2021.03.12 損保ジャパン/トランビ 「NDA情報漏洩保険」を共同開発、中小企業M&Aの情報漏洩トラブル補償[2021年]

 損保ジャパンは、事業承継・M&Aプラットフォーム「TRANBI」を運営する㈱トランビ(東京都港区、高橋聡代表取締役CEO、山中健太郎代表取締役COO)とパートナーシップ契約を結び、M&Aの交渉による情報漏洩を補償する新しい専用保険「NDA情報漏洩保険」を共同開発、1月21日から提供を開始している。
 M&Aプラットフォーム「TRANBI」は、事業売却希望者と購入希望者をインターネットを通じてマッチングする仕組みを提供しており、個人・法人問わず誰もが利用可能。2020年からはM&Aだけでなく、経営を向上させるさらなるソリューションとして、企業同士が提携をできるようなマッチングの仕組み、企業と人材をマッチングする仕組みの提供も始めており、本年1月21日からはこれらの一連のサービスの利用料金モデルを成約課金型から月額利用料金型に移行している。
 「NDA情報漏洩保険」は、秘密保持契約(NDA)の締結先や従業員から情報漏洩が発生した場合に弁護士相談費用や原因調査にかかった費用を1事故当たり500万円(縮小支払90%/1事故当たり)まで補償する保険。対象となるのは「TRANBIプレミアムメニュー」に加入している法人ユーザーで、同メニューの自動付帯サービスとして提供する。補償期間中(「TRANBIプレミアムメニュー」加入期間中)に、NDA締結先または第三者から漏洩の指摘、従業員等からの内部通報による機密情報の漏洩、またはそのおそれが認められ、争訟による損害が発生したときに保険金を支払う。「TRANBIプレミアムメニュー」は月額3980円(税抜)から申し込み可能となっている。
 中小企業経営者の高齢化が社会問題となる中、25年に70歳を迎える中小企業経営者は約245万人おり、そのうち約5割は後継者が決まっておらず(中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」による)、中小企業の事業承継対策が大きな課題となっている。事業承継の方法としては、親族内承継、役員・従業員承継、M&A等による社外への引き継ぎなどがあるが、特に引き継ぎ先の相手探しが難しいことや経営者がM&A取引時のトラブルに不安を抱えていることから、社外への引き継ぎは躊躇(ちゅうちょ)されることがある。例えば、企業の売り出し情報が流出すると地域の信用を失って事業継続が難しくなるおそれがあるという。「NDA情報漏洩保険」はこうしたM&Aを検討する際の大きな課題となっている情報の取り扱いのリスクを保険で軽減することで事業承継の課題を解決し、事業継承しやすい環境を整えていくもので、M&A等仲介サービスに付帯して利用者同士のトラブルに関する保険を提供するのは国内初(損保ジャパンによる)。
[QQ]同社では、従来のサイバー保険では、サイバーインシデントや情報漏洩等による賠償をメーンで担保しているが、今回のNDA情報漏洩保険はサイバーインシデント、情報漏洩のみならずNDA違反による争訟トラブル費用を包括的に補償している点で新しい保険だとしている。
 損保ジャパンでは今後、同社が運営する中小企業向けの支援サービス「サクセスネット」にトランビのメニューを掲載し、全国約5万店の代理店を通じて顧客の事業承継、経営課題等の支援につながる情報提供を行う。また、同社の一部の営業店で試験的にトランビと連携し、代理店を通じて顧客へ「TRANBI」の活用方法等について案内を開始し、対象エリアを順次広げていく予定だとしている。