2020.11.20 ■かんぽ生命 20年度第2四半期(中間期)決算、新契約保険料の大幅減続く[2020年11月13日]

 かんぽ生命は11月13日、2020年度第2四半期(中間期)決算を発表した。連結業績では、新契約の減少に伴う事業費等の減少等により、経常利益は前年同期比15.0%増加の1627億円、中間純利益は同22.8%増の936億円となった。一方、契約の状況では、19年7月中旬以降、第2四半期においても積極的な営業活動を自粛していたことから、個人保険の新契約年換算保険料は大幅に減少し、同88.6%減の150億円にとどまった。うち第三分野の新契約年換算保険料は、同96.7%減の6億円だった。
 かんぽ生命の連結の経常利益は通期業績予想2000億円に対して81.4%の進捗率、中間純利益は同1240億円の予想に対して75.5%の進捗率を示している。年度末の業績予想の策定に当たり20年3月末時点の経済前提を用いていたことから、株式の減損を相応に想定していたこと、また、保険金等支払いが想定よりも減少していること等を背景に、経常利益、当期純利益ともに業績予想対比で高い進捗率となったとしている。
 なお、保有契約年換算保険料は、個人保険が4兆1001億円で前期末比5.1%減、うち第三分野が6911億円で同3.4%の減少となった。
 個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比4.2%減の2593万件だった。商品別に見ると、養老保険は970万件(占率37.4%、前期末実績1041万件)、終身保険は1233万件(占率47.5%、前期末実績1259万件)、学資保険は376万件(占率14.5%、前期末実績393万件)、その他は13万件(占率0.5%、前期末実績13万件)となっている。
 連結主要業績では、経常収益は前年同期比2759億円減(同7.5%減)の3兆3853億円。このうち、保険料等収入は同3833億円減の1兆4178億円、資産運用収益は同537億円減の5203億円、責任準備金戻入額は同1803億円増の1兆3896億円だった。  経常費用は同2971億円減の3兆2226億円で、このうち、保険金等支払金は同2136億円減の2兆9302億円、資産運用費用は同214億円減の456億円、事業費とその他経常費用の合計は同621億円減の2467億円。事業費は同573億円減の1962億円で、このうち委託手数料は、同457億円減の953億円。委託手数料のうち、新契約手数料は同379億円減の245億円、維持・集金手数料は同78億円減の707億円だった。拠出金は、同7億円減の280億円だった。
 かんぽ生命の単体ベースでは、順ざやが前年同期比84億円減少したものの、新契約の減少に伴う事業費等の減少、20年3月期に計上した保険金等支払引当金について、契約調査の進展等を見積もりに反映したことによる戻入等により保険関係損益が前年同期を大きく上回った結果、基礎利益は前年同期を208億円上回る2265億円となった。キャピタル損は▲590億円となったが、これに対しては、その相当額の価格変動準備金を取り崩す会計処理を継続して実施。基礎利益の増加に伴い、経常利益は、同202億円増の1622億円となり、中間純利益は前年同期を164億円上回る933億円となった。
 総資産は、前期末から1兆2674億円減少し、70兆3972億円となった。純資産は同5594億円増の2兆4877億円。株式、外国証券等の収益追求資産については、日経平均株価等の回復により、含み益が増加したことから残高は前期末比5353億円増加し10兆4739億円となった。国内の公社債については、安定的な収益が確保できる資産として長期債および超長期債を中心に運用したが、償還等により残高は減少した。貸付金については、郵政管理・支援機構への貸付、シンジケート・ローン、地方公共団体貸付、保険約款貸付を実施しており、郵政管理・支援機構への貸付金の償還により残高は5兆3456億円に減少した。
 資産運用収益については、総資産残高の減少に伴う利息及び配当金等収入の減少等により、前年同期比537億円減の5203億円で、資産運用費用については、為替リスクのヘッジに伴う金融派生商品費用の減少等により、同214億円減の456億円となった。その結果、資産運用収支は、同323億円減少し、4746億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、1138.0%で前期末比67.1ポイント増加した。
 エンベディッド・バリュー(EV)は前期末からの金利および株価の上昇等により12.3%増加し、3兆7341億円だった。
 21年3月期の連結業績予想は、経常利益、当期純利益ともに業績予想対比で高い進捗率となっているが、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明であり、今後も引き続き、株価の低下や保険金等支払いの増加の可能性があり、その場合における経常利益、当期純利益への影響を考慮し、年度末の業績予想の修正は、現時点では行わないとしている。