2020.12.03 ■住友生命 20年度第2四半期(上半期)決算、連結基礎利益は安定した水準[2020年11月24日]

 住友生命が11月24日に発表した2020年度第2四半期(上半期)決算によると、住友生命グループの新契約年換算保険料は前年同期比14.2%減の974億円、保有契約年換算保険料は前年度末比0.2%減の2兆8018億円となった。また、連結基礎利益は前年同期比3.0%減の1965億円となった。今年度からスタートした「スミセイ中期経営計画2022」は、新型コロナウイルス感染拡大による訪問活動の自粛などの影響により改定を行っており、顧客により一層寄り添い続ける会社であるための対応を進めていく方針だ。
 住友生命グループの新契約年換算保険料は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う訪問活動自粛の影響により、前年同期比14.2%減となった。国内事業は同25.0%減の468億円となり、そのうち住友生命は同32.6%減の400億円となったものの、メディケア生命は4月に医療保険「新メディフィットA」の商品改定を行った効果もあり、大幅に増加して同124.5%増の68億円となった。海外事業(シメトラ)は、同1.1%減の506億円と減少した。
 住友生命グループの保有契約年換算保険料は、住友生命は新型コロナウイルス感染拡大によって新契約が減少するなどの影響を受けたが、メディケア生命と海外事業で保有契約が増加した結果、グループ全体では前年度末比0.2%減と横ばいだった。国内事業は同0.4%減の2兆3353億円で、そのうち住友生命は同0.6%減の2兆2882億円、メディケア生命は同13.5%増の471億円となった。海外事業(シメトラ)は同0.9%増の4665億円となった。
 住友生命グループの保険料等収入は、前年同期比6.8%減の1兆1676億円。国内事業は、メディケア生命で同14.3%増の224億円と大幅な伸びを示したが、海外金利の低下など、新型コロナウイルス感染拡大による影響により、住友生命における一時払商品の販売減少の影響が大きく、同7.5%減の1兆759億円となった。海外事業(シメトラ)は保有契約の増加により、同2.4%増加して916億円となった。
 住友生命グループの基礎利益は、国内事業が前年同期比減少、海外事業は増加し、同3.0%減の1965億円と安定した水準を確保した。国内事業は同2.7%減の1805億円で、この減少の主因は、メディケア生命において、新契約の増加に伴って、契約初期費用が増加したことが影響した。住友生命は同0.7%減の1880億円、メディケア生命は▲75億円だった。海外事業(シメトラ他)は、資産運用収支が増加した影響により、同3.4%増の182億円だった。
 住友生命単体の利息及び配当金等収入は、外貨建クレジット資産の積み上げによって利息および配当金の増加効果があったものの、過去に投資した外国公社債や貸付金の償還などの影響により、同3.6%減の3037億円となった。一方で、有価証券売却益の増加により、資産運用収支全体では236億円増加し、2540億円になっている。
 連結ソルベンシー・マージン比率は939.4%で、前年度末比69.4ポイント増加し、十分な健全性を維持している。
 住友生命グループのEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、前年度末比7133億円増の4兆2975億円。新契約獲得や保有契約からの収益確保など保険事業のプラスの成果および国内金利・国内株価上昇によるプラスの影響があり、大幅な増加となった。
 住友生命では、今年度から「スミセイ中期経営計画2022」をスタートさせているが、新型コロナウイルス感染拡大により、訪問活動が自粛されるなど、同社の強みが発揮できない事態となったことから、このような環境下でニューノーマル時代への対応を進めるとともに、「安心」「健康」などの生保事業の本質的な存在価値を感じてもらえる会社であり続けるために、中期経営計画の改定を実施した。
 改定のポイントは、①お客さまにより一層寄り添い続ける会社であるための対応②健康意識の高まりに対する対応③従業員の安全確保と働き方改革への対応④新たな取り組みを支えるための既存業務の抜本的な見直し―の4点。計数目標についても改定を行っており、改定後の目標については、20年度は新型コロナウイルス感染拡大による販売減少分を織り込み、その後徐々に回復して22年度には当初の目標ペースにキャッチアップする計画としている。
 同社では、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、より醸成された健康意識に対してしっかりと応えられるよう、引き続き“住友生命「Vitality」”に注力していく。足元では、18年7月の販売開始からの累計契約件数が約54万件となり、すそ野は着実に広がっている。また、この上半期では、Vitality健康プログラムのレベルアップを図るため、8月に総合スーパーマーケット事業を展開するイオンリテール㈱、人間ドック・健康診断の予約サイトを運営するマーソ㈱と新たに提携契約を締結。これによりパートナー企業は15社となり、健康状態の把握と健康状態を改善する特典の提供までのラインアップが拡充した。この他、契約者に運動習慣を継続してもらうためにオンラインレッスン動画などの特典提供を行うなど、ニューノーマル下でも健康増進活動に取り組める機会の提供と検討を行っていくとしている。
 住友生命の新型コロナウイルス感染症の対応については、保険料払込猶予期間の延長や契約者貸付利率の減免、保険金請求等の必要書類の一部省略などの対応を実施している。20年9月末時点の死亡保険金の支払済件数は102件、支払済金額は10億2085万円となっている。また、入院給付金の支払済件数は1377件、支払済金額は2億771万円、保険料払込猶予期間延長の累計件数は1万877件、契約貸付利息減免の累計件数は6万4865件、貸付金額は214億3522万円となっている。