2021.03.03 生保協会 初のオンライン定例会見開く、「認知症への備え」冊子で啓発[2021年2月19日]

 生保協会の根岸秋男協会長は2月19日、オンラインで定例会見を行った。通常日銀で開催している会見を、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からオンラインに切り替えたもので、同協会が協会長の定例会見をオンラインで開催するのは初めてのこと。根岸協会長は、同日付で開催された理事会で、本事務年度の重点取り組みの一つである高齢社会への対応として、契約者やその家族向けに認知症への備えのあり方を解説した冊子「生命保険契約者のみなさまへ 家族と備える認知症」が承認されたことを報告した他、緊急事態宣言の再発令への対応を含めた新型コロナウイルス感染症への対応状況等について説明した。
 理事会で承認された認知症対策に関する情報冊子「生命保険契約者のみなさまへ 家族と備える認知症」は、認知症となった場合、生命保険の手続きにおいて、本人だけでなく家族にも不便が生じることがある点に着目し、認知症に対して家族間でどのように備えられるのか、また、認知症に備えるにあたって活用できる制度・仕組み等をまとめた内容となっている。
 根岸協会長は、今後の展開について、同協会のホームページで公開する他、会員各社でも、メールマガジンやSNS等を通じて顧客に対してこの冊子の周知を図ったり、営業職員が顧客を訪問した際に直接渡すなどして、今後、積極的に活用していく方針を明らかにした。
 新型コロナウイルスへの直近の対応状況についても説明し、1月末時点の業界全体の合計として、これまでに保険料払込猶予期間の延長を受け付けた契約が29万件、そのうち今もって保険料の払込みを猶予するといった特別取り扱いを行っている契約が9万7000件に上っているとした。1月の緊急事態宣言の再発令を受けて対象の地域の顧客に対して保険料払込猶予の特別取り扱いを新たに実施したことから、その件数が増加しているという。また、利息を減免した契約者貸し付けの契約数はこれまでの合計で93万5000件、それに伴う貸付金額は5843億円となっている。  新型コロナによる保険金等の支払いは、1月末時点の合計で、死亡保険金が2564件で、182億2000万円。入院給付金は6万1581件で63億3000万円となった。
 こうした状況について根岸協会長は「11月以降の感染者数増加に伴い、昨年12月と今年1月の支払額が昨年10月までの平均および11月単月の数字と比べて増加しているものの、こうした支払いが生命保険会社の収支に与える影響は限定的であり、保険金等のお支払いに問題が発生するような状況ではないので、その点はご安心いただきたい」と語った。
 また、1月の緊急事態宣言の再発令を受けた協会対応として、緊急事態宣言の対象地域の顧客に対して、昨年3月の感染拡大時と同様に、最長6カ月間の保険料払込み猶予期間の延長および必要書類の一部省略といった保険金等各種支払いに関する措置、これら2点の特別取り扱いを直ちに実施したと報告。
 この他、協会のガイドラインも踏まえ、宣言の対象地域ではテレワークやリモート面談等を最大限活用するとともに、顧客からの依頼等に応じて対面での業務を行う場合は十分な感染対策を取った上でそれらを実施するよう、会員各社に対して改めて周知徹底したことや、今回の緊急事態宣言下での会員各社の取組状況についてアンケートを行った上で、各社における取り組みの参考に供するため、速やかに各社にフィードバックを実施したことなどを紹介した。
 今後の対応について根岸協会長は「再発令への対応に当たっては、協会としても、また会員各社においても、速やかに適切な対応が取れたものと思っているが、引き続きしっかりと対応を図ってまいりたい」とした。
 最後に、20年11月の記者会見で触れた営業職員チャネルの管理体制に関する各社アンケートの進捗について説明した。同協会では、昨年12月から今年1月にかけて、協会加盟の全42社を対象に営業職員チャネルの管理体制に関するアンケートを実施し、営業職員チャネルにおけるコンプライアンスやリスク管理体制、管理に当たっての留意点等についてその実態と、工夫に関する情報を収集した。
 具体的には、営業職員チャネルの管理に当たっての経営陣の役割や企業文化の定着に向けた取り組み、内部統制の仕組みといった多様な視点からの質問を設定したもので、同協会では、回答内容を確認・分析し、4月をめどに結果の公表を予定している。
 記者からこのアンケートに関する受け止めを問われた根岸協会長は「業界全体として営業職員チャネルの管理体制がどのような状況にあるのかを確認するだけでなく、会員各社間においてそれぞれの好事例と言える取り組みの相互共有を行うことによって、業界全体として体制の底上げ、高度化を図っていきたい」との考えを示した。