2021.03.30 日本生命 新中期経営計画を策定、顧客数1490万人目指す[2021年3月19日]

 日本生命は新たな中期経営計画「Gоing Beyоnd―超えて、その先へ―」(2021~23年)を策定、3月19日に発表した。“人・サービス・デジタル”で顧客と社会の未来を支え続けるグループを目指すために、顧客数拡大を通じた「生産の早期回復・向上」と「収益力・健全性の向上」を目標に掲げ、グループの成長戦略の遂行とそれを支えるグループ経営基盤の強化に取り組む方針を示した。数量目標については、23年度末の顧客数(国内グループ)1490万人、保有年換算保険料(国内グループ)4.55兆円、基礎利益(グループ)6000億円、自己資本(グループ)9兆円を目指す。  新中期経営計画では、生保会社としての役割や顧客・社会からの期待が一層高まることから、①全ての人への安心の提供②健康長寿社会づくりのけん引③持続性のある社会づくりに貢献―の三つを柱に、「成長し続ける事業基盤を作り、揺るぎないマーケットリーダーになる」という中長期経営ビジョンの実現を目指すとした。
 新中計の位置付けは、経済・生活・社会環境などの変化を積極的に取り込み、マーケットリーダーになるための課題を乗り越え、成長と進化への道筋を確かにすることだとした上で、目指す姿は、“人・サービス・デジタル”で顧客と社会の未来を支え続ける企業グループだとした。
 また、「お客さま本位の業務運営」と「サスティナビリティ経営」を事業運営の根幹とし、デジタル化・高齢化の社会課題に重点を置いた顧客本位の実践や、ESG投融資の強化などによるカーボンニュートラルへの取り組みを通じた社会的役割をさらに発揮することにより、「生産の早期回復・向上」と「収益力・健全性の向上」の達成を目指す方針を示した。
 グループの成長戦略で、国内保険市場深耕では、環境変化や顧客ニーズの多様化に対応し、チャネル・サービス提供の高度化を図るとともに、グループ一体でのマーケット開拓強化、商品・サービスの拡充に取り組む。デジタル時代の営業職員チャネルの高度化については、スマートフォンの全職員配備などの「デジタル装備の充実による活動量の増大」やオンラインによる情報提供機会の拡充といった「顧客との接点機会の増大」を活用し、長く安定的に活躍できる職員の育成を促進する。顧客とのつながり強化については、顧客ニーズの変化を捉えたサービスの提供に加え、利便性向上に向けたウェブの活用や高齢の顧客に寄り添ったサービスの提供を進める。グループ一体でのマーケット開拓・新規市場への進出に向けては、グループ会社それぞれの強みを生かしたチャネル強化・拡大および商品提供を通じたマーケット開拓を推進することに加え、はなさく生命でのウェブ販売や少額短期保険事業への参入を進めていく。商品・サービスの拡充については、幅広い顧客の多様なニーズに応えるフルラインアップの商品・サービスをグループ一体で提供。日本生命の「みらいのカタチ」の保障領域に加え、新たな領域をサポートする商品・サービスのラインアップを充実していく。
 グループ事業の強化・多角化で、アセットマネジメント事業については、国内アセットマネジメント事業の競争力強化と海外アセットマネジメント事業のさらなる成長を通じて、資産形成ニーズの取り組みとグループ生命保険会社の運用力強化を推進する。先端技術・データの活用については、既存事業の強化と高度化に向け、先端技術・データを積極的に活用する。さらに、ヘルスケア領域や子育て支援、高齢化社会対応領域およびイノベーションに取り組むことで、新規事業を創出する。
 運用力強化と事業費効率化については、収益力向上に向け、ポートフォリオの変革やESG投融資などを通じた運用力強化と、コスト圧縮・成長に資する追加投資を通じた事業費効率化を推進する。
 デジタル活用については、あらゆる領域でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向け、19~23年のデジタル5カ年計画をスタートしており、新中計では、販売コンサルティングの高度化や顧客の利便性向上、新規事業推進に重点的に取り組む。
 人材活躍については、15年から開始している「人財価値向上プロジェクト」に引き続き取り組むことに加え、人材育成と闊達(かったつ)な風土醸成を通じて、職員のエンゲージメント向上を図り、多様な人材の多彩な活躍を推進する。
[QQ]事業運営の根幹となる顧客本位の業務運営については、顧客本位の業務運営を全ての取り組みの基本とし、デジタル化や社会課題の対応に重点を置き、顧客や職員の声を日々の業務運営に反映することで、各領域において職員一人一人が時代を捉えた顧客本位を実践する。
 サステナビリティ経営については、SDGs達成に向けて目指す姿を設定し、各種取り組みを推進する。また、持続可能な地球環境の実現に向けて、CO2排出量ネットゼロに向けた取り組みを推進し、脱炭素社会の実現に貢献していく。