2020.11.26 ■東京海上HD 20年度第2四半期決算、連結純利益は542億円減益[2020年11月19日]

 東京海上ホールディングスが11月19日に発表した2020年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0.0%増の2兆7437億円となった。正味収入保険料は同0.1%増の1兆8095億円、生命保険料は同3.2%減の4694億円だった。連結経常利益は同26.0%減の1091億円。中間純利益(連結純利益)はコロナの影響▲730億円を主因として前年同期の1166億円から542億円(46.5%)減益の623億円となった。連結純利益の通期予想について、国内自然災害の増加や海外子会社株式の減損の影響があるものの、コロナ影響の改善や既経過保険料の増加を主因に、8月予想対比で250億円上方修正し2000億円とし、同じく修正純利益については、異常危険準備金や海外子会社株式の減損の影響などを控除し220億円上方修正し、3320億円とした。
 連結の正味収入保険料は、国内の自賠責の料率引下げを主因とした減収(1.6%減)や円高の影響(▲218億円)を、海外の成長戦略の実施や料率引上げによる増収(3.8%増)で挽回し増収を確保した(為替影響を除くと同4.4%増収)。生命保険料は、海外がTokio Marine HCC(TMHCC)の料率引上げを主因に増収したものの、国内は事業保険の解約増加等で減収した。
 連結正味収入保険料の通期予想は、8月公表対比で、国内は火災・新種の増収を主因に若干の上方修正、海外も北米を中心とした料率引上げを主因に、現地通貨ベースでは上方修正した。全体では円高の影響から▲100億円の下方修正をして前年度対比1.4%減の3兆5500億円とした。
 生命保険料の通期予想では、8月公表対比で、国内は若干の上方修正。海外も、円高の影響(約▲80億円)を受けるものの、TMHCCの順調な料率引上げで挽回することから生保全体で100億円上方修正し、9200億円(前年度対比6.7%減)とした。
 国内損保事業では、東京海上日動の保険引受利益は発生保険金の減少を主因として前年同期比で356億円増益し▲48億円だった。料率改定効果での自動車保険の増収による正味収入保険料(家計地震・自賠責を除いた民保ベース)の増収(同21億円増)、事故頻度低下による自動車保険・傷害保険の発生保険金の減少(同439億円減)、前年同期の取崩の反動による異常危険準備金の積増負担増(同69億円増)、火災保険の損害率の上昇傾向を反映した自然災害責任準備金の積増(84億円)、自動車保険における発生保険金の減少に伴う初年度収支残負担(普通責任準備金積増額の内、未経過保険料の積増額を控除したもので、契約引受年度に相当する利益(収支残)を次年度に繰り延べる性質の責任準備金)の負担増(同210億円増)などの結果による。
 資産運用等損益は、海外子会社からの配当金の増加を主因として、同122億円増益の957億円。以上の結果、経常利益は同484億円増の939億円だった。中間純利益は同214億円増の629億円を計上した。
 正味収入保険料は、自賠責等の減収により同1.6%減の1兆1274億円だったが、民保ベースでは同0.2%増の1兆40億円。種目別では、火災は出再保険料が増加した一方、 19年10月の料率改定効果による増収もあり、同0.0%減の1643億円、海上はコロナに伴う物流減等により減収で同4.5%減の318億円、傷害はコロナに伴う旅行保険の減収により同10.2%減の914億円、自動車は20年1月の料率改定効果等による増収があったもののコロナに伴う新車販売台数の減少もあり、同2.0%増の5468億円、自賠責は20年4月の料率引下げや新車販売台数の減少により同14.0%減の1230億円、その他は動産総合保険等で大口契約による増収があったもののコロナに伴う興行中止保険等の減収もあり同2.1%増の1698億円だった。
 発生保険金(民保ベース、損害調査費含む)はコロナ影響(▲360億円)による自動車・傷害の事故頻度の減少や自然災害発生保険金の減少(▲153億円)を主因に、前年同期比439億円減少の5912億円だった。E/I損害率は同6.2ポイント低下の60.1%。事業費率は手数料率が上昇した一方、社費率は低下したため、同0.1ポイント低下の31.2%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同6.4ポイント低下し91.3%となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比42.2ポイント上昇し857.4%。
 日新火災の保険引受利益は、前年同期比で60億円増益の21億円だった。正味収入保険料(民保)が火災保険における出再保険料の増加により減少した他、初年度収支残負担で自動車の発生保険金の減少に伴う負担増があったものの、発生保険金(民保)がコロナに伴う外出自粛による自動車事故頻度の低下や自然災害の減少により減少し、異常危険準備金で火災保険のW/P損害率上昇による取崩の発生もあったことによる。
 東京海上日動あんしん生命の経常収益は前年同期比68億円増の4886億円だった。新契約年換算保険料は、コロナ下での対面販売自粛の影響があったものの8月発売の引受基準緩和型医療保険の販売好調によって挽回し前年同期比横ばいの0.1%減、184億円となった。保有契約年換算保険料は、事業保険で新契約による増加が解約等の減少を下回った結果、同2.2%減の8264億円となったが、保有契約件数は同0.7%増で601万件に到達している。基礎利益は、同119億円増益の333億円で、経常利益は、同142億円増益の299億円だった。単体ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比101.4ポイント上昇し、1617.7%となった。
 海外保険事業の正味収入保険料は、前年同期比3.7%減の8289億円だった。現地通貨ベースでは同0.1%減のほぼ横ばいだった。
 海外保険事業の事業別利益の合計は、コロナの影響(▲731億円)を主因として、同665億円減益の361億円となった。コロナの影響のうち、保険引受にかかる影響は▲400億円、資産運用にかかる影響は▲331億円とされる。
 損保事業で北米は、収益性改善に向けた取り組みの成果や自然災害に係る発生保険金の減少があった一方で、コロナ影響を主因として同466億円減益の342億円だった。欧州・中東・アフリカは、欧州において、為替換算損益の改善があった一方で、コロナ影響により同119億円減益の▲77億円。中南米は、同14億円減益の53億円だったが、コロナに伴う自動車事故頻度の低下等により、現地通貨ベースでは増益となっている。アジア・オセアニアは、アジアにおけるコロナに伴う自動車事故頻度の低下等により同7億円増益の91億円だった。
 生保事業ではシンガポールにおける前年度の株価上昇の反動等により104億円減益の▲39億円だった。その他、米国のPureグループの新規連結(期中連結のため対象期間分を算入)により39億円の増益を計上している。