2020.12.22 ■損保ジャパン 個人用火災総合保険を改定、費用保険に「修理付帯費用」新設[2020年]

 損保ジャパンは、個人用火災総合保険の2021年1月1日以降保険始期の契約について、商品改定を実施する(THEすまいの保険、THE家財の保険共通)。今回の改定は、昨今の自然災害の増加により19年10月に火災保険参考純率が改定されたことを受けたもので、保険料を改定(改定幅は契約内容や建物の構造などによって異なる)するとともに、費用保険金に「修理付帯費用(注)」を新設する。また、貴金属等(旧明記物件)の手続き簡素化、宅配物への補償や「個人賠償責任特約」の補償範囲の拡大など、補償・サービスを充実させる。
 損保ジャパンは、昨今の自然災害の増加により、大型台風や豪雨が多発していることを踏まえ、大規模災害における顧客の備えを拡充するとともに、いち早く保険金を届けられるよう、費用保険金に関する改定を行う。
 具体的には、仮修理や各種調査の費用を補償する「修理付帯費用」を新設し、損害範囲の確定や仮修繕、原因調査、賃貸、仮設物設置など、復旧に付随して発生する費用を損害保険金として支払う。
 また、費用保険金の算出方法も改定し、これまで費用保険金として支払っていた「残存物取り片づけ費用」と、新設する「修理付帯費用」を損害保険金としてまとめて支払う。従来は損害保険金として各種費用を別々に計算する必要があったため、保険金の支払いに時間を要するケースがあったが、よりスピーディーな支払いにつながるという。
 算出方法の改定に伴い、損害保険金の支払限度額を保険金額の2倍に改定する(復旧費用については保険金額を限度に支払う)。これにより、「修理付帯費用」の新設に加え「残存物取り片づけ費用」に個別に定められていた限度額がなくなることから、支払いできる損害保険金が増加し、ケースによっては保険金額を越えた支払いも可能になる。
 また、臨時費用保険金の支払限度額についても、これまでは100万円(1事故・1敷地内)だったが、100万円または保険金額×10%のいずれか低い額(1事故・1敷地内ごと)に改定する。
 家財が保険の対象の場合は、貴金属等(旧明記物件)の手続きを簡素化し、宅配物への補償を拡大する。
 貴金属等はこれまで、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石や骨とう品などを保険の対象とする場合は申込書などに明記し、評価額を設定することで補償の対象としていたが、1000万円以下は明記を不要にする。取り扱いは100万円以下は自動補償、1000万円以下は保険金額を300万円・500万円・800万円・1000万円の中から選択となる。なお、1000万円超の場合は従来通り明記が必要。
 宅配物については、昨今のネット通販などの利用加速により、宅配ボックスや置き配(荷物を玄関などに置いて届けること)の利用が増加していることから、不在時に自宅の宅配ボックスや玄関前に配達された宅配物、玄関前に設置した動産である宅配ボックスも補償の対象とする。
 また、火災や風災などの事故の際における盗難補償も追加する。
 「個人賠償責任特約」「個人賠償責任特約包括契約に関する特約」は、①誤って線路へ立ち入り電車を運行不能にさせてしまった場合など、他人の身体や財物への直接損害を伴わない電車等運行不能に起因する法律上の損害賠償責任②他人から借りたり預かったりした物の損壊または盗取に起因する法律上の損害賠償責任(国内で受託した物に限る)―の2点の補償を拡大する。
 その他、建築基準法の改定に伴い、構造別の判定方法を一部改定する他、製造者などの契約上の責任事故に関する補償を明確化する。また、「携行品損害特約」と「不測かつ突発的な事故」の補償対象を縮小し、「水災支払方法縮小特約」の補償は一部縮小する。
 同社では、コロナ禍の状況を踏まえ、代理店向けに商品改定に関する研修動画を作成し、随時研修を行っている。昨今の自然災害では家財の高額損害が発生していることから、代理店支援策として、建物と家財をセットで提案できるツールや過去の災害における事故事例集、同社オリジナルのハザードマップ「THEすまいのハザードマップ」、支援ツール「SOMPO 代理店支援bot」なども提供している。
 また、個人用火災総合保険の「建物電気的・機械的事故特約」と「IoT住宅費用『売電収入・サイバーリスク』特約」をセットにした「スマートライフ応援保険」といった新たな提案方法も紹介するなどして、顧客に分かりやすく、そして納得感のある商品提案につなげてもらえるよう代理店を支援していくとしている。
 リテール商品業務部火災保険グループの西澤達彦課長代理は「自然災害が多発する中で、火災保険に加入している顧客の半数近くが家財の補償には加入していない状況がある。こうした状況を認識してもらい、保険に加入することが安心につながるようなプロモーションを代理店と共に行っていきたい」と語る。
 また、同グループの青木美沙氏は「商品改定は顧客が保険の見直しを考えるタイミングでもあると思う。コロナ禍においては電話やウェブ、リモートで顧客対応できる体制を構築しているが、代理店にも災害をより身近に感じていただき、顧客への最適な保険提案につなげていただけるような支援にも努めていく」と述べる。
 (注)パンフレットなどでは「残存物取片づけ費用」と「修理付帯費用」をまとめて「復旧に付随して発生する費用」と呼称している。