2021.03.22 生保各社20年度第3四半期決算 新契約保険料は24%減に、上半期末からは10ポイント持ち直し[2021年]

 生保各社の2020年度第3四半期成績は、営業面では新型コロナウイルス感染拡大の影響により大きな落ち込みを示し、新契約年換算保険料は42社全体で前年同期比24.6%減となっているが、上半期末からは10ポイント持ち直し、回復の兆しをみせている。新契約年換算保険料で前年同期を上回ったのは17社となり、うち12社が2桁以上の伸びを示した。利益はおおむね前年並みの水準で推移している。〈4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載〉
 日本生命の保険料等収入は、海外金利の低下等による銀行窓販チャネル向け商品の販売減や、年度始めのコロナ禍を受けた営業職員チャネルの販売減等により前年同期比7.7%減の3兆1104億円となった。新契約年換算保険料は、同20.6%減の1464億円。基礎利益は企業業績の悪化に伴う国内株式配当金の減少等を主因に減益し、同1.3%減の4237億円となった。大樹生命、ニッセイ・ウェルス生命、はなさく生命、海外分を含む日本生命グループの連結保険料等収入は、同11.2%減の3兆7997億円で、グループ基礎利益は、同5.1%減の4474億円となっている。
 かんぽ生命の連結保険料等収入は前年同期比4730億円減の2兆527億円だった。同社では、20年10月5日から、顧客への「お詫び」を第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始しているものの、引き続き積極的な営業活動を自粛していることから、新契約年換算保険料は、同84.5%減の223億円にとどまっている。単体ベースで順ざやが前年同期比89億円減少したものの、保険関係損益が同182億円増と大きく上回った結果、基礎利益は同92億円増の3097億円となった。20年度通期の連結業績予想で、経常収益を1000億円下方修正した一方、経常利益を1000億円、親会社に属する当期純利益を330億円それぞれ上方修正している。
 明治安田生命の保険料等収入は外貨建一時払保険の販売量減少および団体年金保険の前年同期からの反動減を主因として、前年同期比8.1%減の1兆7426億円となった。うち個人保険・個人年金保険の保険料等収入は、同6.6%減の1兆1379億円だが、営業職員チャネルの平準払保険は同1.5%の減少にとどまった。新契約年換算保険料は、営業活動自粛の影響などにより、同11.5%減の673億円。対面・非対面を融合した営業活動が本格化した7月以降の業績は徐々に回復傾向にあり、第3四半期の業績は昨年水準まで回復しているという。基礎利益は、利息及び配当金等収入の減少、新型コロナウイルス関連の対策費用の増加等の影響により、同0.9%減益の3668億円となったが、2017年度以降の過去3カ年水準を確保している。明治安田生命グループの20年度の業績見通しは、上半期報告時から変更ない。
 第一生命の保険料等収入は前年同期比4.1%減の1兆6611億円だった。新契約年換算保険料は上期の営業自粛等が影響し同39.6%減の399億円。基礎利益は順ざやの増加を主因に同10%増の3232億円となっている。四半期純利益は同134億円減の970億円だった。第一生命ホールディングスの国内3社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命)計の新契約年換算保険料は同39.8%減の998億円。海外5社計の新契約年換算保険料は同48.7%減の518億円だった。グループ各社の堅調な業績推移、ジャナス・ヘンダーソン株式売却益計上等を踏まえ、21年3月期通期のグループ連結業績予想は、8月公表時から経常利益を570億円上方修正し4150億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同じく780億円上方修正し2620億円としている。
 住友生命の保険料等収入は前年同期比3.4%減の1兆6164億円となった。新契約年換算保険料は同19.5%減の684億円となった。基礎利益は同5.3%減の2536億円だった。メディケア生命、海外分を含む連結保険料等収入(連結損益計算書ベース)は同2.6%減の1兆7892億円となった。グループの新契約年換算保険料は同4.5%減の1475億円。グループ基礎利益は同8.7%減の2665億円だった。グループの親会社に帰属する四半期純剰余は166億円で、四半期包括利益は同100.7%増の6576億円を計上した。
 メットライフ生命の保険料等収入は1兆1676億円で、前年同期比16.2%の減収となったが、資産運用費用、事業費等の経常費用も減少したことなどから、四半期純利益は693億円で同36.0%の大幅な増益となった。基礎利益は同25.5%増の1137億円で、経常利益は同168億円増益の1035億円だった。新契約年換算保険料は同31.1%減少し、498億円となっている。
 アフラックの保険料等収入は1兆275億円で前年同期比3.5%減少したものの、基礎利益は同0.6%増の2447億円で黒字を確保した。新契約年換算保険料は、同38.5%減の324億円。
 ソニー生命の経常収益は、保有契約高が拡大したものの一時払保険料の減少により保険料収入が減少した一方で、特別勘定における運用益が増加したことにより、前年同期比8.4%増の1兆4045億円となった。新契約年換算保険料は同11.9%減の504億円。基礎利益は同12.6%増の1055億円となった。四半期純利益は同17.7%減の364億円を計上。
 プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(プルデンシャルHD)の3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)合算の新契約年換算保険料は前年同期比11.1%減少し873億円だった。合算の基礎利益は、同15.5%減の1325億円だった。このうち、プルデンシャル生命の保険料等収入は前年同期比4.2%増の7081億円、基礎利益は同14.0%減の453億円、四半期純利益は同2.8%減の299億円だった。新契約年換算保険料は同6.7%減の457億円。また、ジブラルタ生命の保険料等収入は前年同期比7.2%減の6525億円、基礎利益は同18.4%減の804億円、四半期純利益は同13.5%減の389億円だった。新契約年換算保険料は同17.7%減の321億円。
 T&D保険グループで、太陽生命の保険料等収入は前年同期比1.8%増の4668億円だった。新契約年換算保険料は同0.6%増の242億円、うち保障性新契約年換算保険料は、ウィズコロナ時代に対応した営業活動の推進や「感染症プラス入院一時金保険」の販売が好調だったことにより同7.1%増加し126億円となった。また、大同生命の保険料等収入は同1.2%減の5944億円で、新契約年換算保険料は同13.0%増の399億円だった。コロナ禍での保障ニーズの高まりもあり、多様な保障ニーズに応えられるオーダーメード型商品の販売が順調に推移した。T&D保険グループの連結経常利益は同109.0%増の1913億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は、生保事業の順調な推移に加え、米国再保険持株会社フォーティテュードの関連会社化に伴い持分法による投資利益を計上したことで、同177.4%増の1409億円と大幅に増加した。グループ連結の20年度通期の業績予想を上方修正し、経常収益が1兆9970億円(前回予想1兆9600億円)、経常利益が2200億円(同1830億円)、親会社株主に帰属する当期純利益が1570億円(同1230億円)としている。