2021.04.13 AIG損保 ハイパー任意労災に3特約新設、労災の休業補償を充実

 AIG損保は3月22日から、中小企業の労災上乗せ保険「ハイパー任意労災(業務災害総合保険)」の補償を拡充し、新たに「業務上疾病休業補償保険金支払特約」「通勤中個人賠償責任補償特約」「特定感染症等対応費用補償特約」の三つの特約の販売を開始した(5月1日以降の保険契約始期日より引受対象)。

 「業務上疾病休業補償保険金支払特約」は、労務災害リスクへの備えとして新たに追加するもので、労災認定された腰痛やうつ病などの業務上疾病による事業主や役員、従業員、パート、アルバイトの休業を日額補償する(支払対象期間は90日、180日、365日、545日、730日から選択)。また、脳血管疾患・虚血性心疾患等・精神障害については、労災申請が受理された場合に一時金(日額×20日分)を前記従業員等と事業者それぞれに支払う。
 「通勤中個人賠償責任補償特約」は、従業員の通勤時の個人賠償リスクに備えるもので、事業主や役員、従業員、パート、アルバイトが、日本で鉄道やバス、自転車などでの通勤中に起こした偶発的な事故により、他人の身体や財物に損害を与えたり、電車など(電車・モノレールなどの軌道上を走行する陸上の乗用具)を運行不能にさせることで法律上の損害賠償責任を負った場合の、損害賠償金(1事故につき契約の保険金額限度)や訴訟対応費用、弁護士費用などを補償する。
 「特定感染症等対応費用補償特約」は、自然災害リスクに備えるためのもので、従業員等(事業主、役員、従業員、パート、アルバイト、建設業・運送業の下請人、派遣社員や常駐の外部ベンダー社員等)に所定の感染症の罹患(りかん)者が発生し、企業が所有、使用または管理する日本国内の施設について、保健所等から消毒の命令・指示等があった場合に、企業が負担する対応費用を定額補償(50万円)する。
 AIG損保の「ハイパー任意労災」は、労働災害に対する従業員への補償を企業の福利厚生としても活用できる商品として、特に、人手不足の問題を抱える中小企業の経営者から好評を得ているという。従業員や下請け労働者の業務災害(労災)リスクに加えて、経営者や従業員の健康リスク、地震などの自然災害リスクへの補償を提供し、政府労災保険や健康保険ではカバーしきれないリスクに備え、従業員が安心して働ける環境づくりに役立つ商品となっている。
2019年6月には従業員の治療と仕事の両立を支援し、離職防止に役立つ「がん通院治療費用支援特約」を、20年4月には従業員が病気やケガの治療によって休職した際の収入減を補償する「所得補償保険金支払特約」の販売を開始している。
 3月18日に開催したメディア関係者向けのオンライン商品説明会で、同社の傷害・医療保険部推進課GPAビジネスグループの辻本広之グループリーダーは、三つの特約を新設した背景として、中小企業の経営者や従業員を対象に実施したインターネット調査の結果を挙げた。それによると、多くの人が病気やケガで働けなくなることへの不安を抱いていることや、新型コロナウイルス感染症の拡大によって健康に働ける環境づくりへの関心が高まっていること、従業員の高齢化や人手不足などが問題となっているため、約7割の経営者が、従業員が病気やケガを治療しながら安心して働ける制度や支援が必要と考えていることなどが分かったという。辻本氏は「今回の特約の新設により、中小企業の労務管理上のリスクを包括的にカバーすることができるようになる。事業主や従業員などが安心して働ける環境をサポートすることで、ニューノーマル時代における中小企業の成長に貢献していきたい」と商品開発への思いを語った。