業者との対話等を踏まえ、「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」を策定、4月12日に公表した。同ポイントは、金融事業者における顧客本位の業務運営への取り組みの進展や環境変化を踏まえ、必要に応じ随時更新していくとしている。